tjrさんの映画レビュー・感想・評価

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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

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クリストファー・ノーランのデビュー作、まさかとは思ったがめちゃくちゃ面白かった。
デビュー作で、たった70分でここまでサスペンスフルに完成されているとは。
しかも今作は、サラリーマンとして働く傍ら、毎
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ノベンバー(2017年製作の映画)

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ハイコントラストなモノクロ映像がとにかく美しいエストニア映画。
現在小説は本国ではカルト的人気らしい。

ドイツ占領下のエストニアで暮らす貧民たちと、生活に根付いたマジックリアリズムとアニミズム。
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

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ディストピアの必然と言えば“何よりも恐ろしいのは人間である”という事実。
今作は何よりもそこにフォーカスし、人間の愚かさを克明に描いている。

ドラマシリーズだと、大災害の原因や敵対組織の掘り下げ、登
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

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フランスや韓国で映画制作を行うなど、名実共に国際的映画監督の是枝裕和が率いる分福が制作に関わる。

洗っても取れない掌の朱、父が家を出た後にするヘアアイロン、なりゆきに任せて自らのルーツをドイツ人とす
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

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出尽くしていたと思っていたワンシチュエーションスリラーの新たな佳作。

お約束通り、出てくるもの全てが伏線であるという収まりの良さは心地いい。

これでもかと不安を煽るカメラワークと老朽化した鉄塔のカ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

aftersun=日焼け、または日焼けに塗るクリーム。

これが長編デビュー作とは信じられない、シャーロット・ウェルズ監督作。
構成からカメラワーク、編集まで、アーティスティックながら情報が洪水のよう
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

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ナチスによるユダヤ人大量虐殺についての“ヴァンゼー会議”。その議事録を元に映画化。
ドイツ人らしい、硬質で淡々と進む会議は、これが実際に行われたという事実が無ければ、大した盛り上がりもなく退屈に終わる
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ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

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最推しの女性イギリス人俳優サリー・ホーキンス主演。

曲がった背骨で簒奪者として知られ、イギリス王家から除名されているリチャード3世。彼の遺骨を発見した女性の実話。

まずは何と言っても、主人公女性と
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ファイブ・フィート・アパート(2019年製作の映画)

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嚢胞性肺線維症のため、6フィート(180cm)以上近づくことができない男女のラブストーリー。

コゴナダ監督作品でファンになったヘイリー・ルー・リチャードソン目当てで観た。相変わらず人当たりの良い朗ら
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たまこラブストーリー(2014年製作の映画)

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こんな大傑作だとは…たった83分の間にどれだけ泣かされたか。

メインストーリーは“生まれたときから一緒”のたまこともち蔵のピュアすぎるラブストーリー。
ひたすらに純粋さを研ぎ澄ますとここまで切れ味鋭
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

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隠れた良作「ブラッド・ファーザー」のジャン=フランソワ・リシェ監督作。
「ブラッド・ファーザー」はメル・ギブソンにおんぶに抱っこかと思いきや、娘役のエリン・モリアーティとのキュートさが素晴らしいスパイ
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コロンバス(2017年製作の映画)

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やはりほとんどがフィックスの画の中、主演2人が出会って初めてドリーするカメラにときめいた。
「中心からズレているがバランスが取れている」と評する建築にあるように、主演2人とコロンバスを彩るモダニズム建
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

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スパイク・ジョーンズ「her 世界にひとつの彼女」を彷彿とさせる世界観。
美しい映像、ロケーション、プロップ、レンズフレア、音楽。それらに負けずしかしとても繊細な演技。
斬新な設定の近未来SF、しかし
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劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年製作の映画)

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26話かけて描いた1年生編と比べ、100分で描かれる2年生編は少し物足りなくもあるけれど、そのぶんエッセンスが緻密に抽出されていた。

繰り返し描かれていた「初心者先輩・経験者後輩問題」も再び。
今回
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

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「響け!ユーフォニアム」ではシリーズ演出だった山田尚子が監督にまわり、個人的に大好きな吉田玲子が脚本を務めた本作。
バイアス無しで傑作すぎて震えた。

オープニングシークエンスで2人並んで部室へ向かう
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劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ(2017年製作の映画)

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ほとんど追加カットの序盤。関西大会の演奏がナレーション被せ無しのノーカット収録なのは嬉しいかった。

本編は望美先輩と鎧塚先輩の話はバッサリ切られ(こちらは「リズと青い鳥」があるので問題無し)、あすか
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劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(2016年製作の映画)

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アニメ1期の総集編。
13話を100分にまとめているため、ニュアンスや枝葉が削ぎ落とされているのは仕方ない。しかし、そのぶんストーリーの軸がわかりやすくなっている。

キャラクターを楽しむためには心許
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

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痛快アクション作だったイコライザーも、3ともなると完全に日本時代劇。必殺仕事人。
普段は穏やかで優しく飄々としているが、一度殺すと決めたら極めてスマート。

