贅肉さんの映画レビュー・感想・評価

贅肉

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スモール・クライム(2017年製作の映画)

3.5

「エディ・コイルの友人たち」「カリートの道」的な裏社会から抜け出せない情けない中年の犯罪者(本作では元汚職警官)をじっとりとした湿気と共に悪意がひた溜まっていく南部ノワールの世界に閉じ込めた時点で面白>>続きを読む

我、邪で邪を制す(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

キチガイが行きずりで宗教に出会う、安直だが間違いない型抜き。鈴木清順「殺しの烙印」をパクった物語だなんだ思うてたら尊師はもちろん信者ともども皆殺しにしていく暴力に驚嘆。30人くらい殺ってる。グロックで>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.0

今まで暴力の暗い面しか信じてこなかったが「タイラー・レイク 命の奪還2」と本作を経て暴力には明るい面もあるのではないかと自分の中で揺らぎが起きている。人殺しまくって可愛げな少女を救って幸せそう。土壇場>>続きを読む

タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

3.5

2000円払って2500円返って来たような満足感。傷まみれでバングラデシュの糞川に飛び込むもんだから感染症を心配してたら半年後にはピンピンしてる強靭なクリス・ヘムズワース。生命個体として強い。暴力で物>>続きを読む

アダージョ(2023年製作の映画)

2.5

「暗黒街」がそこそこ面白かったことと汚職刑事映画ということで期待して観てみたが微妙な出来。汚職刑事に追われるアクションに繋げやすい単純な軸に、街中の大火事や植物根的に増殖する人物関係を複雑に絡ませてお>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

いいねー面白いじゃんデヴィッド・フィンチャー。殺し屋が後始末として関係者を一人づつ殺していくシンプルな一本筋で退屈しかねない120分ではあるが、フィンチャーによるインテリ臭い小気味良い編集とともに俺が>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.5

ストリップクラブを宝石店にすげ替えバスケ賭博も絡ました現代版「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」&「熱い賭け」。上映時間135分で極厚にして返ってきた「グッド・タイム」とも言いたい。豊潤な尺でクズの人>>続きを読む

ザ・ゲート(1987年製作の映画)

3.5

日常からはみ出したその先に訪れるスペシャルな好奇心。長太すぎるすいばり。アトラクション程度のスリルで終わらさず、目を刺し潰す残酷や文字通りの地獄まで誠実に観せていく作り手の姿勢にリスペクト。

ザ・モンスター(1982年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

拘束用具なんて準備しなくても身近に散らばってることをキチガイが身を持って教えてくれる。ハンガーとストッキングで簡単に身動き取れなくなっちゃうんですね人間て。キチガイが出てきて、女が付き纏われて、刑事が>>続きを読む

小さな修理屋(2021年製作の映画)

2.5

地方都市を舞台にギリギリの輪で繋がっている情けない中年の悪(ワル)3人組が「ヒーローショー」的な暴力世界に引きずり込まれると思いきや現代的な話運びになり射ち止めされた気分であっさり終了した。「計画」の>>続きを読む

ロサンゼルス(1982年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

平日の昼下がりに観る80年代ヴィジランテ映画。昼飯たらふく食ってスコッチ飲んでやんわりとした眠気が意識を包み込む中、夜街の如何わしげな景色やら血と暴力を眺める心地良さ。割と冒頭で死ぬ家政婦と娘、娘に至>>続きを読む

ミッション:30ミニッツ(2019年製作の映画)

2.5

平日の昼下がりに低予算犯罪映画。落伍者の娯楽。ホモソーシャルと犯罪行為を結びつけた犯罪映画は毎度興味深く観ているのでそれなりに。暴力のジェイ・コートニー、少し前にジョン・バーンサルがやっていた立ち位置>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

2.0

大して見たくもない15歳と25歳の恋愛を大して見たくもない世界に閉じ込められた本作「リコリス・ピザ」を最後に俺のポール・トーマス・アンダーソンの旅は終了した。レオナルド・ディカプリオで新作があるらしい>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.0

知らず知らずのうちにキチガイ女に人生を掌握されている恐怖。神経に糸が縫われてゆき気付く頃にはマリオネット(人形)、他者を人形として接してきたはずの男にとって死ぬほど皮肉な結末。ダニエル・デイ=ルイスの>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.0

キチガイと暴力で押し切っていてもちろん最高!過去作のような都会の片隅で人情噺を発展させるチマチマした規模で映画を撮っていない。超越的な視点で映画を撮っている。キチガイの人生に迫りながらも視点はビタ動か>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.0

若さと勢いでヤり切った躁的な「ブギーナイツ」「マグノリア」を経て、落ち着いて映画を撮ろうとするポール・トーマス・アンダーソン。他人に流されてばかりの男が一人の女性に出会ったことで揺るぎない芯を獲得して>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

