もこもも

サクラクエストのもこもものレビュー・感想・評価

サクラクエスト(2017年製作のアニメ)
4.2
田舎町・間野山の観光大使に就任した小春由乃たちの町おこしを描いた青春お仕事アニメ

P.A.WORKSのお仕事シリーズ
ただただ純粋にめっちゃ良い作品
田舎町を舞台に描かれた仲間愛や
人との繋がり、一生懸命な輝き、
気付き、成長、人生や仕事に対する
考え方に深みと励ましと温もりを抱く
由乃の成長にとっても心温まると同時に、
なにも成長していない自分に焦りを感じて、
自分も自分を見つめ直そうと思わされた

「東京にはなんでもあります
 なんだって出来ます」

手違いだらけのハプニングで
廃れたミニ独立国・チュパカブラ王国の
国王を1年間務めることになった小春由乃
振り返れば由乃の成長を強く実感する
特別したいことは何もないのに
田舎は嫌、あれは嫌、これは嫌
東京にいたいけど特に理由はなく
いつかどこかで働けるだろうと
ぼんやりとしたプランで生きている
そんな最初の由乃に強く共感させられた

「間野山の人たちにとって
 大事なものってなんだろう
 時が過ぎても忘れられないものってなんだろう
 間野山にしかないなにか、
 みんなの心にずっと残り続けるなにか、
 それがなんなのか、
 国王になったばかりの私にはまだ分かりません
 でも、それをこれから1年かけて
 町の人たちと見つけていきたい」

この作品のいいところは
リアルな描写が多いところ
人との関係性とか人の考えとか
行動による影響力とかが凄いリアル
最初の饅頭1000箱売るくだりのところも
5人の絆は強まったけど結果としては
10箱くらいしか売れなかったこととか、
まだ町の事を知らないし、町に愛着はないけど
しおり、真希、凛々子、早苗との友情で
国王としてやっていく決心が固まることとか、
建国祭でたくさんの人が来たけど
終わったらいつもの人がいない町に
悲しさと寂しさを感じちゃうところとか
他にも沢山リアルな心情描写があって、
やからこそ由乃たちの行動で変わっていく
町の人々の姿に温かみと勇気と励ましを貰えた

⚫︎悩みや過去を通したリアルな心情描写

「別に私じゃなくていいんだ
 私がいなくても世界は
 何の問題もなく回っていくんだって
 そしたら急に全部馬鹿らしくなって」

5人の過去や悩みもリアルやから
感情移入していっぱい共感させられる
早苗が過去を語るこのセリフは心に残ってる
このことを分かってる人は多いと思うけど
実際の職場でそうは言えないって
感じてる人も少なからずいるように思う
実際自分の友人は終電帰りばっかりで
自分が抜けちゃったらって思ってたから
そうじゃないよ、大丈夫って言葉で伝えた

「それで食べていけとは言っていない
 好きなものを好きで居続けるのが
 そんなに苦しいことなのか?」

真希の悩みもリアルやね
好きなことを出来ることも幸せやけど
好きやからこそ辛いこともあるし
好きなだけやったら息詰まることもある
好きなことをやっていく覚悟がないことに
気付かされて挫折することもある
でも、だからこそお父さんの言葉が胸に響いた

「いつまでも変わらない生活なんてないんだよ」

しおりの気持ちがめっちゃ分かる
間野山が大好きでそこにいる人が大好きで
だからいずれ変わっていく家族の形に
不安と不満を感じちゃう気持ち
自分も似たようなことを親に言われて
もちろんそれが優しさって分かるけど
自分は家族の側に居たいって思ったから
しおりにめっちゃ感情移入しちゃった
C級グルメの時のしおりの成長と覚悟が響く
思い出の家が燃やされる時の
しおりの嘆きには胸が熱くなった

⚫︎キャラクター

由乃
真っ直ぐ成長していく姿に感動
最初は親近感を感じてたのに
終盤は遠く離れた存在に感じて、
それぐらい成長していく由乃は輝いてた
元気な明るさとバカな真っ直ぐさが愛おしい
あとシンプルにめっちゃ可愛い

しおり
いつも優しくて温かくてしっかりもので
芯が強いところも天然なところもあって
地元を家族を人を大切にしてるしおりが大好き
しおりに「だんないよ」って言われたいなぁ
それだけでなんでも頑張れそうな気がする
フォローじゃないフォローも愛おしいし、
酔った姿も可愛い農業の服装も似合い過ぎて可愛い

