Kanさんの映画レビュー・感想・評価

Kan

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緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

3.5

全体的な雰囲気は愛すべきものがあるものの、あまりに盛り上がりに欠ける。ただ核や戦争の脅威が高まっていた当時、反戦や反核の願いを寓話的に描こうとした意欲と野心は素晴らしい。あと一捻りされていれば、という>>続きを読む

十字砲火(1947年製作の映画)

3.5

前半はなんとなくだるい感じだがだんだんと面白くなる。ユダヤ人や移民への差別を取り扱う社会派ノワール。当時は赤狩りで非難されたそうだが、トランプ政権の今再び観る価値のある映画だと思う。

キャット・ピープル(1942年製作の映画)

4.2

古典ホラーで映画ファン必見。光と影の使い方が美しい。最後までミステリアスな雰囲気が素晴らしく、階段が重要な意味を持つなどなんとなくヒッチコック作品、特にめまいを想起。当時としては、とんでもなく独創的な>>続きを読む

モルグ街の殺人(1932年製作の映画)

3.1

前半少し冗漫なのだが中盤くらいから面白くなる。尺が短いのと、昔の映画なので展開ぎ早すぎて若干演出が物足りないのはやむを得ないが、最後までそれなりに楽しめる。

堕ちた天使(1945年製作の映画)

4.5

フィルムノワールの大傑作。さまざまな出来事が絡み合いながら進行していき、最後に驚きの大展開が起きるという構成の面白さ、カメラワークの美しさ。見る価値あり。ただ、少し冗漫なところも。

メアリーの総て(2017年製作の映画)

4.5

言葉にならないくらいの感動。当時の女性の苦しみがひしひしと伝わってきた。全くテーマも何もかもちがうが、少し「善き人のためのソナタ」に似ていると感じた。人間の良心に訴えかけてくる良作。

恐怖のまわり道(1945年製作の映画)

4.4

わずか70分弱の短い映画とは思えない充実感。低予算なんだろうが、それ故に構成や演出、脚本が非常に凝られていて感心する。大傑作。

夜の人々(1948年製作の映画)

4.6

傑作フィルムノワール。ファーリー・グレンジャーがひたすら素晴らしい。ラストは想像つくのだが、それでもハッピーエンドを期待してしまう。精神のA級性。ゴダールへと繋がる映画史上のクラシック。必見。

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)

3.9

2度目の鑑賞なので衝撃的なラストを知っていたが、それでもやっぱり素晴らしい。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技がいい。ラストの方で、CIAの女性に「世界を平和にするため」と言ったときの笑顔がかわいす>>続きを読む

白夜(1971年製作の映画)

4.5

完全なるブレッソン芸術。シンプルかつフェティッシュ。パリの夜のネオン、セーヌ川の輝き、恋人たちが繋ぐ手などの映像を組み合わせて独自の夢のような、現実ではないような世界を作り上げる。ドストエフスキーの原>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.8

信じられないくらい面白い。こんな凄い映画があったとは驚き。狂気の世界。なんとなくコンラッドの「闇の奥」を想起。そして映画館の暗闇で見ていると足がすくみそうになるほどの恐怖に襲われる。ラストもいい。必見>>続きを読む

家へ帰ろう(2017年製作の映画)

3.9

わりと最後の最後まで淡々と過ぎていくのだが最後のシーンに感涙。スペイン語圏の映画特有のメランコリックでムードのある映画。音楽も素晴らしい。見て損はない映画。

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.3

考えてみれば単純なストーリーで演出も深みがあるわけではないが、みなさんが言うように非常に面白い。やはり、ボヘミアンラプソディーという楽曲の素晴らしさが映画の魅力に大きく寄与している。マイノリティー、L>>続きを読む

羊と鋼の森(2018年製作の映画)

3.0

さわやかな佳作。絵的に美しい。音楽が好きなら楽しめると思う。バイオレンスもセックスもなく、ただひたすらシリアスで繊細な主人公がああでもない、こうでもないと人生に悩むという、日本映画ならではの真面目さが>>続きを読む

バグダッド・スキャンダル(2018年製作の映画)

3.8

イラク戦争、国連汚職、コフィ・アナン。つい最近のようだが、既に歴史の1ページとなり、映画として記憶されていくことに感慨を覚える。外交や国連の醜い部分をあぶり出し、見る側に強いメッセージを示している良作>>続きを読む

戦場にかける橋(1957年製作の映画)

4.1

初鑑賞。この手の映画では日本人や日本兵は野蛮で残酷に描かれるんだろうなと思っていたが、想像していたより控えめだった。戦後まだそれほど経っていないころの映画だと考えると、かなりリアリティのある演出だと思>>続きを読む

禁じられた遊び(1952年製作の映画)

4.0

下高井戸シネマでデジタルリマスター版にて初鑑賞。甘い反戦映画くらいのイメージだったが全く認識が誤っていた。演出、脚本、カメラワーク、すべてがかっこよくて痺れた。往年のフランス映画が放っていたパワーとカ>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.0

