美術や復讐の手法などに、手が込んだ印象もあるけど、全般的にさっぱりついていけなかった。
登場する若い男性がまぁ下劣で、同じ男性として、おのれの下劣さ、情けなさには、残念ながら確かに自覚があるけれど、>>続きを読む
ちょっと狙い過ぎのようではあるけれど、主人公を円の中心に据えて、彼女が関わるいくつかの社会に、それぞれ葛藤が生じる事態を作り、各々の葛藤が互いに影響を与え合う構図を作ってしまえば、一つ一つのストーリー>>続きを読む
幼い頃からマフィアに憧れていた少年が、望むままに若くしてその世界に入り、頭角をあらわしていい思いもするが、満つれば欠くのがこの世の定め。やがて気は緩み、仲間に足を引っ張られ、さらに思わぬぬかるみにはま>>続きを読む
フィッシュマンズというバンドのことも、その曲も知らなかったけれど、その時代に居合わせたので、その空気を理解しやすく、決して無下にはできないドキュメンタリーの力作だった。
何かに真剣に打ち込んだとき、>>続きを読む
今回映画館で見終わったあと、どういうわけだか、オチをほぼ忘れていたけれど、二十年以上前に地上波か衛星放送で観ていたなぁと思ったし、それもあってか、オチの直前で、おおよそ先の展開が読めてしまったけれど、>>続きを読む
自分の境遇とあまりに違いすぎて、正直、かなり感情移入をしにくい物語だったけれど、なかなか恵まれた幼年時代を過ごせず、バンドマンへの道に進み、耳が聴こえなくなるという受け入れがたい現実に希望を失いかけた>>続きを読む
リドリー・スコット作品には、毎回一定の期待感があり、観ればそこそこ面白いのだけど、どこか物語や人物造形が平明過ぎて、厚み深み、陰影や奥行き、繊細さが足りないため、観た直後はそこそこ面白くても感動が尾を>>続きを読む
公開前は全く興味が無かったのに、公開当日、たまたま仕事が休みで、本作の評判がなかなかよく、よく行く映画館でかかっていたので、ガラでもないのに封切日に若い客層の中で鑑賞したのが、今や懐かしくも小っ恥ずか>>続きを読む
本作の原作は、SF小説屈指の名作で、学生時代に読みたい読みたいと思っていたのに、とうとう読まずに過ごしてしまった作品の映画化とあって、公開当時、必ず観ようと思っていた話題の映画群の中では、わりと早めに>>続きを読む
最近多い、地方が舞台の作品の中では、屈指の秀作。
津軽三味線とメイドカフェ、器用に仕事をこなす女の子と、まるで不器用な女の子、経験豊かでしっかりした女性と、正反対の女の子等、一見ミスマッチにも見える>>続きを読む
若き青年映画監督が、コロナ禍の煽りを受けて、金も仕事もないからと、山梨の実家からカメラを回して自転車を漕ぎ出し、コロナ禍ど真ん中の東京に向かって、複数の友人宅や宿泊施設に泊まりながらウーバーイーツの配>>続きを読む
この頃の黒澤作品には、映像としてのダイナミズムと、創作への野心が渦巻いていて凄みを感じる。
冒頭の捕虜の暴動シーンの迫力に呑まれ、木の枝に金が仕込まれていることや、隠し砦の存在に引き込まれて、敵中突>>続きを読む
ジョニー・デップがかつてはそれなりに高名だったが、今となっては特に私生活はどうしようもない写真家を演じていて、それが外野の勝手な見方ながら、彼本人の見栄えの裏の本質にもオーバーラップして、とてもいい。>>続きを読む
公開初日に鑑賞。
トーベ・ヤンソン女史が描いたムーミンは、幼いころにアニメの再放送を見ていた記憶があり、小学校の低学年で絵本を、また四、五年生の頃に小説を手に取った覚えがある。
現実には存在しない>>続きを読む
個人的な話で申し訳ないものの、9月中旬に職場の同僚が突然入院し長期療養に入ったことで人員不足に陥り、さらに部署内に新しい部門を作り、そこに自分が移ることに決まったことも重なり、休日こそあったものの、1>>続きを読む
アレサ・フランクリンの歌声を聴くのは久しぶりだったけれど、この記録映画の中で彼女が口を開いて歌い出すと、何だか初めてエラ・フィッツジェラルドの歌を聴いたときのように、耳を澄ましたこちらをハッとさせる清>>続きを読む
実は初めて観るマーベルスタジオ作品だったが、オープニング前にそのロゴを見せつけられて、これからいかにもなフィクションを観せられるのかと思うと、どうにもちょっとうんざりして、そのまま席を立って帰りたくな>>続きを読む
21世紀を間近に控えた頃、水面下で流行っていたので原作を買って読んだ記憶があるが、原作者独特の若者の青臭さのある衒学性や、コアなファンしか相手にしていないように思える内輪話的な作風がなじまず、絵柄の描>>続きを読む
