スピルバーグレベルの感受性あってこその作風ではあるが、「映画を作ることや世界を切り取り繋ぎ合わせることは人生の苦しみと辛さに向き合うこと」というメッセージが強く出ていた。
みんな欠点を抱えてるのがリアルでそれ故に見ていて辛い部分も多かった。でも結局人は人との関わりの中で生きていく必要があり、不完全な自分の運命と向き合わなきゃならない。これをポジティブに捉えるかネガティブ>>続きを読む
彼らにとっての人を食べる行為は、自分を孤独にした社会や血縁への反抗という意味で消極的に描いているが、終盤でその行為が愛を伝え合うことの表現に反転する流れにある種の救いを感じた。
ルカグァダニーノ作品は>>続きを読む
衣装とかロケーションの先入観で数十年前の時代設定と思ってたから最初は驚いた。
信仰による精神的な縛りから解放されるために自分たちで対話を重ねて道を切り開いていく姿がとても現代的だと思った。
主人公が一方的に説教を受けるシーンに強い息苦しさを覚えるのは、相手の顔を映さない構図によってどんな表情で喋っているか分からない気持ち悪さが生まれているからだろうか。その気持ち悪さが不倫相手の死を受け入>>続きを読む
不器用なケイコが自分を囲む人々の影響を少しずつ感じながら前に進んでいく様子が本当に美しかった。取り立てて珍しい出来事が起きるわけでわないのに、没入感が損なわれないのは素晴らしい映像と臨場感のあるサウン>>続きを読む
愛の表現は人それぞれ違うし、それが歪んでいることも当たり前にある。コウスケの愛情の出し方は褒められたものではなかったかもしれないが、この映画ではその行動に嫌味を刺すこともなく、これも一つの真摯な思いな>>続きを読む
人間誰しもが幾つかのペルソナを持っている可能性がある。もちろんどちらを選ぶかは自分次第であって、そのどちらかが善で一方が悪と決まっているわけではない。ただ、それは肯定されるべき逃避のための手段であって>>続きを読む
全編通してとんでもない重さだった。由宇子がスマホをむけて録画ボタンを押すたびに、あたかも自分に対しても正義を問いかけてきているようで意気が詰まった。
人が嘘をつけるという性質を持つ限り、正義とはその場>>続きを読む
トランスジェンダーを悲劇的に描いているという指摘があるようだが、それは確かに同意する。死んでしまったら元も子もないと思っているので、死への道程で希望が見えてくるなんて詭弁ではないか。
この時期にアニメ制作を扱っておきながら、業界として明るみになっているハラスメントや上位下達による皺寄せを美談として収めようとしてるスタンスに疑問を持たざるを得なかった。それ以上に映画としての熱量があっ>>続きを読む