BELARUSさんの映画レビュー・感想・評価

BELARUS

BELARUS

映画(245)
ドラマ(0)
アニメ(0)

上海灘(1983年製作の映画)

3.8

1980年にTVBで放送された、周潤發主演のテレビドラマ『上海灘』(全25話, 約19時間)の前半部を、劇場用に編集したダイジェストである。

その後の黒社会系列の映画(香港ノワール)よりメロドラマの
>>続きを読む

刑事マルティン・ベック(1976年製作の映画)

4.9

リアリスムという観点からすると、この映画の徹底ぶりはヘロデ王並みの錯乱の域に達している。流血シーンにはすべて屠殺場から仕入れた豚の血が使用され、クライマックスの大捕物では、警察から約50万円で買い取っ>>続きを読む

スカイ・ハイ(1975年製作の映画)

4.0

ジミーさんのナチュラルな狂気を、オーストラリアの一大ロケーションの下、あくまでも爽快に、エンターテイメントの欺瞞の内に描き出している、クレイジー・ファッキン・ポリス・アクション。
リラックスして行われ
>>続きを読む

黒蜥蜴(1968年製作の映画)

5.0

木村功の味わい深い、膨らんだ蛭の唇から放たれるエロティックな台詞回しと、戴冠式目前に服毒死したかと目される、明宏の爛熟した容貌と肢体とが絡み合い、そこに三島由紀夫の華々しい科白と、冨田勲の耽美な旋律が>>続きを読む

ゴルゴ13(1973年製作の映画)

3.8

高倉健の角刈りとその膚の黒光りとが、ここまでの仕上がりに達した例は他にない。殊にそのなめし革のような膚の艶は一級品であって、ソビエト軍のライフルケースに使用されていたり、女主人の手提げ鞄に使われて舞踏>>続きを読む

香港極道/警察(サツ)(1979年製作の映画)

4.2

香港の下町を駆け回る、煮詰まったチャーシューのような顔のキャラクターたちが、次から次に登場する。嫁と離婚後、息子と母と三人で暮らす主人公(王鍾)、その取り巻き(陳植槐・關偉)、新入り坊や(張國強)、イ>>続きを読む

スコット・ウォーカー 30世紀の男(2006年製作の映画)

3.7

Scott Walkerの音楽とその精神に迫る、濃密なドキュメンタリ。華麗なオーケストラをバックにバリトンを響かせる初期のスタイルから、オペラティックな部分はそのままに、その髄の周りを退廃と暗黒の美で>>続きを読む

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

4.8

大河内の眼光と台詞回しは、この時が最上のものだと確信する。豪放にして妖艶、剽軽にして悲劇であるその相貌の、ダイヤのごとき、ドラマティックな凝縮たるや。傍に控える森雅之の、剃刀のごとき横顔の、ソリッドな>>続きを読む

虐妻/虐之戀(1993年製作の映画)

4.2

冒頭から黄秋生の箍のはずれた行為の数々が、玩具凾ひっくり返したように、次から次に披露される。近所の人の挨拶を当然のように無視し、挨拶する妻を恫喝、レストランで妻に話しかけた男の後をつけ、交差点の真ん中>>続きを読む

コラテラル・ダメージ(2001年製作の映画)

3.1

シュワの髭が伸びたり縮んだりするのを注視するより他ない。なぜそんなことになるかというと、シュワが深刻な顔で何かを考えているかに見えて、その実、何も考えていないからである。それはロダンの像の真似事に過ぎ>>続きを読む

中国超人インフラマン(1975年製作の映画)

4.1

特撮と怪人等の小憎たらしいローカルなノリが強引にくっ付けられ、如何わしい空気を醸しながらも、直球のエンターテイメントとして辛うじて成立させてしまうところに、往年の香港映画の活況が偲ばれる。

インフラ
>>続きを読む

Neighbouring Sounds(英題)(2012年製作の映画)

3.3

住民の発する生活音(Neighbouring Sounds)を緻密に積み重ねた結果、狂気に到達してしまったらしい。

戯画や風刺を狙っているかに見える演出には、シュールレアリスティックな空気があり、映
>>続きを読む

ダイヤモンドの犬たち(1975年製作の映画)

3.5

ソウル調のスコアを開幕早々二分以上聴かされ、その間、画面はずっと砂漠で、何故こんな砂漠ばかり見せられるのかと思い始めるころ、突如、ジープに乗ったピーター・フォンダが現れて、不衛生な髭を画面いっぱいに押>>続きを読む

パッション(2004年製作の映画)

