こういう何気ない日常を描いた映画が好きだ。平凡なトイレ清掃員の一週間を丁寧に追った本作は、ジム・ジャームッシュの『パターソン』に近い作りだ。しかし、両者を比較すると、『パターソン』はどこか「牧歌的」、>>続きを読む
もうこれは、アニャ・テイラー=ジョイに魅せられた時間だった。この世の不条理を全て知っているとでもいうべき凄まじい眼光に捉えられ、思わず固まってしまう。固い決意をにじませる表情と動きの中に、ふと幼少期を>>続きを読む
ティム・バートンの狂気じみた世界観の方が好きだけど、全体的に可愛らしくハートフルにまとまっていて、これはこれで良いと思う。
訳わからんトンデモ設定と粗削り怪獣プロレスが一周回って面白い。「ゴジラ-1.0」で疲れたら気分転換にこっち観る、みたいな。
人間パートのドラマは本当に薄っぺらいと思う。むしろ、キングコングの「人物描>>続きを読む
バカバカしくて最高。令和のサイバーチックな歌舞伎町に舞台を移しつつ、どことなく昭和のバブリーな雰囲気やノスタルジーを感じさせる。
鈴木亮平の魅力がいかんなく発揮されている。ハードボイルドと変態という>>続きを読む
ほぼほぼ会話劇といってよく、しかも難解な専門用語が登場して時代背景に関する知識も要するのに、これだけ目が離せない作品は他にあるのだろうか。ルドウィグ・ゴランソンの不穏で切迫感あふれる音楽が会話劇にサス>>続きを読む
LGBTQという言葉は広く知れ渡っているものの、各アルファベットの意味、とりわけ"Q"の意味を知らない人は少なくないのではないだろうか。これはQuestioning(性的指向が定まらない人)あるいはQ>>続きを読む
グロテスクな全体主義をハイキーによる耽美的な映像でみせる、白昼夢ならぬ白昼の悪夢のような作品。シンボルを読み解く面白さはあるものの、全体的に間延びしていて少し退屈に感じてしまった。
最初の儀式のシー>>続きを読む
前回に引き続き圧倒的な映像センスと世界観に魅せられる。アースごとに映像表現が異なり、多くのクリエイターが関わって一つの作品を仕上げているのだろう。アニメーション表現の可能性を追求した野心的な映画だ。>>続きを読む
臨場感がすごい。本物のレースは見たことがないけれど、とにかくリアルに感じる。特に音が良い。エンジンをふかす音やギアチェンジする音など、気持ちが良い。
ゲームはどんな人でも主人公になれる場所。普通であ>>続きを読む
安定の面白さ。ヒロインが代わる代わる。こんな屈強な紳士いたら惚れるよね。というかトム・クルーズ還暦越えだよね。すごいなこの人は。トム走りも健在。
ストーリーは流行りの”それ”。まあマクガフィンに過ぎ>>続きを読む
動物たちがかわいい。動物それぞれの特徴をよく活かしているような気がする。ほのぼの系かと思えば、意外とビジネスマンの視点で観ても示唆に富んでいる。マンモスがイケボすぎて心地よく、眠くなった。
死ぬほど面白い。いや、ほんとに「死」を肌で感じるくらいリアリティがある。今までみたどの映画よりも映画館で観てよかったと思える。ジュラシックパークやジョーズを模範とした迫力の出し方、過去作品へのオマージ>>続きを読む
基本的な設定は前作と同じ。それでも魅せられる。こういうドラマシリーズ作れそうなくらい汎用性がある。
マリオのゲームをプレイしていた世代なら絶対に刺さる。スーパーマリオブラザーズだけでなく、マリオカート、さらには元祖ドンキーコング、スーパードンキーコングなど、シリーズ要素が満載である。もともとマリオが>>続きを読む
これはもう「The アクション映画」といった趣きで、筋書きは相当シンプルで、アクションを楽しむための作品。とはいえ、シリーズで数えて4作目ともなると、ジョン・ウィックのキャラクターや生きざまはご存じの>>続きを読む
色んな意味で汚い。だけど笑える。明快な社会風刺。ブラックユーモア満載で、趣味がいいとは言い難いが、思わず笑ってしまう。冒頭のファッションショー、ヘビメタと嘔吐のシンクロ、まるで子供のような富豪たち。>>続きを読む
改めて思うが、是枝監督のバランス感覚には舌を巻く。前半のミステリー調の展開から始まり、登場人物の視点の転換によって、後半は瑞々しい青春恋愛映画の様相を呈する。社会問題を多角的に取り上げながら、それらを>>続きを読む