オープニングでラスボスの如き貫禄を纏って登
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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ヨルゴス・ランティモスの出世作。
ここ最近の作品でも異様な世界観と奇妙さに難解とされるものが多いが、今作は初期の作品なだけあってキレッキレ。
観客に忖度するシーンなど一つも無い。
冒頭のボイスレコーダ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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「ALWAYS」「SPCR BATTLESHIP YAMATO」「永遠の0」「アルキメデスの対戦」などで戦時・戦後を描き、「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」「>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督作。
これまでのフィルモグラフィの粋を集めたかのような、圧倒的な141分。

ゴシックな世界観とファン
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

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ちさととまひろのやり取りは、前作でどんなもんかが分かってるが故に冗長に感じてしまった。
しかし、死体処理班の面々や新たなライバル兄弟が絡むと、社会を斜めに捉えた若者特有の空気感がとたんに面白くなる。
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REBEL MOON ー パート2: 傷跡を刻む者(2024年製作の映画)

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気持ちのいいくらい復讐の準備に全振りしたパート1のおかげで、ほぼずっと最終決戦。
決戦前夜、皆にタペストリーが贈られるシーンはグッときたなあ。そしてぺ・ドゥナ演じるネメシスがめちゃくちゃ推されてるなあ
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スペースマン(2024年製作の映画)

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傑作ドラマ「チェルノブイリ」の監督、ヨハン・レンクによる静謐な作品。
この監督、ブレイキング・バッドやウォーキング・デッドなども監督していてとんでもない手腕なのは間違いないのだが、今作は観念的な内容で
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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「サマーウォーズ」も「時をかける少女」も、そして「君の名は。」も今作も、夏の田舎の高校生が選ばれし者になるという設定はどうしてこんなにも魅力的なのか。

安定したハイクオリティの作画は没入感を高めてく
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

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妻に連れられて劇場版を数作観ただけの初心者には情報が多すぎて大変だった…逆に言えばコナンフリークにはサービス100点だったのかもしれないけど。

場面の切り替えやら登場人物やらが多すぎてとにかく忙しい
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ウィッチ(2015年製作の映画)

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鬼才ロバート・エガースのデビュー作にして、アニャ・テイラー・ジョイの躍進のきっかけとなった1作。

作り込まれたコンテクストは宗教的な要素があまりにも多すぎて理解を諦めたところもある。
シンプルにして
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Winny(2023年製作の映画)

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硬派な社会派ドラマであり、見応えのある法廷劇でもあり、生み出した物の正否を問うドラマでもあり、パラダイムシフトを予見した天才の生き様でもあり…
観る角度によって様々な輝き方をする作品で、そのどれもが非
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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ヤクザと中学生の交流についての否定的な意見を目にしてしまっていたからか、綾野剛がヤクザである必要性はあるのか?と思いながら見始めた。
終わってみれば、義理と情に厚いこと、命が散る可能性の高さ、コワモテ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

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「タクシー・ドライバー」のポール・シュレイダー監督・脚本。
この人の作品はハマると大傑作、外すとB級作、みたいなギャンブル性があると思ってるんだけど、今作は完璧に前者だった。

少ない登場人物とドライ
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特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト(2023年製作の映画)

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部長となった主人公の苦悩を中心とした、最後の吹奏楽コンクールの前日譚的作品。

久しぶりに観る京都アニメーション作品はやっぱりクオリティがえげつない。
それに呼応するかのように声優陣の演技も粒立って良
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

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オーストラリア最悪の銃乱射事件を映画化。
どうしてもガス・ヴァン・サント監督作「エレファント」を思い出す。

最小限のセリフと音で主人公の内面を解体し、最悪のラストへひたすら下り続ける112分。
最初
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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

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「パラサイト 半地下の家族」のパク・ソダムの切れ長な目とアンニュイな雰囲気が絶妙にマッチ。
「ドライヴ」のライアン・ゴズリングを彷彿とさせるショート丈のジャケットもめちゃくちゃかっこいい。

韓国のお
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ダムゼル/運命を拓きし者(2024年製作の映画)

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生贄としてドラゴンの巣に投げ込まれた王女のサバイバルアクション。
装備はドレスと短剣だけ、という飛車角落ちのシチュエーションでのDIYアクション、それもファンタジーの世界観でとなるとワクワク感はかなり
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

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ありがちと言えばありがちな現代ファンタジーも、辻村深月が書くとこうなるのか、と唸ってしまった。

不登校の女子中学生の逃避先としての「かがみの孤城」。そこには他に6人の中学生がいて、隠された鍵を見つけ
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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テメェらが求めてる黒人像ってこれだろ、と馬鹿にするつもりで書いた小説が大ヒットしてしまうという皮肉。
出版社の人間はまだコメディタッチで描かれていたから笑えたが、文学賞選考委員まで”あれはリアル”とか
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