1980年にTVBで放送された、周潤發主演のテレビドラマ『上海灘』(全25話, 約19時間)の前半部を、劇場用に編集したダイジェストである。
その後の黒社会系列の映画(香港ノワール)よりメロドラマの>>続きを読む
リアリスムという観点からすると、この映画の徹底ぶりはヘロデ王並みの錯乱の域に達している。流血シーンにはすべて屠殺場から仕入れた豚の血が使用され、クライマックスの大捕物では、警察から約50万円で買い取っ>>続きを読む
ジミーさんのナチュラルな狂気を、オーストラリアの一大ロケーションの下、あくまでも爽快に、エンターテイメントの欺瞞の内に描き出している、クレイジー・ファッキン・ポリス・アクション。
リラックスして行われ>>続きを読む
木村功の味わい深い、膨らんだ蛭の唇から放たれるエロティックな台詞回しと、戴冠式目前に服毒死したかと目される、明宏の爛熟した容貌と肢体とが絡み合い、そこに三島由紀夫の華々しい科白と、冨田勲の耽美な旋律が>>続きを読む
高倉健の角刈りとその膚の黒光りとが、ここまでの仕上がりに達した例は他にない。殊にそのなめし革のような膚の艶は一級品であって、ソビエト軍のライフルケースに使用されていたり、女主人の手提げ鞄に使われて舞踏>>続きを読む
香港の下町を駆け回る、煮詰まったチャーシューのような顔のキャラクターたちが、次から次に登場する。嫁と離婚後、息子と母と三人で暮らす主人公(王鍾)、その取り巻き(陳植槐・關偉)、新入り坊や(張國強)、イ>>続きを読む
Scott Walkerの音楽とその精神に迫る、濃密なドキュメンタリ。華麗なオーケストラをバックにバリトンを響かせる初期のスタイルから、オペラティックな部分はそのままに、その髄の周りを退廃と暗黒の美で>>続きを読む
大河内の眼光と台詞回しは、この時が最上のものだと確信する。豪放にして妖艶、剽軽にして悲劇であるその相貌の、ダイヤのごとき、ドラマティックな凝縮たるや。傍に控える森雅之の、剃刀のごとき横顔の、ソリッドな>>続きを読む
冒頭から黄秋生の箍のはずれた行為の数々が、玩具凾ひっくり返したように、次から次に披露される。近所の人の挨拶を当然のように無視し、挨拶する妻を恫喝、レストランで妻に話しかけた男の後をつけ、交差点の真ん中>>続きを読む
シュワの髭が伸びたり縮んだりするのを注視するより他ない。なぜそんなことになるかというと、シュワが深刻な顔で何かを考えているかに見えて、その実、何も考えていないからである。それはロダンの像の真似事に過ぎ>>続きを読む
特撮と怪人等の小憎たらしいローカルなノリが強引にくっ付けられ、如何わしい空気を醸しながらも、直球のエンターテイメントとして辛うじて成立させてしまうところに、往年の香港映画の活況が偲ばれる。
インフラ>>続きを読む
住民の発する生活音(Neighbouring Sounds)を緻密に積み重ねた結果、狂気に到達してしまったらしい。
戯画や風刺を狙っているかに見える演出には、シュールレアリスティックな空気があり、映>>続きを読む
ソウル調のスコアを開幕早々二分以上聴かされ、その間、画面はずっと砂漠で、何故こんな砂漠ばかり見せられるのかと思い始めるころ、突如、ジープに乗ったピーター・フォンダが現れて、不衛生な髭を画面いっぱいに押>>続きを読む
メル・ギブソンの暴力と言語に向けられる異常なまでの拘泥には、イエスへの陰惨な仕打ちと、彼のもたらした福音とを照応させる狙いがあったのではないか。預言者のことばが信仰にまで高められるためには、彼のからだ>>続きを読む
ミュージカル風の前半部と、後半部の戦闘シーンとを峻別する、ふしぎな構成の、プロパガンダ映画である。
「若さ」を比喩的に用いた"I'm always too young. ""The face of >>続きを読む
映画の大半を占めるのは、家族のドラマである。銀行強盗のシーン前後から、急に出汁が出始め、後半の全シーンに旨味が行き渡ってゆくような感覚を覚える。
職業上の反目を越え、惹かれ合う、二人の男の頭上を、何>>続きを読む
功夫の鍛練と、足場組みの作業に類似点を見出だした独創性や、竹の稈や竹ひもの柔軟性を利用した立ち回りが、印象深い。
劉家輝の周りをうろちょろする歯の模型みたいな人の統率力が、侮れない。
上着の下のライフジャケットに、少なくとも五十本以上、しこたまナイフを仕込んで得意顔を浮かべる刺客が、一度ジミーに負けて、柄の部分をダイナマイトに改良して挑んでくるのが良い。髭の生え方がよい。
王永生と>>続きを読む
主人公の人格が、この度、満を持して崩壊、人でなしに成り下がった。
あの師匠想いだった青年が何故。
察するに、前作で医者に唆され、腕を火鉢に入れて神経を焼いたときの後遺症と考えるより他ない。精神に異>>続きを読む
比較的オーソドックスな構成でわかりやすく、王もまともな人格なので、安心して観られる。
腕を鍛え上げた筈が、脚まで力が漲ったのか、矢鱈、起き上がる技を連発していたのも微笑ましいし、恩人の小屋を許可なく壊>>続きを読む
火薬を取りに行って、戻って来るだけの内容に、非常な深遠さが与えられている。
主人公を搬送する車の、謎の運転士、車内の真っ赤な塗装。
ひょっとしたら彼は生きているかもしれない、と主人公に話す、浮気相手が>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
Libraの演奏する壮大なメインテーマは、①op、②地下室で倒れている息子を部屋まで運び、彼が隠した自分のパンティを見つけ、見なかったことにするダリア、③「ママ」と声を上げ近付いてくる息子が突如おっさ>>続きを読む
女が突如狂ったようにリー・マーヴィンを叩きはじめ、二・三十回叩き続けた後、マーヴィンがふつうにリモコンのスイッチ入れるところ、マーベラス。
現実とフィクションとの間合いが、意図的なのかも知れないが掴みにくく、ふいに、李は生きているのかもしれない、と錯覚してしまう瞬間がある。
甘美で、いつまでも浸っていたいと思わせる中毒性が、ある。かなしい>>続きを読む
集団の移動につぐ移動、それに呼応するキャメラのながれが、うつくしい。
「劇終」の出る直前まで闘いが続き、出たらさっさと帰る。90年代頃までよく見られた、香港のアクション映画伝統の幕引きである。
このレビューはネタバレを含みます
死亡の塔とは結局何だったのか。塔を地下に隠したと自信たっぷりにいっているが、はっきり言うがそれは塔ではない、単なる地下施設である。
事件は冒頭から、謎のフィルム、兄の死、雉の餌やりなどを経て、信じが>>続きを読む
黄正利の振り向く速度が尋常でない。振り向く度に効果音が鳴り響く。香港の悪役はことあるごとによく振り向くが、黄正利のそれは、敵の伝言を読み上げるためであった。迫力があるのである。そんなふうにして敵の伝言>>続きを読む