このレビューはネタバレを含みます
『ミークス・カット・オフ』のラスト・シーンでミシェル・ウィリアムスの視線の先にあったのはこれだったかと思う。
淡々たる自然描写をし、自然音を際立たせるライカートの手法。なにも劇的なことは起きない「ウ>>続きを読む
国立映画アーカイブ<東宝90周年特集part2>のオープニング。
1933(昭和8)年、日本でのトーキー初期のミュージカル作品。日本のトーキー第一作『マダムと女房』1931 ですでに明らかだが、音を>>続きを読む
国立映画アーカイブの<EUフィルムデイズ2022>より。ギリシャ映画(フランス、セルビア合作)。
資本主義と労働、家族、男性中心の社会、物質消費、生きる歓び等をめぐる物語(スケッチ)で、ケン・ローチ>>続きを読む
国立映画アーカイブ小ホールでの<コレクション2022春>より。
1941(昭和16)年、34分の国策映画小品。農村(京都亀岡)の貧しいがおだやかな暮らし(銃後の暮らし)と親子の情愛、家族愛を過不足な>>続きを読む
2020年の秋に文芸坐のヴァルダ特集で初めて観て以来、この映画のいくつかの場面がフラッシュ・バックする。初見の際の印象は、衝撃というよりは、自分のなかにもともとあった「トロ火」がよりはっきりと見えるよ>>続きを読む
国立映画アーカイブ〈サイレントシネマ・デイズ2021〉より。
原題に「Lazybones」と出て、ああ、これはジョニー・マーサー&ホーギー・カーマイケルのあの名曲か、自由劇場の吉田日出子が「上海バン>>続きを読む
1966年の『バルタザールどこへ行く』と翌1967年の本作とは双子のきょうだいみたいなもので、驢馬のバルタザール=少女ムシェットである。
ムシェットが履く無骨な重い靴の音はバルタザールの蹄の音だ。運>>続きを読む
その作品を観た/読んだ後では世界の捉え方が変わる、という言い方があるけれども、こっちも60過ぎだからそう簡単に人生観が一変することはない。ただ、世界の深淵がかくも深いことをあらためて知るということはあ>>続きを読む
国立映画アーカイブの<中国映画の展開>特集、初日。中国映画サイレント期の伝説的スター、阮玲玉(ロアン・リンユィ)のフル・レングスのフィルム(82分)をスクリーンで初めて観る。
1930年代の上海。主>>続きを読む
12月29日(2020年)にNHKBSPで観たドキュメンタリー「三船敏郎生誕100年」から間を措かずにWOWOWで本作。
黒澤映画の語り部である野上照代をはじめ、長男の三船史郎、香川京子、司葉子、土>>続きを読む
スパイク・リーは、ひとつの同じ歌をうたい続けている。Do da(the) right thing. 本作の登場人物のセリフのなかにもそのメッセージは溶け込んでいる。相も変わらず。そう、相も変わらずだ>>続きを読む
<山口淑子 生誕100年>特集より。
タイトル・ロールに「撃チテシ止マム」の標語と「情報局国民映画」のクレジットが入る。オープニングは、日本の兵隊さんが、統治下にある支那(中国)の子供たちに「日の丸>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
ダイレクトな感想を言えば、後味のわるい、気持ちのわるい映画だった。
この映画の主役は原節子の足だ。それも膝から下の。前半、学者にして代議士の矢島=佐分利信と女子>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
3時間27分+途中休憩10分、の長丁場だが、まあストーリーはだいたいわかっております。あとはもう日本映画黄金時代のスターたち、歌舞伎界の名優たちが湯水のごとく出て>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
幕末の秀才蘭医=森繁が東海道は島田宿に根を下ろして、庶民たちの診療治療に生涯をかける物語。『赤ひげ』? なんですが、そこはそれ、モリシゲですから、『夫婦善哉』『駅>>続きを読む
ゆるいなあ、ゆるい、ゆる過ぎる。興業とやくざの裏社会で、こんな場当たりでだらしなくてギャンブル好きでしかも弱い、いつもぐずぐずニヤニヤしてるだけの経営者なんているわけがない。主演のベン・ギャザラは『オ>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
徳川夢声が神さま役で出てきたところで、あ、これ観たことあるワ、小学校ン時の巡回映画会で、ってそれ昭和40年代の思い出。そのときはツマンナイ映画だなーと思ったのであ>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集、いくつか観てきたが、ああたいへんな傑作に出逢ってしまった!
ここでの原節子は実にかっこいい、ハードボイルド、自立する女、フェミニズム。1939(昭和14)年の作品だが、>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
原作はアンドレ・ジッドでキリスト者の苦悩に関する告白小説らしい。本作でも、原作同様に、ヨハネ伝第9章41節、ロマ書第7章9節が引用される。盲目の少女・雪子=原節子>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集より。
ああ何度観ても胸がすくなあ、山中貞雄。しかし、ああ何度観てもセリフ聞き取れないし、ノイズすごいし、画面傷だらけだし。先日の東京国際映画祭(2020年10月)で初上>>続きを読む
<原節子 生誕100年>特集での上映だが、原節子はほんの脇役で見どころは少ない。
南樺太(サハリン)の蟹缶工場が舞台(ロケ地はクナシリ島)のプロレタリア映画。とはいえ労働者側の視点からではなく、経営>>続きを読む
国立映画アーカイブの<生誕100年 映画女優 原節子>特集より。1935(昭和10)年の原節子出演第3作で現存最古の作品だそう。
オープニングでいきなりセーラー服姿の15歳原節子のクロースアップ。清>>続きを読む
今でこそADHDとかアスペルガー症候群、統合失調症、脅迫神経症などと命名分類されてその症状を呈するひとは病人として扱われる。けれども、しばらく前までそういうひとは病人ではなく、困ったひととか不思議ちゃ>>続きを読む
1959(昭和34)年日活モノクロ作品。長女=北原三枝、次女=芦川いづみ、三女=清水まゆみ、両親=大坂志郎・山根寿子の配役で、昭和30年代の東京を舞台にした"若草物語"。なにを愛でるかといえばそれはも>>続きを読む
アップリンクのカサヴェテス特集から2本め。
中年男ふたりの馬鹿騒ぎが冒頭から延々と続く。歌い、踊り、じゃれあい殴り合い、ほら話思い出し話。酔っ払い、やたらと煙草を吸い、面白くもなんともない宴会芸の応>>続きを読む
国立映画アーカイブの<松竹映画の100年>特集の1本。
やくざ映画の形を取ってはいるが、切った貼ったやドンパチはメインではない。青春もの文芸ものの二枚目スターであった池部良がここではイメージをがらり>>続きを読む
アップリンク渋谷の<ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ>全5作は今回で国内最終上映だそう。そこからまず1本。
演劇の世界を舞台にしているが、いわゆるバック・ステージものとは違う。入れ子構造の劇>>続きを読む
ジャーナリズムもの、好きなんだよなあ、やっぱり。『大統領の陰謀』『ペンタゴン・ペーパーズ』『ペリカン文書』。権力の悪業をぐいぐいと追求してゆく、ジャーナリズムの本来の姿が明瞭に描かれているからだろう。>>続きを読む
ラピュタ阿佐ヶ谷の<東宝戦争ウエスタン GO! GO! GO! 愚連隊大作戦>8本のうちのトリ。岡本喜八監督が『日本のいちばん長い日』で描いた8月15日、その同じ日を別の場所・設定で描いたもの。この2>>続きを読む