ウシュアイア

ACCA13区監察課のウシュアイアのレビュー・感想・評価

ACCA13区監察課(2017年製作のアニメ)
4.2
架空の連邦国家を舞台にした政治ミステリドラマ。

舞台となる13の自治区からなるドーワー王国は、自治区の独自性を保ちながら、中央集権的官僚機構のACCAにより統治されており、主人公は各自治区のACCA支部の監督業務を行う監察課の副課長である。長らく続いた体制下、国王の高齢化、後継者問題、クーデターの噂などに対処していくところから物語は始まる。

剣や魔法が出てくるわけでもないが作者の嗜好性を反映させた箱庭世界が舞台という点では『ヴァイオレットエバーガーデン』っぽいところがあるが、テーマが政治ということもあって個人、組織、大衆の心理がなかなかリアルに感じる。政治体制など特殊であるにも関わらず、Wikipediaなどを見ずとも体制の仕組みが理解できるようになっており、話も非常に入って来やすい。また、近年の漫画やアニメのトレンドとは異なり、心の声は皆無で、表情やしぐさ、演出から考えや心境を読み取らないいけないため、大人向けの作品。

ドーワー王国のように政治(政治家)や権威(王朝)よりも官僚の方が力をもってしまっている行政国家という点では現在の日本に似ている。そんな行政国家ではたらく官僚の矜持を描いた作品と言えようか。

我妻善逸とは異なり終始冷静沈着な大人の主人公の下野紘さんの演技も素晴らしい。少年役で定評がある下野さんだが、こういう役の方が合っている気がする。

人物や風景以上に、食事のシーンの作画には気合が入っており、毎回のようにおいしそうなパンやスイーツが登場する。深夜に観ていると、ティータイムを始めたくなるので注意が必要だ。
ウシュアイア

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