きりん

輪るピングドラムのきりんのレビュー・感想・評価

輪るピングドラム(2011年製作のアニメ)
5.0
自分は世界でひとりぼっちだと涙をこぼしてるきみへ見てほしい作品。
過去の私にちり積もっていた、幼少期の呪いを1つ解いてくれた物語。

話毎のタイトル名、登場人物たちの言葉、役目などから伏線がたくさん張り巡らされており、
その答えが『相手の幸せを想ういろんな形の愛』に繋がる優しい物語。
その愛をわけ与える先には視聴者の我々も含まれているところが心から大好きです。
私は宮沢賢治「銀河鉄道の夜」が大好きなのだが、この作品は最高のオマージュとしており混ぜてくれているところも見どころ。

映画化決定おめでとうございます!
大好きな作品なのでとても楽しみですヽ(*^ω^*)ノ✨

ーー愛は巡って輪る(まわる)。
その時は苦しかったり傷ついても、誰かに渡した優しさや愛は相手の歴史に刻まれ、それを源に誰かが誰かを救う。
私からあなたへ あなたから誰かへ、巡り巡っていつか私のもとにかえるよ。
私がある日誰かに優しくされたなら、それはまわってきたいつかの誰かの愛だ。
だから愛することはなんにも無駄なんかじゃないんだ。ーー
この物語を最期までみてこう感じた時、涙が止まらなかった。
当時の私の中にあった、悲しさ悔しさ損得、後悔、報われなかった子供心などを慈愛のようなもので全て包み込んでくれた作品。
僕の愛も、君の罰も、すべて分けあうんだ。


*-*以下私の大好きな部分のネタバレ*ー*

『僕らはあらかじめ、失われた子供だった。
でも世界中のほとんどの子供たちが僕らと一緒だ。だからたった一度でもいい。
誰かの愛してるって言葉が必要だったんだ。
たとえ運命がすべてを奪ったとしても、愛された子供はきっと幸せを見つけられる。』
『私たちはそれをするために世界に残されたのね』

これは幼少期につらい思いをして大人になったキャラクターが語るセリフで伏線なのである。
誰しもがきっと、物心ついたばかりの頃、辛い目にあったこともあったろう。
まだ心の皮膚がうすくて傷つきやすいあの頃の傷を、私はまだ瘡蓋にできずにいた。そんな頃にこの作品と出会った。

最終話タイトル『愛してる』。これのなんと優しいこと…
作中で上のように語っておいて、あえてこのタイトルを最後に持ってくるのは
ここまで物語を観てきたキミへ、物語のみんなと製作者から愛のメッセージなのだ。

私たちもまた陽毬と同じように命と愛の林檎を分け与えられ、循環し運命乗り換え後の世界にいるんだと教えてくれた。大きなものに愛されていると知った。
だからきっとキミも幸せを見つけられるよ。
だってキミも今、この物語に愛されたのだから。
たとえ運命がすべてを奪ったとしても、キミはきっと幸せを見つけられる。
どこまでもどこまでも進んでいけるよ。
きりん

きりん