主人公である「源さくら」がアイドルのオーディションを受けるために家を出るシーンからこのアニメはスタートする。彼女はどうやらアイドルという職業に憧れを持っているらしく、その顔は未来への希望にキラキラとしている。「これから、楽しい毎日が待ってるよね!」そう言って玄関から外に出た瞬間、トラックが突っ込んできて彼女を跳ね飛ばす。あまりにも唐突で衝撃的ということで、当時話題になったオープニングだ。
この事故で彼女は死亡、しかし巽幸太郎という謎の人物によって「ゾンビ」として蘇り、同じく彼によって蘇らされた少女たちと共にアイドルグループ「フランシュシュ」を結成、「佐賀を救う」ためにアイドル活動を行うという、これまたぶっ飛んだ展開。この「ゾンビ」という部分が作品のキモで、彼女たちは一般的に想定されうるゾンビよろしく顔が取れたり体がバラバラになったりする。が、当然ゾンビであることが観客にバレるわけにいかないため、それを必死で隠そうとするシーンは、このアニメの笑いどころの一つ。可愛い女の子が活躍する「萌えアニメ」的側面が強いが、ステージに出る際はメイクをして隠しているものの基本的に一般的なゾンビよろしく体が腐っているようで、肌の色は悪い。それでも可愛らしく描かれてはいるが、どうやら実際に見るともっと恐ろしい見た目をしているらしい。これは容姿が重要な役割を持つ「萌えアニメ」としては、なかなか珍しい設定ではある。
アニメが始まって主人公が轢かれるまで僅か20秒程度という脅威的なテンポ感で作品はスタートするが、このテンポの早さというのは作品中割と一貫している感じがあり、それが良く作用している部分もあれば悪く作用している部分もある。ギャグ回なんかではそうしたテンポ感が笑いを生み出していると言えるかもしれないが、例えば星川リリィが主役の回では「生前の父親との再会」という割と感動的なテーマなのに対し、一話に詰め込みすぎた感があってどうにも感動しきれなかった節がある。あと、アイドル物とだけあってダンスシーンはかなり重要な要素なのだが、こちらがイマイチなのが非常に残念。ダンスシーンは3Dなのだが、モデルの作りが微妙でそれまでの展開が熱くせっかく盛り上がってた気持ちが冷めてしまうのは否めなかった。
ちなみにこのアニメは「佐賀を救うために活動」と前述した通り、佐賀を舞台にしている。実際の企業がアニメ内で登場したり登場人物が方言で話したりと、地元の方はそうしたローカルネタでにやりとできるのではないだろうか。それにしても九州方言って、標準日本語と随分違うんだなぁと思った。さくらやサキの台詞を聞き取れないことが、自分は結構多かった。