nagashingさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.5

小物をいじくる手つきや、屋外へ飛び出していく躍動感に、実際以上のものが宿っているような気はする。レオーのオーディション映像そのまんまなカウンセラーシーンとラスト3カットはやっぱりすごい。運動の持続で引>>続きを読む

孤独なふりした世界で(2018年製作の映画)

2.0

エル・ファニングってフェミニズム路線(『20センチュリー・ウーマン』『メアリーの総て』)と、MPDG路線(『パーティで女の子に話しかけるには』『ガルヴェストン』)がハデに乖離してません? もちろん両者>>続きを読む

ATARI GAME OVER アタリ ゲームオーバー(2014年製作の映画)

2.5

アーネスト・クラインとジョージ・R・R・マーティンの絡みにアガる。『GOT』パロディも嬉しいし、等身大ETを助手席に据えたデロリアンの爆走も最高。版権もののクソゲーに煮え湯を飲まされてきたひとりなので>>続きを読む

ブラック・ハッカー(2014年製作の映画)

3.0

ノマドすぎて笑う。限界ドルオタがキョドるかイキるかしかしないのでリアル。『search』との比較でも語りたいがなにも覚えてない。ただ、マルチウィンドウ上のカメラワークが擬似的な編集の役割も果たしている>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

3.5

『リズと青い鳥』の窓越しに光を照射させるやりとりのパクリ元なんじゃないか、というのがこの映画に向ける最大の関心。それはそれとして、あきらかに東西分断の時代の記憶が底流していて、音楽での成功に足をかけた>>続きを読む

ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)

3.0

『カンフーマスター』とかにも見え隠れしてるけど、ヴァルダってやっぱヤベー女。少年時代をユートピアとして再現するのって、本人だからできることであって、フツーは妻といえどそこまで共有できなくない? 老ドゥ>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

3.5

『嘘をつく男』のアフタートークで、廣瀬純が「現実には(ファシスト)イタリアが負けたのに、イタリア再建のために(反ファシスト)イタリアが勝ったと捏造された戦後の神話(=映画史的にはロッセリーニ)の脱神話>>続きを読む

灼熱の魂(2010年製作の映画)

1.5

ほとんど感動ポルノ。ギリシア悲劇的な寓意を通じて対岸の火事へのシンパシーを煽るために、ただでさえ苛烈な現実をありえんレベルの作為で歪めていて気分が悪い。前半のジャーナリスティックな語り口も映画としては>>続きを読む

白蛇伝(1958年製作の映画)

2.5

編集が宮本信太郎でビックリ。ググったらMovie Walkerでは4年間で372本も担当してることになってた。人間……? 基本的にキャラクターの横移動で画面を展開していくのであまり映画的な空間にはなっ>>続きを読む

テラスハウス クロージング・ドア(2015年製作の映画)

3.0

ドキュメンタリーという形式的な建前とフィクションでしかありえない映像文法がしれっと共存してるのが謎でおもしろかった。そこそこ強度のある表層だけが虚実の審判を超えてくる。ベタに没入してるのか、ネタとして>>続きを読む

楽日(2003年製作の映画)

4.5

雨音、足音、映写機の音、壁ごしに漏れてくるくぐもった上映作の音が、うつろな館内にこだまする。離合集散のテンポラリーな場である映画館を、水槽か沈没船のような孤立した閉鎖空間として形象するサウンドスケープ>>続きを読む

ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

2.5

マジで初見。少しは人間力とりもどせるかと思ったのに、田舎の学歴コンプおじさんに理想を押しつけられて不幸になる話でヤバかった。やはり人生は虚無。スクリーンの比喩として隙あらば仕込まれるフレーム内フレーム>>続きを読む

赤い犯行 夢の後始末(1997年製作の映画)

3.0

ピュアネスにもストイックにもパラノイアにも見える町田康の目力。けど、映画について語る映画を劇中でディスっておきながら、それそのものになってることの皮肉、ひいては映画狂の自虐ユーモアの受け皿となるには、>>続きを読む

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年製作の映画)

4.0

キッチンに立つ母親のちょっかいを背中に受け、友達と肩をならべてモニターごしに世界を救っていたすべての子どもたちを包摂する「ぼくら」のウォーゲーム。子ども視点の荒唐無稽なガチ奇跡と、それが大人の視線にさ>>続きを読む

デジモンアドベンチャー(1999年製作の映画)

5.0

団地映画としても兄妹映画としても最高。『ぼくらのウォーゲーム』よりもおもしろい。レイアウトがいちいち完璧だ。子どもの大きさとデジモンの大きさと団地の空間構成のバランスとか神が宿ってる。デジモンの実在感>>続きを読む

Goshogaoka(原題)(1998年製作の映画)

4.0

中学の女子バスケ部の基礎練習を、レイアウト、フレーム内外の往復、運動パターンの不随意な変化と逸脱によってコンテンポラリーダンスに読み替えてる。より露骨な演出が施されてコンテンポラリーダンスそのものにな>>続きを読む

(1961年製作の映画)

3.5

マストロヤンニとジャンヌ・モローという時点で貞節が守られる確率0%カップルだと思ったが、ふたりとも最後の一線は超えないのでビビる。あるいは容易に超えられないからこその閉塞と倦怠か。その寄る辺なさを、人>>続きを読む

手錠 ロスト・ヴァージン やみつき援助交際(2002年製作の映画)

2.5

余白と雰囲気で語らせようとする風なわりに、露骨にエモーションを喚起する反復を仕込みまくってるのがあまり好きじゃない。結合部を見せないように性交中だけズームするのはなんか笑えた。ホン・サンスよりバカっぽ>>続きを読む

黄金(1948年製作の映画)

