mistyさんの映画レビュー・感想・評価

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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.7

恋人と行くはずだった寝台列車の旅で乗り合わせた、ちょっと気が合わなさそうな人。三歩進んで二歩下がるような交流、増えていく笑顔、開かれていく心。小さく傷ついたり治ったりを繰り返して旅は続いていく。この関>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

本当のことは、もしかするとどこにもなかったのかもしれない。殺人も出会いも視線も慕情も劣情も、思い返すほどに、探り当てようとするほどに、霧が立ち込め消えていく。霧に自ら飛び込んでいくような、それでいて倒>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

井上雄彦に見えてたのはこの世界だったんだなあ
原作ほとんど覚えてなかったけど覚えてなかったからこそ初心に返って思いっきり試合を楽しんだし結果わかってるのについつい手を握りしめてしまう みんなの圧に当
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ある男(2022年製作の映画)

4.3

すごくよかった。原作未読ながらも映画単体でとても満足度高い。他人の名前で生きることでしか救われない人生、生き直したあとで出会った人たちの新しい関係やそれでも切れなかった関係、民族や出自、多くのテーマが>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.4

家族の物語。生まれたのは禁忌の生き物でも彼ら3人の生活には普遍的な愛が溢れていて切なくなる。彼らを囲む羊や犬猫の表情もとても豊かで見入ってしまう。でもエンドはなんか笑っちゃう。スッと始まりスッと終わる>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

4.2

レストランの満席御礼修羅場メリークリスマス。
遅刻、発注忘れ、予想外の客、迷惑なインフルエンサー、ホールと厨房の温度差、トラブル続きのノンストップ90分に学生時代にやってた飲食バイトを思い出し全然他人
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.5

幼い日、同い年の母に会えたなら、私は仲良くできるだろうか。
対等な立場で母と見つめ合うとき、私は何を言うだろうか。
私の悲しみや孤独は彼女と共有できるだろうか、私の言葉は彼女の悲しみを癒すだろうか。
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.7

漫画が二人の過去と今を描いたものなのだとしたら、映画はシイノの今と未来を描いたものだったかなと思った。
遺骨を抱いて旅に出ても、いつかは帰ってこなくちゃならない。親友が死んでも、生きていかなきゃならな
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.2

唯一無二のあみ子だった彼女の世界、彼女が見たもの聞いたものを追体験させてもらう時間。
人と溶け込むにはあまりに無垢で残酷で、周囲もあみ子も傷つきながらも彼女は強靭に生きていく。
子供ならではの足元の視
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.5

まず青春時代のキャストが揃ってくれたのに感謝。
でも話は面白いんだけどサラサラ〜と流れていっちゃってミステリとしては物足りないかも(脚本めちゃ苦労したんでは)あと後半に行くにつれて物理学のぶの字も出て
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

4.0

村上作品はほとんど読まないので雰囲気とか空気感とかへのシンパシーはわからなかったけど、失恋で傷ついた男性の描き方がとても丁寧ですごく尺を取っているように感じた。それから恋する楽しさ、恋のマジック、ちょ>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

4.0

ヒリヒリする。愛しているけど傷つけ合わずにはいられない痛みに肌がヒリヒリする。それはあの街に照りつける太陽だったのかもしれないし、顔に打ちつけられる滝の飛沫だったのかもしれない。好きなら好きなままでい>>続きを読む

わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.2

最後まで観てタイトルの意味が深く胸に刺さる。
成人しているけど大人とはまだ呼べない彼らの日常と恋愛とトラブルと本音と。彼らはまるで隣に住んでる住人のように近くにいて、彼らの感情がざあざあ流れ込んでくる
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.5

ホラーはそこまで見ないけどこれはド級のベスト。
怒涛と暴走の果てに訪れるエンドにはむしろ清々しささえ覚えてしまうけれど、母娘の関係性にある悲哀にも思いを寄せずにいられない。
人間の力が及ばない圧倒的な
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長崎の郵便配達(2021年製作の映画)

3.5

作家の父と長崎被爆者の絆を追いかける夏の旅。
恥ずかしながら谷口稜曄(スミテル)さんのことをお顔しか知らず、彼女の道のりの中で一緒に学ばせてもらった。
この人は本当にお父さんが好きだったんだろうな。終
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.8

会話のお供にコーヒーとタバコ。待ち合わせのお供にコーヒーとタバコ。みんな本人の名前で出てるのが面白い。
ケイト・ブランシェットの一人二役とラッパ飲みするビル・マーレイがツボで、物語では双子の話が好きだ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

50億人に身バレするとかDVの家に一人で突撃するとかいう物語上のヤバさをライブや歌の1億点の演出で押し流してなんだかよくわからないけどよかったな??みたいな映画になってた 冷静に考えるとこの物語はヤ>>続きを読む

レベッカ(1940年製作の映画)

