ひさびさに山下敦弘監督の作品を見た。淡々としているけれど、ツボを抑えておりテンポも良く見やすい。岡くん、狂児の掛け合いがだんだん深まっていく様が愛おしい。家族、部員ら周りの人たちがお互いをそれとなく支>>続きを読む
前作と同じく叙事詩的な語り方なので活劇を期待していると肩透かしを食らうかもしれない。どちらかと言うと絵巻物を見ている感覚に近い。ヴィルヌーブ監督のこのスタイルは、カナダの大学で実際に起こった銃乱射事件>>続きを読む
宗教の不在に対する深い憂いを示した。ストーカーは昔の人のような純朴さで部屋の存在を信じる。けれど作家や科学者はそれを疑う。科学は宗教の神秘性にメスを入れ、産業革命に始まり社会のありようをも変えた。音楽>>続きを読む
若い頃って暗い出来事が多くて、良いことがあっても一瞬で元通りという経験がある。主人公ジョンスの境遇も他人事とは思えない。物語を振り返ると、ジョンスがヘミと体を重ねる序盤のシーンは、孤独なジョンスがこの>>続きを読む
元ネタの一本「悪魔のいけにえ」は、レザーフェイス一家が総出で若者たちに襲いかかるので絶望感の向こう側の笑うしかないとこまで行っちゃうのだけれど、この映画は老夫婦が小ボケを繰り返しながら若者たちを一人ま>>続きを読む
ループものの好編。学園ものとスラッシャー映画を組み合わせた設定かつ、上映時間が1時間半ちょっとと細かい所は気にせず気軽に楽しめるのが良い。タイムトラベルものの派生系として80年代からチラホラと出だした>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
同じイタリアの田舎町を舞台にしつつ前半は中世、後半は現代と時間が飛ぶ。前半は、カトリックの修道院を舞台に異端の疑いがかけられた修道女ベネデッタが登場する。後に同じ題材でバーホーベンがやったような露骨で>>続きを読む
白人が求める黒人像を書くことでしか売れないという黒人作家のジレンマをテーマとしつつ、普遍的な家族の悲喜こもごもを描き、重すぎない話にした。白人はもちろん黒人にとっても暗い過去とどう向き合うのかは一筋縄>>続きを読む
コーヒーに入れた砂糖を「最後の一粒まで」溶かすためスプーンで混ぜる仕草は、物事をしっかりとやり切る主人公の性分を示している。けれどその後、車のドアを閉め忘れるあたりは可愛げがある。原田監督の「さらば愛>>続きを読む
とてもいい映画です。最先端技術やスター、大ドンデン返しという類いの映画ではなく、日常の延長線上にある男女の出会いを描くだけですが、そこに味わいがありました。小津安二郎を尊敬するカウリスマキ監督のスタイ>>続きを読む
ハリウッドへ渡る直前のジョン・ウーが香港でできることをやり切った一本。ヤケクソで作ったような展開の荒さで、組織の板挟みになるトニー・レオンをジリジリ描くようなことはせず爆発、銃撃の連続で畳み掛ける。凡>>続きを読む
6年間の恋を主人公・照生の誕生日を軸に始まりと終わりを逆転して描く。「いつも2人で」のようなメリハリのあるカットバックは用いてない。その代わり部屋の生活感、繰り返し現れる階段、公園、曲がり角の微妙な変>>続きを読む
当時、世界一の人口密集地だった香港はモンコックを舞台に、殺し屋、警察の追いつ追われつのドラマが展開する。モンコックの喧騒をそのまま活かしたリアリティーあふれるカメラワークは必見の価値あり。
中国本土の>>続きを読む
権力とマイノリティーとの関係は図式化されていて、「スキャナーズ」のように軋轢が生むアクションはなくてひたすら臓器の美しさを愛でる人々のフェティッシュな感覚が作品を覆う。解剖のシーンで気になったのは肋骨>>続きを読む
公開から30年経ちノスタルジーが加味されてもなおシャープ。絶妙なカッティング、長回し、人物配置は新鮮な印象を与える。沖縄へ向かう直前、雀荘の主人を沈めるシーンでは滑稽なくらいあっけない人の死が写し出さ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
新婚夫婦のたどる運命と、やばい趣味にハマったソシオパスの人格を覗き見るという趣向である。オチは使い古された「ミイラ取りがミイラになった」スタイルだが、プロセスの描き方に非常にこだわりがある。
まずはサ>>続きを読む
中島貞夫監督の作品を初めて観た。バスジャックされ人質となった乗客の中に、訳ありの乗客として渡瀬恒彦がいて、後半はその渡瀬氏がハンドルを握る主客転倒の展開が楽しい。バスはもちろん、パトカー、バイク、ヘリ>>続きを読む
前半はエクダール一族の幸せなクリスマスのひとときを延々と描く。北欧の人形や家具、料理、ギャグのセンス、言葉の響きが目に耳に優しい。
そこで示される親族の面々の悲喜交々が愛おしいと思えるほど、母子と>>続きを読む
結婚とか、子供できたとか人生の節目節目で自由を奪われていくと感じるのが男の性というもの。現実逃避的なこの映画の主人公たちに共感せずにいられなかった。わざわざ書き起こすこともないような小ネタの連続でいつ>>続きを読む
マ・ドンソク演じる地元密着型のソクト刑事がいい。どこか憎めないヤクザ連中とゆるく癒着して持ちつ持たれつ。このプロットは深作欣二の「県警対組織暴力」で菅原文太が演じた久能、三隅研次の「桜の代紋」で勝新太>>続きを読む
男たちの友情が壊れていく様を熱く悲しく描いたお話し。言いたいことはだいたいセリフになって、それでも足りない感情は銃をぶっ放す、もしくは車がボロボロになるまでカーチェイス。これがジョン・ウーの良さ。のち>>続きを読む
ホラーを見慣れてないので怖かった。でも気付いたことがある。
男性(器)のメタファーであるミサイルが連れてきた魔物シデー。その姿は一定ではないが、男性主導の社会で抑圧される女性の象徴としてのスカーフ(布>>続きを読む
観たすぐ後は、周りに金や人がなかったら雪と直之はいい夫婦になったかもしれないと思ったけれど、2人の間には格の違いもあった。それが致命的だった。
雪は今まさに没落しようという旧華族の家柄に育ち、虚無感が>>続きを読む
フィルムはコダック、レンズはツァイス。パッと目を引く暖色とクールな写りは、この作品のストーリーと同様にハードな印象と優しい眼差しの両方を与えている。ろくに駆け引きもせずにずるずると殺しを続ける額縁職人>>続きを読む
女の子の成長譚。物心つくと親とか友達と一緒にいる日常が窮屈で退屈で仕方ない時期がある。部活とかサークルに所属するにしても学校という囲みから抜け出せない。もやもやしていた自由への衝動というものが、同い年>>続きを読む
常にテンポが速いのはいいんだが、要所のアクションが映えないデメリットがあり、もう少し緩急が欲しい。原田作品に求めるクオリティーが高いせいもある。岡田准一のムッと湧き立つような男臭さはよく活かせてると思>>続きを読む
大映映画の技術的にも人材的にも一番充実していたであろう時期のオムニバス。3本ともサラッとした印象、いわゆる風俗小説の持つ軽さが良い具合にはたらいた(もっとも第二話は和田夏十のオリジナルというが)。それ>>続きを読む