平田一

活撃 刀剣乱舞の平田一のレビュー・感想・評価

活撃 刀剣乱舞(2017年製作のアニメ)
3.9
“ufotableが贈る剣戟活劇譚、開幕。”

ニトロプラス×EXNOA(旧DMMゲームズ)のPC版プラウザゲーム「刀剣乱舞」のTVアニメシリーズ企画第2弾。これの前に制作された「刀剣乱舞-花丸-」とスタッフ陣は異なった本格バトルアニメとして、歴史を守るとは何か?を重厚に追っていく。監督はufotable所属のアニメーターで本作で監督デビューを果たした白井俊行さん。直近では「鬼滅の刃 遊郭編」第10話「絶対諦めない」の絵コンテ・演出で話題を呼んだ。

時間溯行軍による歴史修正阻止のため、時空をこえて歴史を守り戦い続ける刀剣男士たち。彼らは日本の名刀を擬人化された者たちで、その中には刀の主と過ごした記憶を宿してた…

これの前に制作された「刀剣乱舞-花丸-」はハッキリ言って何が良いのかさっぱり分かりませんでした。ディープなファンしか楽しめないと思うしかないストーリー、ちぐはぐな世界観とそれは未だに変わらずです。

これもまあ、いくつか気になるところは多々ありました。特にまだ日の浅い堀川国広の描きかたが少々鼻につきすぎていて、序盤は好きになれずですし、後半での離反行為で余計に感じてしまいました。一体何があったのかは本編を見てほしいけど、自分の正義は他人にとっても正義のはずだと言う見解がここではあまりに露骨すぎて、だいぶイラッとしましたね。

別にそういう描写自体は嫌いなわけではないんです。上手く描けば議論の種になりえる分岐点ですし、物語に深みを与える好機にだってなりえます。ところがここでは私見ですけど、少々傲慢すぎるというか、真っ直ぐであるからこそのタチの悪さを感じました。何かああいう青臭さを極端に露骨に描き、一体何を感じろと?って結構本気で考えました。正直国広パートにおいては我慢を強いられましたね。

ですがそれらを最終回(第13話「活劇」)が全部刷新していきます。和泉守兼定と国広の理解と和解、数千もの時間溯行軍を迎える刀剣男士。第二部隊と第一部隊の文字通りの総力戦…。この至高の最終回ですべてがチャラになりました。特に本編11分50秒から開幕する大激戦はufotableの面目躍如以上であり、ブッチギリで刀剣乱舞のアニメの最高峰ですね。Kalafinaの「百花繚乱」をサントラに叩きつけ、千体もの時間溯行軍が襲うという絶望。そこからの刀剣男士たちによる逆襲は作画のパワーも相まって、もはや感動さえありです。おまけにそこのアクションにはエモーションさえ溢れてて、日本のアニメの底力というか真価を見ましたね。ゲームからこんな熱いアニメになっていたなんて…。

これならufotableに鬼滅の刃が託された理由も納得ですね。作画に対する熱量がけた違いでありますし、何よりアクションと感情の相乗効果を分かりすぎ。新作劇場版も引き続き進行中とのことで、一体どんなお話なのかこれから見るのが楽しみです。
平田一

平田一