3.0

本当に笑うしかないラストですべて帳消しになるが、フラグ立ちまくってる裏切りが、あの手この手で先送りにされる構成がタルい。「宙づり」ではなく「中断」されてしまっている。山賊とのドンパチなどは全体の心理劇>>続きを読む

女と男の観覧車(2017年製作の映画)

3.0

テネシー・ウィリアムズとかアーサー・ミラーをやりたかったのは時代設定からも察する。くわえて『サンセット大通り』『何がジェーンに起こったか』もしかしたら『ベロニカ・フォスのあこがれ』あたりの系譜が合流し>>続きを読む

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)

3.5

「黒馬の哭く館」ロジェ・ヴァディム
めっちゃ60’s。ジェーン・フォンダの髪型がビーハイブだし、貴族の退廃描写はヒッピーっぽい。ドラッグとフリーセックスの時代の歴史劇。傲慢で性的に奔放なフォンダの愛執
>>続きを読む

たまもの(2004年製作の映画)

4.0

孤独な女の愛の軌跡を見守るどこまでも微温的なまなざしにたまらなくなる。彼氏の視点ショットの砂浜での戯れが後半に遠景で繰り返されるの、「俺が見てるよ……」と謎目線で応援。発話にある種の堕天、イノセンスの>>続きを読む

ペッティング・レズ 性感帯(1993年製作の映画)

3.5

顔面偏差値格差百合ップルよかった。そして面食いの不器量がレズってると自己投影できるという微妙な快楽を発見してしまった。バ美肉ほどおもしろおかしく倒錯できない中途半端な女性化願望ツラい。一方では、部屋の>>続きを読む

桃太郎 海の神兵(1945年製作の映画)

3.0

狂いまくるパースもヌルヌルすぎる動きもエグいメタモルフォーゼも無軌道なカメラが切りとる異次元な空間もすべてがヤバい。そしてこの『ジャングル大帝』みたいな動物による動物の文明化教育、もしかしなくてもアジ>>続きを読む

ザ・スチューデント(2016年製作の映画)

2.5

聖書を引用しまくって周囲の欺瞞を論破しまくる少年、厨二病ガチ勢という感じがあり非常に良い。しかし、全体のアイロニーを支える露悪的な描写が過剰すぎて興ざめしてしまう。役者の演劇的なパフォーマンスとヒリつ>>続きを読む

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

2.0

質より量をそろえるのはたぶん戦略的に正しいのだろうが、結果的にすべてを踏み台にして山戸結希が輝くオムニバスになってる。総括を引き受けざるをえない山戸と素朴に身辺雑記的なもの提出してしまったその他との意>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

4.5

推しキャラの声優に出会ってしまったオタクの話。肖像画に女友達の顔をはめ込んだコラ絵にブチ切れるの、完全にブスのコスプレはキャラへの冒涜だと思ってるオタクのふるまいで笑った。キム・ノヴァクへの偏執的なま>>続きを読む

The Green Fog(原題)(2017年製作の映画)

4.0

だいたい合ってる。『めまい』を失ってしまった映画史が、がんばって思い出しながら手持ちの素材で『めまい』を再現しようとしている感じ。それが『めまい』のジェームズ・スチュワートそのもののようで涙ぐましい。>>続きを読む

ダーク・スター(1974年製作の映画)

4.0

偏愛。予算6万ドルでスペースオペラを作ってるのにまず胸が熱くなるし(心もなごむ)、どれだけ美術がチープでも、ダン・オバノンの一連の受難シークエンスできちっとシュールなコントから映画にしてみせるカーペン>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.0

ヴァルダは天然でやってるんだろうけど、露悪的な現実認知の皮肉を非現実的なオシャレ映像で成立させようとするところに、戦略的なあざとさを見てとってしまう。徹底された衣装と美術のカラーコーディネート、厳格な>>続きを読む

22年目の告白 私が殺人犯です(2017年製作の映画)

3.5

プロットの仕掛けは読めちゃうんだけど、中盤まではかなり楽しめた。多種多様なフォーマットの映像が、時にはモニター越しに入り乱れ、本物と偽物のフッテージが等価に扱われる。もはやメディアを通してしか現実の手>>続きを読む

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

4.0

「若い濱口、かわいくね?」とか思ってしまったんだが、コロナ禍のストレスがいろいろとキテるのかな。映画について語っているときと同じトーンのつたない演技も、いまではさすがにやらなそうな男女の三角配置とかの>>続きを読む

花に嵐(2015年製作の映画)

3.5

擬似ドキュメンタリーである以上に擬似プライベートフィルム。アイロニカルな自画像はうさんくさいし、形式・ジャンル・虚実の境も混乱を装って小器用に整えてある。その周到さに感心すると同時に警戒。しかし、幽霊>>続きを読む

La France contre les robots(原題)(2020年製作の映画)

3.0

歴史は繰り返す? 二窓で二部同時再生して観た。けっこうズレてる。昼パートのほうがカット尻が長いため、夜パートが暗転するタイミングで白鳥が飛んでくるのが感動的。未来への希望というか注視しつづけることへの>>続きを読む

転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)

3.5

いきなり頭おかしくて追悼気分がふっとぶ。画面の斜き、食い気味の編集、イマジナリーラインのガン無視。特撮皆無でも変態空間が成立。信州らしい風景を収めつつも、側溝や狭い路地、階段の高低差などでむりやり尾道>>続きを読む

恐怖の岬/ケープ・フィアー(1962年製作の映画)

3.0

スコセッシのリメイクとの異同が楽しい。白黒ならではの照明設計や細かい編集で、こちらはよりサスペンスとして洗練されている。終盤もデニーロがヒャッハーするリメイクと異なり、静と動の緩急をしっかりつける。比>>続きを読む