おむぼさんの映画レビュー・感想・評価

おむぼ

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数に溺れて(1988年製作の映画)

4.1

 伝えたい要素は1つ前に見た監督前々作の『ZOO』から一貫しているけれども、記号の執着に主題のスポットが当てられたり、登場人物同士の感情的な話が読み取りやすく彼らに愛着が持てるように描かれたり、ブラッ>>続きを読む

ZOO(1985年製作の映画)

4.2

 エロスとタナトスの情に基づいた執着から、シンメトリーや「A」ppleから「Z」ebraまでの順番という記号の執着まで詰め込まれ、人のこだわりの良し悪しが十分に表現されている映画だった。

 クローネ
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

3.6

 大人になれない男女の爛れた日々と、肉体的には何処かに行けるのに精神的には何処にも行けてないようなロードムービーが淡々と描かれていた。
ヴィッキーにとってハオは似た者同士だから気が合うし、自己嫌悪から
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悪魔がはらわたでいけにえで私(2023年製作の映画)

3.5

 60分3章立てのスプラッターにゾンビにギャグが散りばめられたカルト映画。
3章それぞれの役割は、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ3部作のようで、悪魔にとっての夜、夜明け、日常だった。

 スプラッタ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

 冒険と実験で純粋な自由を掴み取る寓話のカルト映画。
劇中の舞台であるヴィクトリア朝末期の前衛芸術のアティチュード、ゴシックな美術、総天然色の書割の世界で描かれていた。
人間の成長の最もおいしいところ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

 金銭的に決して裕福ではない口数の少ない中年男性の紋切り型の日々が映されていた。
決して無気力ではなく情報社会に触れられるものから極力離れた文化に囲まれた朴訥なように見える生活は、おそらく新自由主義の
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(2023年製作の映画)

4.0

 のっけから神業を見せていて、蟹数匹出てくる画は、凄惨過ぎてギャグにも見える狂いの世界へと引き込む説得力があった。
あれを最初に見せつけられたら、どんなことが起きても違和感無く思える。
狂いに食傷気味
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アイドルマスター シャイニーカラーズ 第3章(2024年製作の映画)

3.4

 TVアニメの9~12話

 全ての章を見たから流れをまとめると、1章は静かに始まりそこからしばらくアイドルアニメでよく見るような楽しくも見えるトラブルありつつ団結が深まっていく日常から、2章でそんな
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あしたの少女(2022年製作の映画)

3.9

 八方塞がりで救いが無い絶望的な現実をひたすら映している映画だった。
倒叙ミステリーの構成で、主人公2人の社会的な立場は子供と大人でそれぞれ違えども、先人たちが積み重ねてきた競争と同調の圧力が物言う地
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野球どアホウ未亡人(2023年製作の映画)

3.9

 野球のゲシュタルト崩壊が確実に起こる。
ずっと荒唐無稽であることへの説得力が強いボケがほぼ間延びすることなく続いて、とてもくだらなくて良かった。
水島新司イズムだったり、梶原一騎イズムというか『巨人
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.6

 戦争の体験とその捉え方、それ以外は楽天的に見える雰囲気という水木しげる氏の精神を根底にした主人公らに社会性を内包して、パッと見た要素はミステリとホラー映画の様式美をかけ合わせて詰め込んでいた印象だっ>>続きを読む

アイドルマスター シャイニーカラーズ 第2章(2023年製作の映画)

3.5

 TVアニメの5〜8話
1章分から5話までがユニットの自己紹介の積み重ねに対して、6〜8話は群集劇だった。

 目標に見えるものがあっけない通過点なのはしびれる展開で、若さをすり減らして以降のほうが長
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.0

 愛した人間の蒸発を不意に追ってしまう。不甲斐無い自分のトラウマが心の根底にある。それでも、なんとなく過ぎていく日常こそが結局のところ人生の大半だというナンセンスさを忘れさせないと思える見せ方で良かっ>>続きを読む

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

3.7

 多くの人が体験した東日本大震災が植え付けたものを極めて個人的問題にうまく繋げていた。
溢れる創作意欲の刺激と思春期に遭遇して自己を失わせることになったトラウマを根源とした対自がこの映画の大きな要素で
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アイドルマスター シャイニーカラーズ 第1章(2023年製作の映画)

3.3

 TVアニメ1〜4話の先行上映。
1話は主人公アイドル(とそのユニット)に、2〜4話は同じ事務所の違うユニット3組に焦点を当てた群像劇だった。
ノベルゲームの要素が強い原作の内容からアイドル各々の心理
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アイドルマスター ミリオンライブ! 第3幕(2023年製作の映画)

3.4

 9〜12話

 9話は表現者としての葛藤と解決。
10話は家族を持つ人間としての葛藤と解決。
11,12話でパフォーマンスの連打という正攻法が大団円に導いた印象だった。

 第2幕から演者の表だった
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バービー(2023年製作の映画)

3.5

 男と女の政治的な駆け引きというラブコメの基本がわかりやすく社会的な方向へ広げられた映画だった。
バービー人形改め1人の女性はどう生きるか。

 キッチュな背景に美男美女がコミカルな動きをしているバー
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.1

 広いようで狭い世界の群像劇、若い権力者たちのメロドラマ喜劇だった。
垢抜けていないか否かの見た目に反映しているから、より強調されている男性陣の幼さと女性陣の大人びて見える精神の対比が全ての核になって
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アイドルマスター ミリオンライブ! 第2幕(2023年製作の映画)