3.5

潜在意識が世界に干渉し素粒子が導かれ事象の歯車が正の方向へ回転していく暖かさ。「Occultic;Nine」で志倉千代丸がやりたかったのってこれでしょ。humanityでやたら訴えかけてくるのは好きで>>続きを読む

ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.5

閉じた人物関係がオープンになり、世界が広がっていくのが「ハードエイト」以降のポール・トーマス・アンダーソン映画なのではないかと推察。カメラの流動と共に焦点を当てる人物も流動させ、そこへ音楽を上乗せし、>>続きを読む

ハードエイト(1996年製作の映画)

3.0

初長編映画ということだがここまで潤沢に映画を撮れてしまうのはまさに才能があるからで、うっとりしてしまう。閉じた人物関係の円環で物語を紡いでるが、安直なサスペンスで継ぎはぎしないのはポール・トーマス・ア>>続きを読む

バッド・ルーテナント(2009年製作の映画)

4.0

体たらくの中でも物語(人生)は進んでゆき生き物の暮らしや文化が地球と共に回っている。ふと突然に奇跡が起こっても自分を変えることはできるのだろうか。広大な自然(世界)にポツリと存在している私たち、他者と>>続きを読む

ビヨンド・ザ・スピード(2017年製作の映画)

3.0

「なんだ『ヒート』のパクりか」と舐めていたら後半のツイストでどっぷりのめり込んで観てしまった。量産型と見せかけて変な層に狙い当てしてくる少し珍味なノワール。アデル・エグザルコプロスが糞不憫。

クライム・ヒート(2014年製作の映画)

3.5

糞詰まりの日常から誰もが抜け出そうと抗っている。狭小な場所(都会の隅っこ)でのゴタゴタ話だが人々の暮らしが色濃く浮き上がっており不思議と窮屈さを感じさせない世界の広さがあった。暴力を行使した結果として>>続きを読む

ブラック・サイト 危険区域(2022年製作の映画)

3.0

マチズモ全開で場の引っ掻き回し役を請け負うジェイ・コートニーが最高。ニッコニコで女の指を折った後に平気な顔して射殺するドSっぷりがたまらん。ワン・シュチュエーション・スリラーにはこういう何しでかすか分>>続きを読む

THE ICEMAN 氷の処刑人(2012年製作の映画)

3.0

テレビ映画みたいな淡白さ。殺し屋題材の暴力映画だが作り手から暴力を映すことへの覚悟や興奮を感じ取れない。凡百な暴力映画と本物の暴力映画を分けるのはそこ。暴力のマイケル・シャノンを期待して観てみたがこれ>>続きを読む

ミッション・ブレイブ 欧州警察特殊部隊(2019年製作の映画)

2.5

中盤にて車両襲撃と売春オフィスの制圧を交互に見せていくアクション場面があるのだが、交互に見せるせいでお互いが流れを消し合っていてなんともキレの悪い仕上がりになっている。「ルール 無法都市」は王道的かつ>>続きを読む

ヒート・オブ・シティ 現金強奪(2023年製作の映画)

3.5

ウィリアム・カウフマンのフィルモグラフィーに置いて重要な一作になってくるのではないだろうか。開幕カマしの銃撃戦、路地裏での虐殺、住宅街を駆け抜ける追跡シーン(長々としてんのがアガる)、どれもカウフマン>>続きを読む

デイライツ・エンド(2016年製作の映画)

2.5

「ルール 無法都市」「ネイビーシールズ ラスト・ソルジャー」と同じくジョニー・ストロングのPV。「無愛想な風来坊だけど気の向きようで善人を助けたりします」という風な役を見え透いたナルシシズムで演じるジ>>続きを読む

バレット(2012年製作の映画)

3.0

無意味に女性の裸体が映すことが2012年の時点で厳しかったのではないかと推察するが本作では何ショットか挟まれている。ノワールに暴力を過多に練り込んだ作りも併せておそらく当時のアメリカの商業映画で許され>>続きを読む

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

3.5

理屈を超越し感情で行動すると共に全部ぶっ壊れ孤独になっていく様に「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」のジェームズ・カーンを想起した。先住民を麻薬カルテルに仕立てた「捜索者」で、年老いても身を切って表>>続きを読む

コラテラル(2004年製作の映画)

4.0

感情に従い、縛りをぶち破り、魂と肉体が暴走していく瞬間がMichael Man's filmにはある。タクシー運転手に対し人生や社会を説く殺し屋も所詮は同じ地の上に立つ一人の人間でしかないため死ぬ。三>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

4.0

孤独な人間の言う「寂しくない」はただの強がり。本当は寂しくてどうしようもないのだけど他者と上手く繋がれないから仕方なく孤独でいる。空(から)を埋める何かと引き換えに確実に死へと接近していくニール、銀行>>続きを読む