映画の長い長い始まり。引き摺られ、木々の隙間の空を仰ぐ。あぁ、私は死んだのか、とふと思い至る。
知らぬまま立ち入ったら、誰の都合も関係なく、棘に切り刻まれて、背中を撃たれて、立ち退きを迫られる。私は急>>続きを読む
時の断片の連続。薫るお茶の蒸気と木々の作る影だけが息をする。隙間を埋めようと、焦るほど、その岩間に足をとられる。脳内の微量の電気信号に支配されて、この「今」さえ知らないまま死ぬ。
私は誰か?何をどれくらい持っているか?だけで闘うには、社会はあまりにも不平等と不誠実で構成されている。これをどう使うのか?を結集させて、ようやく、巨大な氷山の一角を崩落させられるのよ。
そうやって、人>>続きを読む
身体×意識×芸術×歴史×共同体…無意識に日々またいで生きる様な類いの枠組みが、見事、鮮やかに絡み取られて堕ちていく。真っ黒に飛び散る鮮やかなその人。
理性を信じてる誰かに向けた宣戦布告。
言語化する過程に、他者の存在は絶対で、壁打ちの相手は必要で、それは私たちを「自己」という狭い井戸からつまみあげて俯瞰することを強制する。言語化することで共有できる保証もなし。
自分の言語に裏切り続けら>>続きを読む
これを良いと言わないと人間じゃないと言われそうな危機感と閉塞感こそが、この社会の生きにくさを象徴してる気がしてならない。「悪い」映画だとは思わないけど、世の中の「良い」だけをかき集めて、円陣を組まない>>続きを読む
惰性と言葉遊び、軽薄さと余暇。権力と呼ぶにはあまりにも烏滸がましいほど、陳腐で短絡的。それでも、それなのにここまで見逃されてきた空恐ろしさ。
時代とは、物語とは、1人1人が紡ぐものなんて甘い夢ではなく、うねりをあげて自らに襲いくる波。
政治がつまりはゲームだということは、誰もが気づいているし、そのゲームには人の命が賭けられていることも当たり前の事実なのに、ゴールも正解も分からないまま始めてしまったので、戻るに戻れないホラーゲームに、>>続きを読む
産まれてしまったら最後、勝手に母や父、子と名付けられて、そうであって欲しいと期待される。期待は希望とは違うのよと何度も何度も説いてくれる本作。C'mon C'mon=遠く、遠くと訳したその人は素晴らし>>続きを読む
ハリーがこんな真面な役するはずねぇと思ったら。裏切らないねぇ。
身内に、、勝手に生き方決めてくんじゃねぇ、会社の同僚に、、ことある毎にジャッジして組んじゃねぇ、と毒づきたいそこの貴方に。
優しく穏やかに生き残るには、動物としての感度が高すぎて。怯んだ隙に食い殺される今に、埃っぽいリンクは適切な行き場だ。死に物狂いの上に倒されたとしても、またリンクでの再会を約束できるそれは、やっぱり適切>>続きを読む
万華鏡。揺れて揺らして、みえるモノが変わる。「見たいもの」はみえないまんま。それでも揺らし続けて、生きていくしかないのね。みえたものを言葉にした途端、また光がそれを変えてしまう。
置き去りにした赤ん坊は自分とその周囲に抱く違和感の具現の様で、明確な存在なのに、確かめようもない不安の根源のよう。傾けられる同情にも同意しかねて、突き立てられる敵意も理解しかねる。不穏なまま、不確かな>>続きを読む
すでに語り尽くされていそうだが…酷すぎた。セリフが、主人公らしきお方達の演技が、間が、出てくる人たち全員の薄っぺらさに辟易してしまう。テーマ以外の重みゼロ。
どうでも良い設定(お父さんが作家でお金も>>続きを読む
個人から共同体、過去から未来、ひいてはマルチバースにまで私たちを連れ回して見せつける。些細(に思える)選択が分岐してこんなに遠いところまでこれるだなんて!