IMAX上映で鑑賞。家のテレビで観るのとは全然違う印象を受ける。総合芸術としての映画の可能性を極限まで追及しようとした気迫に感銘を受ける。しかも50年も前に。観客は満員、しかもほとんどが若者!本当に凄>>続きを読む

運命は踊る(2017年製作の映画)

4.6

久しぶりに大好きな映画に出会えた。ホロコースト生存者の子や孫さが抱えるトラウマを、映画的としか言いようがない豊かなイメージで描かれていて最後は涙が止まらなかった。イスラエルという国の複雑な社会について>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.8

まさに最初から最後まで全て好きだ。人生って朝起きて朝食を取って仕事して、帰宅して友達や伴侶と豊かな時間を過ごして、そのシンプルな繰り返し。そして死とはその規則正しい営みが止まってしまうということ。生き>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.8

非常に面白かった。ひとりの命の尊さというメッセージ性も好き。ひとりの命か、残り数人のクルーの命か、誰が決める?みたいな問いかけは、マイケル・サンデルの正義の話のような面白さも。
ただあえて残念なのは、
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友罪(2017年製作の映画)

2.8

正直好みの映画ではなかった。色々なエピソード詰め込みすぎ。登場人物が叫んだり怒鳴ったりと過剰で陳腐。トレンディーな俳優がたくさん出てきてリアルじゃない。ユーモアのかけらもなくひたすらシリアス。などなど>>続きを読む

悪徳(1955年製作の映画)

3.8

1950年代のハリウッドの退廃した空気を今に伝える。良質のアメリカ文学を味わったような深い満足感。

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

4.3

とにかくラストの美しさが異常。演出が若干古い感じもあるが、サイコ系映画の先駆けとして映画史的価値は極めて高い。

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.3

ソン・ガンホは本当にいい役者だ。韓国の暗い歴史ストーリーにユーモアと軽さを与え、人間味あふれる映画に仕上がっている。さらに家族の絆、表現やプレスの自由の大切さなど、さまざまなことを教えてくれる。非常に>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.5

大阪弁の美しさに驚いた。即興的な演出がとても素晴らしい。愛の残酷さ、自己中心性を怖いほどに表現している。映画で大事なのはカメラの動きだということにも改めて気づかされた。見るべき映画です。

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.5

とにかくパレスチナ人の男性があまりに人としてかっこよすぎて体が震えた。
ただ一言だけ謝れば済むのに謝れない。憎み合っているようだけど、実は意地を張り合っているだけのようでもある。そんな人間らしい複雑さ
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2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

4.8

これはもうたまらなく好きな映画。最初は主人公であるマリーヌ・ヴァクトのあまりの美しさに気を取られてストーリーを追えなくなったが、巧みなカメラワークと美しい映像に導かれていつのまにかオゾンワールドに引き>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

評判通りの面白さ。ただ、あえて言うなら前半と後半の中間にある日常ドラマ部分が退屈で中だるみ感が残念。わざとかと思うけど。

叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.5

これもすごい映画。病に苦しむ人をここまで詳細に描写した映画はあまりないのではないか?神、沈黙、幸福、死といった、ベルイマンの一貫したテーマが凝縮された傑作。映画館で見るべき映画とも言える。

冬の光(1962年製作の映画)

3.9

神の沈黙というベルイマンのテーマをわりとダイレクトに扱った映画。タイトルの通り、ベルイマンは光の使い方がすごい。ただ正直言って、ほかのベルイマン作品に比べてやや物足りない印象が残った。

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

3.5

ベルイマンの中ではあまりぐっと来ない。ただいつも通り全てのシーンが芸術と言うに足る美しさ。新しい芸術をつくろうとする真摯は姿勢は本当に感服する。

沈黙(1962年製作の映画)

4.8

今日も懲りずにベルイマン。この映画は凄すぎる。今見てもこんなにすごいのに、公開当時はみんな度肝抜かれたのだろう。ベルイマンの最高傑作かもしれない。映画の最後で少年が発する言葉に体が震えた。

犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.2

かなり個性的な映画で好き嫌いが分かれるだろう。あまり難しく考えてはいけないのかも。ギャグ映画としてみればホントにかなり笑える部類に属するのだから。黒澤映画の影響もしくはオマージュ度高し。交換留学生のオ>>続きを読む

夏の遊び(1951年製作の映画)

4.2

ごく初期の作品だが完全なるベルイマン作品であることに驚く。すぐれた芸術家や天才はテーマや作風が一貫していることが多いが、彼はその典型だ。北欧の短い夏の輝きが眩しくも美しい。

野いちご(1957年製作の映画)

4.2

主人公の教授の表現主義的な顔芸とも言える表情がすごい。死、老い、神、家族などベルイマンおなじみのテーマ。ほんとに偉大な芸術家というのは、テーマが一貫してぶれない。文句なく映画史上の傑作。

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