3.0

5〜8話目

 アイマスはテーマカラー赤青黄の通称信号機トリオと呼ばれる主人公格の御三家があり、そのクール系、青担当のアイドルの父親が、細身でずっとスーツ着てて眼鏡かけてるいかにも神経質そうな堅物で、
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戦慄の絆(1988年製作の映画)

4.0

 依存が主題で、幼少期からの性依存をきっかけに悪どくも順風満帆な成功物語を歩んでいた産婦人科医の双子の兄弟が、それぞれ依存する人に対するトラウマとなる衝撃をきっかけに薬物依存が進行して破滅へ向かう話し>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.9

 流行病や痛覚を失ったが全く豊かには見えない世界で、肉体の美しさに心酔して変わりゆく人間のあり方に精神と未来を翻弄された人々の話しということで、フィリップ・K・ディックの小説を思い出すような哲学と結び>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

 ドイツ系のカルト教団の教育ビデオという設定で、内向的な女性:マリアの精神を引っ張り出す寓話のストップモーションアニメ映画だった。

 まず、映像表現のおもしろさにずっと惹かれる。それをどう作っている
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(2021年製作の映画)

3.7

 チリで120年ほど前に作られて最近発掘されたという設定のストップモーションアニメで少女ネクロマンサーの実演とその顛末が描かれる。

 骨を踊らせたり骨に火をつけて肉体を復元して人間パズルしたり結婚ご
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アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕(2023年製作の映画)

3.4

 10月から始まるTVアニメ1〜4話の先行上映、『アイドルマスター (アイマス)』の中で『シャイニーカラーズ』はゲームやっていたりライブ行ったりしたけど『ミリオンライブ』はほぼ知らず…という状態で見に>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

 高校生の部活動のバスケットボールのたった1つの試合という、(80年ぐらいはまあ生きるだろうと大人が適当に見積もっている)人生からすれば一瞬に過ぎないようなことが永遠に感じるぐらい濃く映されて中心に据>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.3

 題名と宮崎駿監督のパブリックイメージ含めた事前情報から、説教臭かったらいやだな〜とか思いながらまんまと初日に足を運んだが、全体的にそんなふうには感じなくて良かった…というのは期待していなかったから良>>続きを読む

マスク(1994年製作の映画)

3.2

 社会生活では隠すべきとされる欲望と力が解放されるマスクを気弱な銀行員:イプキスが拾っちゃうカートゥーンの再現みたいなCGも心地良いコメディ映画。

 終盤のイプキス、普通にフィジカルが強過ぎてタコ殴
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.2

 両親を亡くした少女にあてがわれた球体関節人形型AI搭載ロボットの玩具が互いに仲良く依存し合ううちに少女への執着心に支配されて暴走する。
ホラー映画だが、玩具と少女の関係の精神的なところは青春映画でも
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猫たちのアパートメント(2022年製作の映画)

3.4

 住人らが餌付けしたことから大量の野良猫が住み着いて共に生きている、韓国はソウルの団地が再開発で取り壊されるまでの記録を、猫たちとその保護活動を行う女性住人たちを中心に映した映画。
無常さを感じられた
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地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.8

 藤子不二雄A(というか『笑ゥせぇるすまん』)風味な、不思議でばかげた切り出しの小噺にて、エイジズムとそれに基づく欲望に囚われた女と男を描いた、74分という短めの尺もちょうど良い寓話のフレンチコメディ>>続きを読む

アムリタの饗宴(2023年製作の映画)

3.1

 『アラーニェの虫籠』の前日譚で、同じくほとんど監督1人で映像と音楽を作ったという団地型マンションを舞台にしたスリラーでタイムパラドックスものSFアニメ映画だった。

 前作の画風から球体関節人形のよ
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アラーニェの虫籠 リファイン版(2018年製作の映画)

3.1

 ほとんど監督1人で映像と音楽を作ったという団地型マンションを舞台にした超自然現象ものホラーアニメ映画だった。

 球体関節人形のような目をした主人公、毒々しい虫、バレエといったダリオ・アルジェント監
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ブエノスアイレス 摂氏零度(1999年製作の映画)

3.9

 『ブエノスアイレス』のメイキング映像であり、ドキュメンタリーであり、『ブエノスアイレス』本編ありきで見ると、もうひとつの本編の体をなしている映画だった。

 よく映画のディスクに特典映像として含まれ
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少年と犬(1975年製作の映画)

3.8

 第4次世界大戦後の2024年、広大な砂漠と廃墟だらけのディストピアで生き延びる粗暴な18歳の少年とテレパシーで通じ合っている悪友の犬によるポストアポカリプスもの映画。

 砂漠にぽつんと佇む扉しか見
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雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)

3.0

 いじめられっ子の少年がずっと憧れだった獅子舞を友達2人と、かつて夢を諦めた師匠とともに始める少年漫画的スポ根フルCGアニメ映画。
全ては最後の大会シーンの解放感のためにある。
終わりの始まりに冒頭の
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審判(1975年製作の映画)

4.0

 男性器や既存の権威への挑発のメタファーとして表される釘の映画だった。
劇中で軍人風のやつに敢え無く外された釘をエンドロールで本当にスクリーンに打ち込むように観客を巻き込むが、たぶんいつの時代だろうと
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