自分の可能性を知らずして、母は娘の可能性に希>>続きを読む
夢と引き際と金と忖度と権力と失望と…この協奏曲を「幻滅」と呼ぶ。どんなに美や若さを振り翳して立ち向かっても、お金の非情さを前には何にもなり得ないのか。
野原の空をかすめて、葉を揺らす風にはなり得たよう>>続きを読む
特権主義的な選択的安楽死から、公的な開かれた安楽死へと変容した後の社会。社会構造が変わらない限り、「死」を私たちは経済の俎上にのせて語ることになるのか…
いく先、死に方はさらにビジネスライクになり、著>>続きを読む
抽象が具象を凌駕する様を眺めよう。かくかくとした映像に、不必要にビビットな画面を忘れて、音に包まれよう。
映画を観ながら、ジャズのライブに想いを馳せて、原作の緻密さを懐かしむ。
空手バカなアジア系の彼は、相手の気持ちも汲み取る事もできず、周りにも呆れられる。純粋で無垢でバカなのだ。
それでも尚、この映画をラブストーリーとして受け入れてしまう私は、やっぱりそんなバカなアジア人な>>続きを読む
ジョーダンピールは「我々」にまつわる蓋された物語を顕在化させるのがうまく、それをハリウッド映画の文脈に乗せて、語らせるのがうまいのだ。
そこからこぼれ落ちている「我々」に、やっぱり意識的にありたいとも>>続きを読む
気合いの入ったアニメーション。長年描きたかったであろう登場人物達の背景。漫画を読んだあの勝利のアツさみたいなものが体感をもって戻ってくる。
なのに、ぬぐいきれない物足りなさ…あぁ、私は次の負けた試合を>>続きを読む
彼女は「ソンゲン」だか「アイデンティティ」とか軽やかに飛び越える位の薄いピンクのチュチュの可愛さと、儚げに跳び回る妖精の足元が好きなのだ。その喜びを、肩寄せ合ってクスクス笑う場所は、私たち大人が高らか>>続きを読む
(消費可能な)美を突き詰めるとき、私は簡単に他者との比較なくしては語れず、過去の私との俎上に乗り、踊らされ続けるということ。
私達が如何に簡単に孤独や死に取り憑かれ、無意識なままに群衆へと迎合するかが描かれる。いや、誤解を恐れずに言うならば、快楽への迎合だと呼んでしまおう。
病が蔓延し、愛や健康はお金と変換可能になり、残され>>続きを読む
一面、雪の余白。足りない言葉、足りない色、足りない背。足りないだらけの世界は満ち足りている。
台風の目のように、安心な日常は狭く不安定なもの。一歩違えばそこは荒れ狂う闇。闇に踏み出すには武装の盾なくしては誰もが砂ぼこり。風の吹くまま、善悪も愛も喪失も忘れて、日々をこなすことしかできない。この砂>>続きを読む
聖なる存在とするもの、されるもの、そしてその周囲の有象無象。傷つけられることなどない客体でい続けることで、私であり続けられたのだけれど。諸共崩れ去りそうな「私」を、こじ開け、引き摺り出してくれる存在は>>続きを読む
受け入れて欲しいと思い続けた人生だろうな…母親に、里親に、仲間に、妻に、子に、国に。言葉は法に乗せれば、人を整頓し分断してしまうもの。言葉は歌に乗せて、人を受け入れ包み込むもの。
パッケージから、はみ出しものの愛おしさ絶頂!みたいなのを期待したからなのか、夜の街の大冒険も、ひと時の「まっとうな」お時間も、なんだかいつまでも続くダラダラとした未熟さの重ね合わせと寄せ返しに思えて、>>続きを読む
漫画という武器で、踏み躙られた色々を凌駕する。罵声はコマに割り振られ、区切られて、少しお淑やかに聞こえますから。
昔昔、一種の団結(感)を経験した世代に向けた、俺たちは凄かった精神の再確認。物申したい相手が明確で、倫理観はもっと単純だった時代。若者たちよこれを見て立ち上がれ(俺たちのように)!声をあげろ(俺たちの>>続きを読む
映画の好き嫌いなのか、軍隊の男臭のエグみなのか、作戦が長引けば長引くほど燻されて吐いてしまいたくなる。闘いたくて、闘いたくて、しょうがないということだけは明確ですね。
一生メラメラと炎のたぎるこの世界観でいくおつもりですかと。パワーとは、なんぞやと。相手を知り尽くし、叩きのめして、裏切り倒し、友達だとガハハと笑い飛ばすその腕力よ。
脳内ベクトルが四方八方飛び散って、>>続きを読む
産まれてこの方、ずーっと、ずーっと私たちは森を彷徨い続けているようなもの。出会い、見送り、見送られるもの。
分かるはずもない母親の気持ちを、ちょこっとだけでいい、こうして一緒に過ごしてあげられたら、友>>続きを読む