彼(父)はまるで私の死んだ父親であり、別れた夫のようだった。そして彼女(娘)は私自身だと感じる。
さわさわとたちのぼる夏の夜の空気。朝になったらその脆さは消え、まるで本当に真夏の太陽のように輝く。
私>>続きを読む
誰かの手にハンドクリームを塗ったことがあるか。私はない。塗ったことのない人間が、彼らの愛に口を挟むことなどできるだろうか。
海に行こうよとなんの気兼ねもなく誘うことができる喜び、取るにたらない思い出>>続きを読む
再鑑賞。中原とテルコが餃子を食べながら酒を酌み交わす大晦日の夜、人はふたりでいてもこんなにさみしいものだろうかと愕然とさせられる。お互いが求め合っていないからとは思いたくない。だって確かにあの時の彼ら>>続きを読む
意外とこなかった、というのが正直な感想。予告見たり、あらすじ読んだりする段階で、「これは絶対に自分みたいな人間のことだな」と思う映画ってあって、これはその類だと思っていた。しかし意外と違い、意外とこな>>続きを読む
湯浅監督のアニメーション映画を観ると困ってしまう。好きすぎるということなんでしょうけれど、なんか、羨ましいし妬ましいし独占したいし舐めまわすほど味わいたい。変に昂ぶって怒りが星野源に対して向いちゃう(>>続きを読む
何を言うまでもない。無茶な演出、そのすべてが愛おしくて堪らない。
歳重ねてきてどんどんこういう映画を観たくなってくる病。ドア開けて走り出したときのワイヤー首斬りなかなかヤバい。
伝えたいことがまるで無いみたいに思う。この映画は私たちの存在を無視して作られている。観客をというわけではなく、スクリーンの内側にいる人々(私たち)だ。これが無いと、こういう類の映画を作る意味って、あま>>続きを読む
ホントにスマホを落とした「だけ」なのに!という展開です。大いに笑わせてもらった。男二人がとてもいい。(※田中圭ではない) たまに頭を空にするためにもこういう映画は大事。監督もそれが狙いでしょ?と思っ>>続きを読む
10年ぶりに見てしまった。夕暮れから、どんどん薄暗さの広がってゆく部屋で、しばらく使っていなかった感覚の一部が研ぎ澄まされて、切り刻まれていく。
忘れていたはずの傷、あの頃から増えつづけてきた傷、それ>>続きを読む
感情の読み取れない空洞の目。その目からツツと流れ落ちる血。うわと思い、震える。
でも残念ながらそこまででしかなかった。気味の悪さだけで物語性を超えるほどの何かはないし、全体的に余り気味の意味不明さを考>>続きを読む
個人的2018年ワーストテンにランクイン、でも悪い作品では無いと思う。地上波午後ローで何気なく見てたら変に感動するかもしれない。
不器用だ。繊細というわけでなく。
あまりに薄くて頼りげなく、印象にも残らない時間の中に彼らも私もいた。
いたからこそ、随分経ってから、ぼんやりしていた夕暮れにハッと気がつき泣きそうになったのだろうな。>>続きを読む
2018ワースト1映画。現実味が無さすぎるくせに、現実っぽく寄せてきていや結局のところ全てはフィクションだからね?と開き直ってる(ように目に映る)映画、本当に意味が分からない。
3作目。過去のパージで家族を失った女性がお偉い立場となり、制度を改革しようと奮闘しているさなかの、年1パージ。
パージを必要とする、さらに上の立場の人間たちにより彼女が狙われるという。
組織的な問題や>>続きを読む
二作目。前作は一家に注目した一晩だったけれど、今回は、不運にも家まで帰りつけなかった若い夫婦やら、店を守るために銃を持って屋上で見張る男やら、何人かについて。要するに超危険な外での一晩を描く。殺す側の>>続きを読む
国の法律として、誰を殺しても罪に問われない夜がある。(そして実際にこの法律のおかげで犯罪率が減少)その一晩のある一家について。
いつの日か実際にこんな制度設けられるかも、とギリギリ思えるから、何も考>>続きを読む
60年以上も前の作品に胸ときめき、納得させられるの本当にすごいことだと思う。世のなか変わっていっても、人の心だけは変わらず同じとこをぐるっとしてる。(だから心の悩みは永遠に解決しない云々はまた別の映画>>続きを読む
あまりに長い人生の中で、重なりあう瞬間。
近づいたのならあとは離れるだけなんだよね。
ハッとする。2年前、シリアの現実を描いたドキュメンタリー作品を何本か見て、私は今いる自身の場所とシリアが地続きであるということを真に感じたはずではなかったか。
あっというまに目の前の現実に飲み込まれて>>続きを読む
自分は兄弟姉妹なにも持たないけれど、言いたいことは本当によく分かった。分かりやすい展開であるし、なにより結局人間関係において思うことばかりだから。しかし、思うことは似たようなものだとしても、それを相手>>続きを読む
狂った警備員がビル内の人間を殺してゆく黒沢清映画。
古びたビル、暗い照明、足音の響く廊下、とにかく不気味なシチュエーション!灰色めいた画面には、人間のシルエットだけが色づいているように思う。
恐怖と>>続きを読む
道端の排水溝が最初にして最大のピーク。現代においてピエロはホラーというよりエンタメより。
ド田舎のド古い家屋に住んだ経験あるので、この雰囲気、住民の感じ、よく分かる。でもやっぱり松尾スズキにより作られた「見せるための娯楽感」が気に障る〜。おまけに二階堂ふみときた。見たこと忘れよう映画に無意>>続きを読む
素晴らしい。
日曜晩の食卓は、父親と三姉妹で囲む家庭。姉妹がひとりずつ、重大な発表があるの、と神妙な顔をしながら打ち明け、ひとりずつ抜けてゆく、そのおかしみが笑えたり切なかったり。
人生にはまずユー>>続きを読む
予告の宮﨑あおい(滝叫シーン)に惹かれて。深夜アニメ→劇場版とかに向いてそうだけど。
散歩する侵略者にハマりそうでハマらなかった反動を受け、久しぶりに黒沢清世界に浸りたくなり観た。
不思議な間取で最高な家(気になる柱)、脳内世界、不穏な風。バランスの取られたアンバランスさが心地よくて>>続きを読む
明け方、橋の上に立つ白いドレス姿の女とくたびれたスーツの男が出会うとき。不釣り合いな何もかもが朝のあの時間だから許される。
幻想的なシーンを打ち抜く銃弾、でもそれさえも現実からは程遠い揺らぎをたずさ>>続きを読む
素晴らしい作品。李監督の一貫した作風のはじまりはここ。デビュー作。
在日3世として生きる高校生。
友人がいて、恋をして、野球をする。
ごくふつうなありふれた日々のはずなのに、どうしてもひっかかる。在>>続きを読む
ダサいほどのスローショットでとらえられた試合シーン。それはボクシング映画『百円の恋』とはまた違ったものだった。
だが、それがいい。途轍もなく。なかだるんでない?と思った瞬間に気づく。
やっぱ新宿の街、>>続きを読む
ここには新宿という街がある。未来も過去もない。そこで生きる人間が確かにいた。
酒、煙草、ボクシング、女、ラーメン屋、鼓動、宗教、滑稽、雨の朝、すれ違い、汗、転落、海、記憶。あまりに生ぐさく、あまりに鮮>>続きを読む
すべての人びとの顔が妙に印象深く心に残る。表情というよりも皺とか染みとか顔のリアルな見た目。
中身の引き延ばし感はすごいけど、後半もこのあえて作られた重たさ見たくて見ちゃう。