3.8

メル・ギブソンの暴力と言語に向けられる異常なまでの拘泥には、イエスへの陰惨な仕打ちと、彼のもたらした福音とを照応させる狙いがあったのではないか。預言者のことばが信仰にまで高められるためには、彼のからだ>>続きを読む

北極星(1943年製作の映画)

3.5

ミュージカル風の前半部と、後半部の戦闘シーンとを峻別する、ふしぎな構成の、プロパガンダ映画である。

「若さ」を比喩的に用いた"I'm always too young. ""The face of
>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

4.0

映画の大半を占めるのは、家族のドラマである。銀行強盗のシーン前後から、急に出汁が出始め、後半の全シーンに旨味が行き渡ってゆくような感覚を覚える。

職業上の反目を越え、惹かれ合う、二人の男の頭上を、何
>>続きを読む

続・少林寺三十六房(1980年製作の映画)

4.3

功夫の鍛練と、足場組みの作業に類似点を見出だした独創性や、竹の稈や竹ひもの柔軟性を利用した立ち回りが、印象深い。

劉家輝の周りをうろちょろする歯の模型みたいな人の統率力が、侮れない。

断罪のカンフーマスター(1984年製作の映画)

3.7

葬儀会社も驚愕の位牌の使用法を教えてくれて有り難う。

Return of the Chinese Boxer(英題)(1977年製作の映画)

4.3

上着の下のライフジャケットに、少なくとも五十本以上、しこたまナイフを仕込んで得意顔を浮かべる刺客が、一度ジミーに負けて、柄の部分をダイナマイトに改良して挑んでくるのが良い。髭の生え方がよい。
王永生と
>>続きを読む

片腕カンフー対空とぶギロチン(1975年製作の映画)

4.3

主人公の人格が、この度、満を持して崩壊、人でなしに成り下がった。

あの師匠想いだった青年が何故。

察するに、前作で医者に唆され、腕を火鉢に入れて神経を焼いたときの後遺症と考えるより他ない。精神に異
>>続きを読む

片腕ドラゴン(1972年製作の映画)

4.2

比較的オーソドックスな構成でわかりやすく、王もまともな人格なので、安心して観られる。
腕を鍛え上げた筈が、脚まで力が漲ったのか、矢鱈、起き上がる技を連発していたのも微笑ましいし、恩人の小屋を許可なく壊
>>続きを読む

レニングラード大攻防 1941(1985年製作の映画)

4.0

火薬を取りに行って、戻って来るだけの内容に、非常な深遠さが与えられている。
主人公を搬送する車の、謎の運転士、車内の真っ赤な塗装。
ひょっとしたら彼は生きているかもしれない、と主人公に話す、浮気相手が
>>続きを読む

ザ・ショック(1976年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

Libraの演奏する壮大なメインテーマは、①op、②地下室で倒れている息子を部屋まで運び、彼が隠した自分のパンティを見つけ、見なかったことにするダリア、③「ママ」と声を上げ近付いてくる息子が突如おっさ>>続きを読む

殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

4.1

女が突如狂ったようにリー・マーヴィンを叩きはじめ、二・三十回叩き続けた後、マーヴィンがふつうにリモコンのスイッチ入れるところ、マーベラス。

ブルース・リー/死亡遊戯(1978年製作の映画)

3.7

現実とフィクションとの間合いが、意図的なのかも知れないが掴みにくく、ふいに、李は生きているのかもしれない、と錯覚してしまう瞬間がある。
甘美で、いつまでも浸っていたいと思わせる中毒性が、ある。かなしい
>>続きを読む

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967年製作の映画)

4.8

集団の移動につぐ移動、それに呼応するキャメラのながれが、うつくしい。

「劇終」の出る直前まで闘いが続き、出たらさっさと帰る。90年代頃までよく見られた、香港のアクション映画伝統の幕引きである。

ブルース・リー/死亡の塔(1980年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

死亡の塔とは結局何だったのか。塔を地下に隠したと自信たっぷりにいっているが、はっきり言うがそれは塔ではない、単なる地下施設である。

事件は冒頭から、謎のフィルム、兄の死、雉の餌やりなどを経て、信じが
>>続きを読む

スネーキーモンキー/蛇拳(1976年製作の映画)

4.5

黄正利の振り向く速度が尋常でない。振り向く度に効果音が鳴り響く。香港の悪役はことあるごとによく振り向くが、黄正利のそれは、敵の伝言を読み上げるためであった。迫力があるのである。そんなふうにして敵の伝言>>続きを読む