ソリッドな映像と音楽、
没入感のある視点。
整理整頓された起承転結の物語。
冒頭からあっという間に
意識はスクリーンの中へワープ。
(おそらく寡黙な)
殺し屋の心の声と所作には
"生きる"という>>続きを読む
アアルトの描く曲線は、
年輪のように重なって美しさを増す。
その曲線はアルヴァとアイノの2人にしか描けないものだった。
アイノの存在の大きさと、
アアルト建築へのフィンランドでの評判が意外なものだ>>続きを読む
リアルで軽快な会話の応酬の奥にある
青さ。淡さ。深さ。
うたの力に負けない、体温を感じる物語。
終始不穏な空気を感じつつも、
不思議と不快ではなかった。
そこには確かに日常があって、
愛すべき人たちが描かれていると感じた。
本当の自分は
鏡にすら姿をみせないもの。
人と向き合うことと、人を>>続きを読む
浅い眠りで昼寝をしていたかのような物語。
架空の町でみる夢と現実と。
永遠に未完成のままの
アステロイド・シティに行ってみたくなった。
線対象の世界とフレームの美しさと。
荒野の奥行きに見惚れて>>続きを読む
北欧郊外。
美しい森と水辺と団地。
無垢な感情が力に変わる時、
水面は激しく揺れ、木々がざわざわ。
不穏な空気に息が詰まりそうになるが、
ふっと力が抜ける瞬間がいくつもあったのは、童夢がゆえか。
目を澄ませても澄ませても
そこはざらついた世界。
逆光の夕陽に照らされる
孤高のシルエットが美しかった。
怪物だーれだ。
水筒から出てくるのは綺麗な水だが、
その底にはたくさんの泥が詰まっていた。
水筒の中で
綺麗な水と泥が混ざり合って沈殿していく様子は誰にもわからない。
" 誰でも手に入れられ>>続きを読む
自愛、他愛、慈愛。
辞書に載ってる愛は数あれど、
相手の目をみて話せたら、それが愛なのかもしれない。
誰だって光を放っているのは、片面だけ。
韓流ドラマのような急な落差のある物語に少しの違和感を>>続きを読む
教訓に満ちていながらも、
それを打ち消したり打ち消さなかったりする
瑞々しい会話劇。
"女っ気なし"の続編のような
ほっこりと辛辣さ。
本作もギヨーム・ブラック監督オリジナルの
甘辛スパイスが絶妙>>続きを読む
猫と犬の違いに関する挿話。
真っ白で黙々と湧き上がる海辺の工場の煙。
フレーム内で交わることのない視線が暴力的で美しかった。
摩擦で自分を削りながら、他人の懐に留まりたいという慣性の法則。
濱口>>続きを読む
誰かの想像(妄想)がめぐりめぐって繋がって、偶然を生む。小さな世界はそうやって成り立ってるのだろう。
日常は、きっと偶然に満ちている。
美しい若者から発せられる言葉に魂はなく。ただただテキストが消えていくだけだった。
まるでマネキン人形のように。
待ちわびた、
スクリーンでの『やさしい女』。
同じ時間と空間。
ふわりと宙に舞った白いスカーフよりも
先に割れてしまう花の壺。
階段を登るよりも降っていくということ。
恋と愛、男と女
真理を感じ>>続きを読む
朝焼けの逆光が静かに映し出す、
漆黒に近い青の美しさ。
真っ赤なSAAB"39-82"。
秘密が親密さを生み、
孤独が助手席に語りかける。
運転席の後ろに座った時から重なる人生。
トンネルを抜け>>続きを読む
待ち焦がれた、"街の上で"。
人知れず、密やかに残るもの。
確かに其処にはあって、繋がっていくもの。
1本のメンソールのもらいタバコ
(のもらいタバコ)のように。
デッキのない
カセットテープ>>続きを読む
オーバーダイで淡く塗り重ねられた
宵の空のうつくしさ。
嵐のなか、窓の外で舞いつづけた
一枚の白いシャツのうつくしさ。
この"すばらしき世界"のえぐみに、
ひたすらに酔いそうになった。
ノーラン監督が描き続ける
" 時間 "という概念の向こう側。
待ちに待った映画を
劇場で観られるって本当にしあわせだ。
半地下のなかに潜む半地下。
エッシャーの騙し絵のように、
上がっているのか下がっているのかわからない半地下への階段。
大きな家の大きな窓から
眩しく見える緑の芝生は、
天国か地獄か。
劇場で観て以来、心に残っていた作品。
時間と空間と想いが行き来する、
ある幽霊の物語。
エンドロール後の世界。
AphexTwinの不穏で明るい音楽とともに。
"優しいひとと、優しくないひとがいるんじゃない。優しくしたいと思うやつとそうじゃないやつがいるだけ"
天性とはなんたるか。
小気味良いテンポでほんのりあったかい気持ちになる良作。
" "の中と外の言葉の透過。
濾過された感情、想いが、
音もなく粉雪のように降り積もる。
毒味の薄い是枝監督が描く、
純度の高い『家族』がここにも。