ねっしー

CHAOS;CHILDのねっしーのレビュー・感想・評価

CHAOS;CHILD(2017年製作のアニメ)
1.3
原作未プレイ。
後日譚にあたるOVA(13,14話)も含めての評価です。
一言で書くと、ラストが酷い。


前作、『カオスヘッド』の6年後を舞台に、主要な登場人物を一新して作られた作品。

妄想科学アドベンチャーシリーズ原作なので、主人公はとてもイライラさせるオタク高校生。しかし、なぜかハーレムという設定です。

そして、3話くらいまで視聴者を置き去りにし、4話辺りでだんだんと事件の輪郭が明らかになり、6~9話くらいがかなり面白く、クライマックスで逃げ続ける主人公が逆切れしてチートバトルアクション勝利を収める流れも同じです。

つまり、6~9話辺りだけが面白いです。
ここでは妄想科学の全体像がはっきりとして、そのエセ科学世界=SF世界での日常と推理が起こっています。

それは妄想科学の醍醐味だと思うので、日常と推理のパートを面白いと感じさせるシナリオは純粋に凄いと思います。


ですが、面白くなるのが遅すぎます。
制作サイドは、視聴者が置いていかれる状態を意図的に作っているのだと思いますが、これって結構イライラします。そこに、物知り顔で謎の発言をする美少女たちが現れ、さらに主人公は愚図というイライラ感を重ねてくると何も魅力のない時間でしかありません。

特に本作の主人公はおそらく「友達関係にない女の子と話すと挙動不審になる」という設定なのだと思いますが、なぜそんな行動をとるようになったのか、不審な動きをしている間はどういう気持ちなのかが一切描かれていません。

これでは、客観的に観察して楽しむこともできないし、感情移入しての共感や同族嫌悪もできません。
(中盤は初対面の女の子と普通に話していたり、いつの間にか女の子から好かれていたりするので、主人公の設定の不安定さには目も当てられません)

他のキャラも生徒会の副会長によって血のつながらない姉を寝取られるのか?という流れが突然一切なくなったり、チュッパチャプス部員がゲームでイラついて壁連打してたのは何だったの……?とか、訳の分からないキャラクターの言動が多すぎます。

アニメでは尺が短くて原作の全てを入れられないというのなら、ばっさり切り捨てればいい筈です。

総じて、このシリーズは視聴者に対してキャラクターの魅力を見せる能力が低いと言えます。


その傾向は物語のクライマックスでも顕著です。

6~9話で妄想科学の面白さが表出するにつれて、主人公も一皮むけてくるんですよね。
しかし、10話以降ではラストシーンへの助走のために、なぜか主人公の愚図っぷりが再燃します。せめて主人公がそんな性格をぶり返す原因なんかが入れば納得(感情移入)できるのですが、序盤で主人公が駄目オタクになった理由が描かれていないので、トラウマの再発的な流れすらありません。

(本作の場合は主人公が事件を追いかけるようになった理由は明らかでも、肝心なところでダメダメな理由は明らかではありません。むしろ里親の下でファミリーから受容的な態度で接せられて、性格の改善がみられていました)

そしてクライマックスシーンでは、主人公が全てを妄想にしてしまえる力を手に入れる展開にも納得いきません。
妄想科学から科学を捨てたら、あかんでしょ。

面白かった6~9話は何だったのかという気持ちになるし、死んだ人も甦らせればいいと思います。どうせ妄想で死んだのだから<自然の摂理が~>とかも関係ありませんし。

妄想で全てを変える力を得るにもかかわらず、やることが精々2,3人の命や記憶を消すことというのは、物語のスケールとしてもせせこましいです。


OVA版の13,14話は完全に蛇足でした。

急に登場人物が黒幕の一人になる展開や、感情移入させずに主人公と好きな子(いつの間に???)が爽やかに別れる展開、ヒロインズがカオスチャイルド症候群とかいう気持ち悪いものになる展開など付いていけません。

というより、あの事件の進展でカオスチャイルド症候群患者の中に、一人だけ艶肌のイマジナリーフレンドがいたら絶対そいつが犯人です。3話時点で分かります。
カオスチャイルド症候群患者以外は何をしてたんでしょう。

設定の矛盾や説明すべきなのに説明していない内容が多く、事実上の最終回であるOVAに関しては評価0.7/5.0くらいの出来でした。













気付いたらメインヒロインになっていた彼女は、結局記憶戻ったのなら離れ離れになっても意味ないし、一緒にいればええやん。訳わからんな。

あといつの間にかメインヒロインの座を奪われていた女の子は妹の左腕投げるのどうなんですか……
ねっしー

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