TakaoOikawaさんの映画レビュー・感想・評価

TakaoOikawa

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

一体どうしてここにきてクリストファー・ノーランが一個人にフォーカスする事をしたのか疑問だったが、この人物の半生を辿ると一目瞭然、大戦の時代・赤狩りの時代と現代史に於いて重要な局面の暗部をしっかりと切り>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

洗練された美しさを持つ超級スペース大河ドラマとして確固としたシリーズになったといえる見事な仕上がり。

筋書きとしてはもちろん前作の続きであり、主人公ポールがどう再起を図るかという所が軸。どうやってそ
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スマイル(2022年製作の映画)

4.0

アバンタイトルで起きる最初の出来事がまず超強烈。もうその掴みが抜群で、しっかり入っていける。

そこから主人公がその出来事に呑まれていきつつ、どう対峙していくかという流れはベタではあるが、脅かす所とそ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

いわゆるハリウッド的なエンタメ性の高い法廷劇とは異なり、非常に地道なステップで裁判の場で何がどう語られていくかを具に捉えた生々しタッチの1本。

悪魔の証明めいたことが求められている主人公の立場は非常
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市子(2023年製作の映画)

2.0

上手く違和感を小出しにしつつ、何がどうなってるのかと引き込む流れや、主人公の設定など光る部分は確かにある。

ただ、エンドクレジットで話の出典があるのをみて納得はしたが、語られるフォーマットの違いへの
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バビロン(2021年製作の映画)

4.0

アバンタイトルで繰り広げられる享楽的で狂乱の宴がまず圧巻。嫌悪感さえ抱かれるであろうレベルでとことんまで乱れ散らかしていて、時代の寵児達の姿を克明に描いていく。

それ以降も時勢を追い風にするシーンで
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

とても丁寧に物語を紡いでおり、各人の立場や心情はかなり明確になるような作り(この丁寧さがスローと感じられるきらいもあるだろうが)。それに加えて主人公に関しては自身のアイデンティティに関わるような葛藤も>>続きを読む

オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.5

スマートでスタイリッシュ、割と最近多めな印象のあるスパイ映画の路線。

とはいえ、陰謀度合いは結構大きいハズなのに割と駒はすぐに出揃うのでそんなにスケール感が出てないし、ガジェットで魅せるという訳でも
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.0

特に曰く付きの場所に行ったという訳でもないが、ふとした所で恐怖の扉が開かれ、主人公が飲み込まれていく様は非常に不条理で、危うい空気感が迫ってくる流れにはぐっと引き込まれる。

そうして徐々にホラーみが
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エンド・オブ・トンネル(2016年製作の映画)

4.2

主人公に身体的な制約があり行動がかなり制限される中、一見ミスマッチであろうクライム系サスペンスとして見事に仕上がっている。

そんなジャンルにとってはハンデかのような要素が全面に出ている設定であるが故
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

冒頭から、妙な閉塞感が漂いつつ、辻褄が合ってるようで合ってないような、リアルとアンリアルの揺らぎの中といったような世界が繰り広げられる。

そこで醸し出されるというか、ぶつけられる様々な不条理と煽られ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

ヨルゴス・ランティモスの映画なのにポジなバイブスしか感じないようなTVスポットで、そんな事あるのかと当惑してたけど、意外や意外、その方向性で大丈夫だった。

心理的なダークさはテリー・ギリアムやティム
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マーベルズ(2023年製作の映画)

2.5

良くも悪くも至極オーソドックスな作り。

お手本のように起承転結があって、逆境要素からそれを跳ね返せるかという盛り上がりも作られてはいる。3人入れ替わりアクションというギミックはバトルシーンにオリジナ
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

4.7

前作と基本的にやってる事は同じではあるのだが、謎に迫っていくスピード感と困った局面で使える様々なサービスやアプリの広がりを体感する時の高まりはやはり見事。さらに新たなデバイスの登場も取り入れて作品世界>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.8

配信まで観るのを寝かせてしまっていたのが勿体ないと感じた快作。

タイムループものに掛け合わせるには至って地味そうな会社勤め人たちだが、その解がこんなに鮮やかなのは本当に素晴らしい。

職場あるあるを
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

2.5

完璧でスマートな仕事人といったこだわりに満ち満ちたモノローグと共に進行。

少しの綻びから状況が変わっていき、どう巻き返すかという所を追っていくこととなるが、冷静なモノローグと相反するくらいやってる事
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正欲(2023年製作の映画)

3.0

普通のど真ん中をいく人への一撃という点に於いてはよくぞという思いは確かに生まれる1本にはなっている。無自覚な普通の押し付けをしがちな人間が物事を判断する側にいる時の厄介さなども切に感じる。

そうは言
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キリエのうた(2023年製作の映画)