好きだった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズも終幕か。マーベルの中でも光るものがあるシリーズで、アクションの見せ方はもちろんのこと、ユーモアセンスもピカイチだった。今回も劇場で笑いを堪える>>続きを読む
ドウェイン・ジョンソンが扮するヒーローというだけでいくらでも面白い作品になりそうなのに…。周囲を固めるヒーローたちは既視感のある能力や風貌ばかりで、唯一ブラック・アダムだけがユニークな登場人物だと感じ>>続きを読む
ちひろは人の痛みがわかる心優しい女性。だが、決して綺麗事は言わず、あくまでもあけすけに寄り添う。しかし考えてみれば、綺麗事なんていうのは大体本人は理解していて、それでも飲み込めなくて苦しんでいることが>>続きを読む
いや〜満腹。くだらない、本当にくだらない映画なのに、心に深く響く。
マルチバースっていう最近流行りの(?)モチーフを使いながらも、使い方次第でこうもユニークな作品になるとは。特に、他の世界線と影響を>>続きを読む
復活上映ありがとう。充実した3時間だった。
社会的なテーマを孕んでいてシリアスな側面もあるけど、完璧にエンタメとして昇華している。火と水、文明と自然、帝国と植民地、善と悪、単純明快な二元論に基づく物>>続きを読む
「マスカレード」シリーズは原作も読んでいることもあって、映画版も割と好き。まずホテルっていう舞台設定が良い。殺人事件なのに、殺伐としていないというか、どこか優雅な雰囲気がある。
「人を疑う」警察と、>>続きを読む
交渉人同士の心理戦は見応えがあって面白い。当人同士はお互いの意図を汲み取ることができるけど、周囲の人間が翻弄され、また障害となる。
四面楚歌の絶望的な状況で、背水の陣で賭けに出る主人公。さすがサミュ>>続きを読む
羊がモチーフの映画ということはほぼ間違いなくキリスト教の隠喩的なお話だと想像がつく。実際、冒頭数分でラジオが告げる「メリークリスマス」で確信に変わる。
アイスランドの雄大な自然は神秘的で、畏敬の念を>>続きを読む
単純にSFエンターテイメントとしても楽しめるし、深層に社会派作品のメッセージを忍ばせていて一粒で二度美味しい。
ジョーダン・ピールのことだから絶対に人種問題は絡めてくるとは思っていたけれど、今回はよ>>続きを読む
真実は複雑そうに見えて実は単純。実際、犯人は思った通りの人物であり、トリックも無いようなもの。ブノワと同様、観客もこの物語の虚勢に踊らされる。それより、複層になったストーリー構成こそが本作の真骨頂。>>続きを読む
エンタメとして面白いし、テーマも明確。笑えて泣ける名作。
ライアン・レイノルズはやはりコメディで輝く逸材、お人好し感が最高だった。
アメリカ映画の様々なヒーロー描写の引用は胸が弾む。フリーガイが誰>>続きを読む
これはヤバイ。全ての点がつながって一つの線、いや輪になったとき驚愕した。
このレビューはネタバレを含みます
久しぶりに良質なSFを観た気がする。シンギュラリティによって起こるかもしれない未来。この手の作品は数多生み出されているけれど、人間/AIの対立構造ではなく、ある種のバディモノのような見せ方をしているの>>続きを読む
クリント・イーストウッドが描くヒーロー像は、作品を経るごとに一般市民に焦点を当てる形になっている。
TVに映し出されるオリンピック選手が表のヒーローだとすれば、リチャード・ジュエルは裏のヒーロー。あ>>続きを読む
「はじまりのうた」のアダム・レヴィーン然り、この手の音楽映画を観ると、やはり本物のミュージシャンは違うと、とにかく圧倒される。
互いを想うことですれ違っていく様は観ていて辛かった。とくにジャックがみ>>続きを読む
70年代の『黒いジャガー』などのブラックパワームービーを想起させる渋さと熱さがある本作。しかしそれに加えて闇深さもある。
物語の舞台は1970年代だが、エンディングでゾッとする。別にアメリカ社会の変>>続きを読む
伊坂幸太郎原作のハリウッド映画ということで興味津々だった作品。ストーリーはまさに塞翁が馬。
外国人が好きそうな日本のイメージが詰め込まれた世界観はなかなかにキッチュだがかえって面白い。
典型的なセカイ系。思春期の少年の自己中心性が表現されている。大人になるにつれ、世界は自分の意思とは無関係に回っていて、自分は世界の構成要素に過ぎないことを自覚するようになるが、新海誠はあくまでも自己中>>続きを読む