3.5

舞台版は観たことあるけど映画は初めて みんな全部喋りすぎるのはしょうがないとしてダンヴァース夫人のカッと開いた目が怖くてよかった 至るところに残るレベッカの気配が不気味に演出されてるのはいいとして>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.0

原題sicarioに対して結構いい邦題だなと思った。話と人物が込み入っててウィキで補完しちゃったけどテイラー・シェリダンの脚本はさすが。善悪が揺らぐまさに無法地帯での極限。精神が混沌としていくエミリー>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.6

『女神の継承』が富山でも上映されるそうなので見損ねていた『哭声』を観たんだけど、最初から私は何を見せられているんだ状態で結局誰がどうで何だったのかわからないまま終わってしまった…これはキリスト教の知識>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.0

道はひとつじゃない、どこにいても、どこに行っても、たまに疲れても、信念があれば戻ってこれる。出会ったすべての仲間に愛を送れる日がやってくる。渡り歩いてたどり着いた場所は自分の原点。27歳はもう若くない>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.5

色んな人がベスト映画に選んでいたのもわかった気がした。
なんて丁寧な映画だろうか、韓国の家父長制、思春期の他者への感情のゆらぎ、先生のどこか超越した空気、悲しみや怒り、そしてウニが世界を見つめる一瞬一
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地獄の花園(2021年製作の映画)

3.2

ラストで一気に冷めちゃったな〜え〜最後まで女同士でやってくれよ〜ビジュアル的には菜々緒がいちばんヤンキーとOL絶妙なバランスで着こなしてて好きであとはLiSAの主題歌聴けたらそれでいいかなって感じの映>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

そもそもウルトラマンのことをよく知らないで観に行ったので終始ふーんみたいな感じだったな…問題の長澤まさみのシーンの存在意義も分からんし 山本メフィラス耕史の好きな言葉が思ってたよりたくさんあってちょ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.5

もだもだするやらまどろっこしいわイライラするわ体感時間超絶長いわの熱帯夜映画だった。こんな男と付き合ったら人生破滅する!人生立て直す!けど好き!やっぱり好き!もーみんなクソだけどでも恋してる!ん〜〜わ>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

人間が作る共同体の形を静かに眼差す映画だった。
何を以て親なのか、何が足りれば家族と呼べるのか、何がその人をその人たらしめるのか。
「望まずに生まれ」てもそれだけで人は死にはしないのだ。彼らを見つめる
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.7

楽しい映画だった。久しぶりに、ウォー映画!という体験だった。
敵の描写に思うところはあるものの、トムクルーズの全開サービス精神に思う存分楽しませてもらった。
映画館という場所にまだまだ希望を持たせてく
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

主役二人のクソデカ感情はさておいて、人の数だけ存在する物語を収斂させてこれが本流と謳うことの残酷さというかエゴの話なのかなと思った。
そこから物語をさらに本流の平家物語に乗せて盛者必衰を語るのはさらに
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

声優目当てで吹替版を観たんですけど結果オーライでよかったかもしれないなと思ったこれ字幕で見てたら寝てたかもしれん

『セブン』と『ゾディアック』を足して2で割ったような展開なんだけどでもそれなら『セブ
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.3

外はずっと雪が降っていてとても寒くて、だけど心は暖かい部屋の中にいるような映画だった。
長きに亘る彼女たちが受け続けてきた抑圧、それでも20年変わらず雪のように降り積もる想い、誰にはばかることなく私は
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

クッソ!!してやられた!!!!な映画だった。


第1章『キングスマン』→第2章『1917 命をかけた伝令』→第3章『ミッション・インポッシブル6:フォールアウト』みたいな感じの構成でちゃんとキングス
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マクベス(2021年製作の映画)

4.2

魔女の予言に欲望を乗っ取られた夫妻が転がり落ちていく悲劇。
恥ずかしながらこれが人生初マクベスだったのだけど初マクベスにはとても贅沢だったのでは?舞台美術や音楽そして俳優全てに一切無駄がない洗練された
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世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)

4.0

ひとりの少年を、子供を神格化して祭り上げることのあまりの残酷さ。
巨匠に見初められ、世界で一番美しいと呼ばれた彼は天使である前にひとりの人間で、何より庇護されるべき子供だった。
荒波に押し流されていく
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.8

元気が出る映画だった。ウォシャウスキーによる公式マトリックスファンアート映画みたいな感じ。
思い出補正バリバリかかってたけど思い出補正の何がいけないんだよ?!(逆ギレ)思い出補正だけじゃない映像美だっ
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.2

脳を直接突き刺してくる色彩に目が眩むトキシックでトリップなホラー。
60年代の音楽やファッションに心はときめきながらも現在まで地続きにある女性搾取のナイフが常に首元に突きつけられる。
悪夢は燦然と花開
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君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

4.0

就職先が決まっても、あとは卒業を待つだけでも、コンプレックスに押し潰されそうな彼らの日々。
誰もが痛みを抱えていて、気づいてやりたいと思うのにできなくて、そしてまた心が痛む。それでも寄り添ってくれる人
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