2.0

メインに据えられるのはクセのあるキャラクターで果たして何がどうなってこうなってるのか、どこに行きつこうとしてるのか何が明かされるかで序盤引っ張っていく。

徐々に絡みゆく関係性が紐解かれていく中でパワ
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.2

まずやはりこの記憶にも新しい一連の出来事を、しかも映画業界で起きた中、こう形にまとめあげるスピード感が見事。更に実際に声を上げた人物まで出演しているのも重みを増している。

もちろん内容もしっかり真に
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.5

基本的にモノローグとスチールで構成。その中で、果たして何枚使われてるのかというその素材たちだが、当然1枚が大写しになる訳でどれもこれも決めカットといえる質の写真が揃っている事が素晴らしい。そこで生まれ>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.0

まず起きるのは世界観そっちのけでいきなりパーソナルな設定を掘り下げていくところへのフォーカス。それはそれで話は分かるが、そもそもの前提が見えない中なので、物語のスケール感や切迫度、ひいては変身に賭ける>>続きを読む

アンビュランス(2022年製作の映画)

2.0

とりあえずカーアクションがネジ何本かぶっ飛んでるくらい激しいのとドローン撮影も張り切りまくりで、映像の迫力としては間違いない。

主要キャラクターが概ね車内に居続ける中で様々な展開を用意するのはスリリ
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

近代史に残るというかほぼ現代に日本で起きた非常に痛ましい出来事を具に描き出した大変な力作。

それぞれの価値観は持って然るべきものだが、自らが真実を持つ側に立つと思い込むことやその真実に紐づくと思しき
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

人は一体どうあれば鬱々とした日々から抜け出せるのか。そこで必要な煌めきの切実な所を懐深く見つめたような趣き。

メロドラマをベースにしつつも少し前の時代を舞台に現代にも通ずる諸問題へ鋭く迫っている。と
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

物語の立ち上がりからしばらくはまさに種まきといった様相で、視線のやりとりや距離感の作り方など非常に細かい所で感情の揺れを紡いでくる。時に大胆なファンタジックさも取り入れるが、丁寧であるが故に焦ったくも>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

マルチバースを「その手があったか」という形で取り入れたSF感と多彩なアクションの疾走感で駆け抜ける序盤で見事に心掴まれる。そんな中『Jackass』級の下ネタには爆笑させられ、バリエーション豊かな世界>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.0

基本的に大人側の都合でシーンが変わっていくので、主人公がそちらのようにも映るが、必ずしもそこの話でもなく、キービジュアルでもフィーチャーされてる2人の関係がどう変化していくかに力点があり、心理的にはバ>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.9

スパイダーマン


スピード感、躍動感、描き込みの多さ、今のアメリカを切り取ったプレイリスト的な選曲などクールな要素さで彩ってきた1作目の魅力はそのままどころかパワーアップ。

前作から早々にマルチバ
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

This is ハリウッド。

何かとパワープレーというのはもうガーッと一気にいってくれるので潔い。

80'sなテイストも多分にありそのエモさと、こうだったらこうなるのが筋だろうというのをしっかり通
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.8

現代社会に様々通ずるシリアスなドラマ性を軸に物語を引っ張りつつ、オフビートな笑いとイカれたアクションはしっかり健在で、その両立をきっちり成している高濃度エンタメ。お馴染みキャラ達も全員立ってる。

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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

主人公のガードが堅く本当の所での心情は何となく慮れる程度。なので、そこに細かく共感して乗っていくというより、彼女が彼女である為に見せつけてくるあらゆる面で圧倒的であろうとする姿を中心にその姿勢をひたす>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

5.0

何かがおかしいという感覚は徐々に芽生えつつも、その背景を探る余裕が持てないくらい濃密な幕開けは極限まで緊張感が高まり、一気に作品世界に入り込ませる。

そこからの話の展開は、起を終え承転結へというより
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

5.0

最高なアクション、ドラマ、スリル、ガジェット、何も言うことない、見事な幕切れ。号泣。高まる面白さでダニエル・ボンド(他のメンバーもそうだと寂しい)との別れを惜しむのも忘れがちになるくらい、ひたすら夢中>>続きを読む

らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-(2021年製作の映画)

3.5

結構な初見殺しかつ、WACKの映画に戻ってしまった。

近年の合宿オーディション映画に於いて、「せかかな」ではアイドルそのものの在り方を問い、「あゝ無情」では夢の舞台に辿り着いた先で何が起きてるかを描
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望み(2020年製作の映画)

4.2

変に監督のクセの強さが出てないのはこの物語に於いてはとてもポジティブ。反面、この人じゃなくてと良かったんじゃないかとも思うが。

家族が事件の加害者であるか被害者であるか。負うもの失うものの、その間で
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

この監督と夫婦のドラマとの噛み合わせがどうなのかという懸念はどうしても抱かずにいられなかったが、健気さと表裏一体である狂気の存在を暴いていて納得した。対峙する軍人ともその辺りをシンクロさせつつ、何かを>>続きを読む

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