安易にテレビの画面で観ずに、映画館で観られる日を待ち続けてよかったと、芯から思えた作品で、終盤、本作に出会えた喜びに打ち震えながらスクリーンを見つめていた。
黒澤明の大胆さ、無骨さ、荒さとその正反対>>続きを読む
幼い頃に政情不安でシリアやトルコから日本に移り住み、日本語も日本人と変わらずペラペラなクルド人の二人の青年と、主にその親族らに焦点を当てながら、ほとんどの来日クルド人が難民認定してもらえず、日本国内で>>続きを読む
モロッコの大都市カサブランカの、石造りやレンガ造りの建物が密集した旧市街メディナの入り組んだ路地や小径が織りなす迷路のような景観の異国情緒がよい。
イスラム圏、未婚でありながら身籠ったことで、住む場>>続きを読む
初めて深谷シネマで整理券を配られて鑑賞。いつになく早めに着いていたことにホッと胸をなでおろした(笑)
かつてのバンド・トーキングヘッズのヴォーカルでフロントマンだったデビット・バーンが、ソロライブに>>続きを読む
ベトナム国内の検閲で、当初の作品を大幅に改変させられたとかで、その改変によるやよらずや、最終盤の主人公の顛末が全く描かれていないので消化不良も甚だしい奇妙な作品。
要は、公営の宝くじの当選番号を利用>>続きを読む
時代劇を作る職人たちが寄り集まって、とにかく面白い映画を作るため、とことん勢い込んで、徹底して準備したことが伺える娯楽の秀作。
とにかく敵も味方もほぼ身内すら、悪役が本当にいやらしくてずる賢く、主人>>続きを読む
思っていたより、面白かった。
何より、宮崎駿は男性目線の理想の女の子像のヒロインしか描いてこなかったけれど、ジブリでその息子さんが、もっとしたたかで図太く、周りに流されるのではなく、自ら運命を切り拓>>続きを読む
原題が良すぎる(笑)
往年の名作といえど、さほど期待せずに足を運んだが、想像をはるかに超えて面白く大好きな作品だった。
個人的な西部劇の序列では、最高ランクにジョン・フォードの「荒野の決闘」と、サ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
十代中盤を思わせる少女の夏休みのひとときを描いた韓国の作品。
両親が離婚し、少女と弟は父親と、父方の年老いた祖父宅で暮らすことになる。父方の祖父宅は、郊外の高台にあり、高い塀に囲まれた少し年代を感じ>>続きを読む
「ウォーターボーイズ」を思わせるようなわざとらしい演出はどうしても苦手だし、川辺の廃車の秘密基地は、羨ましいとは思うけれど、誰にも荒らされずに存在しうるとも思えず、特に序盤は気持ち悪かった。
また、>>続きを読む
なんと周到な脚本と呻く(うめく)しかない作品だった。
原作を読んでいないので語りにくいが、主人公とその妻のストーリーだけなら、いかにもよく練られて、考えられたストーリーだけれど、考えすぎていてリアリ>>続きを読む
香港で生まれ、カナダのモントリオールで育ち、思春期には当時、香港で活躍していた若き歌姫アニタ・ムイから多大な影響を受けて、やがて香港のコンテストで賞をもらい、香港に戻って歌手を目指すが、しばらく事務所>>続きを読む
昔は本当に好きだった夫からDVを受けて離婚し、娘二人を連れてホテルで仮住まいをはじめ、公営住宅への入居を探るが、需要に対して供給があまりに少なく、まるで入居できそうもない。
日々の娘たちの世話に、離>>続きを読む
ゲームの中の世界と、現実の世界をリンクさせながら、双方ハッピーエンドに結びつけたストーリーは、かなりの剛腕ぶりながら、印象はとてもよかったけれど、どうしてあのニュージーランド出身の喜劇役者兼、映画監督>>続きを読む
間違いなく江戸川乱歩の世界なんだけど、それ以上に塚本晋也監督の独特さが、濃厚なにおいを放ちつつ、迫りくるといった印象の、強烈すぎて、もはや笑い話にさえなりそうなミステリー調のホラー。
眉毛を落とすこ>>続きを読む
時は1840年ごろ、イギリスはロンドンからはるか南東の小さな港街、ライム・レジスで年老いた母と暮らす民間の学者というか、化石採取の女流名人といったところで、父親から引き継いで、観光客を相手にした小さな>>続きを読む
ニューヨークの北側、移民たちが肩を寄せ合うように暮らしているマンハッタン内の下町ワシントンハイツだが、ニューヨーク近郊は段々と地価が上がっていることもあり、さらにニューヨークから離れた郊外に移り住む移>>続きを読む
本作を観て、さらにその日もう一作、別の映画を観てやろうなどとは全く思えなくなるほどの見応えを感じたドキュメンタリー映画。
元々、プロレスには全く興味はない。思春期には辰吉や鬼塚、平仲らがリングを沸か>>続きを読む