丑松のじじい
「おれはこの町を目覚めさせてやる」
確かに短気でバカで無茶やけど
熱い気持ちと行動力を持ってて
なにより間野山の為に何かをしたい
っていう気持ちがほんまに強く伝わってくる
ロックでロマンと情熱があって男としてかっこいい
由乃をだんだんと認めていくのも好き
過去の話ではやっぱり誰しも若い時があって
青春時代があることを改めて感じてほっこり
夢よりも家族を大事にした気持ち
夢を間野山で叶えようと決心した覚悟
それは決して責められることじゃないね

サンダルさん
颯爽と現れて放つセリフがいちいちツボ
グアム旅行の「誰か一緒に行ってください」と
「中トロならやぶさかではありません」が特に好き
みずち祭が盛り上がる中、曾祖母と曾祖夫の
名前が記された功労碑にもたれて1人夜桜を
眺めながらの「アメイジング」にほっこりした
毎話の次回予告の言い方好き

「始まりはミステイクじゃったが
 お主はようやっとる
 国王の名に恥じぬ働きじゃちゅぱ」

町を人を変えることの難しさ
そりゃ1人を変えるのだって難しいのに
知らない多くの人を変えるなんて
そんな簡単にできるわけがない
でもだからって諦めるんじゃなくて
少しでもちょっとでも変えれるようにと
行動を起こし続ける5人に胸が温かくなる
大人たちの町が変わるわけないと思ってるけど
廃れる町に何も思わないわけじゃないのもリアル
この作品を観て初めてシャッターの閉まった
店が
沢山ある商店街の理由が分かった

「どんな木だって欄干になったり靴になったり、
 作る人によって違うものが生まれるみたいに、
 どんな仕事にだって代わりはいても、
 結果はその人にしか出せないことがある」

エリカちゃんの家出の話で帰ってきた
エリカに弟が泣いたシーンが胸に残ってる
やっぱり1番大切やのは人やなぁって
魅力も大事やけど結局そこに居たいと
思えるのは人の温かみなのかもって
エリカちゃんの家出の件で子供が住みたいと思う
街にしようって思える大人たちが良かった

「人を守ることが自分を守ることに繋がる」

C級グルメ試食会のくだりが
しおり以外みんな尖りすぎてて好き
凛々子の魔女レシピが意外とツボ
フライングヌードルがアホすぎて好き
大そうめん博の時もみずち祭りの時も
凛々子の『龍の唄』がとっても胸に響く
田舎に住む人の知恵やものの考え方に
深みを感じた蕨矢集落の話も胸に残ってる

「間野山に住む一人一人が自分から何かを
 変えようと思わなきゃダメなんです
 多数決で物事が進められてそれが誰かの
 犠牲の上に成り立つものなんだったら
 それはもう町おこしじゃありません
 ただの開発です」

みずち祭りに向かって
みんなが一つになる姿に
どうしようもなく胸が温まる
外の人じゃなくて町の人たちが
楽しみにして前向きに頑張る姿が素敵
灯籠が並んだ商店街も桜も美しい
5人それぞれの進路に寂しさも感じるけど
それよりもやっぱり嬉しいってのが1番
ラストの電車に乗る由乃向けた別れに感動して
丑松のじじいの「小春由乃ーここはお前の町じゃ
いつでも帰ってこーーい」には涙が滲んだ
数年後に絶対もう一回観よ

1期2期を通してOPもEDも
大好きな(K)NoW_NAMEが担当してて
全部好きやけど1期OPが1番好き
NIKIIEさんって歌声とか歌い方が
ちょっとaikoに似てるなって思った

「普通じゃない仕事も
 それが毎日続けば普通になるし
 普通の仕事だってそこに刺激を見つけられれば
 普通じゃなくなるからね
 確かに東京は色んな刺激に溢れてる
 でも外から与えられる刺激じゃなくて
 どこにいても自分で探せる刺激もある
 どんな仕事だってその中に自分で刺激を見つけて
 どんどん面白くしていけばいい、今はそう思う」

⚫︎1期
OP : (K)NoW_NAME『Morning Glory』
(K)NoW_NAME『Lupinus』
ED : (K)NoW_NAME『Freesia』
(K)NoW_NAME『Baby's Breath』
もこもも

もこもも