女子高生が南極大陸行くだけの内容かと思ったら、その現実離れした題材を通して、一生に一度しかない青春の輝きを煮詰めた、如何にも花田一輝らしい脚本のオリジナルアニメーション。
観てから知ったのだが、これオリジナルとのこと。
等身大の若者が感じている鬱憤を叫ぶように吐き散らしつつ、眼の前にある夢に向かって突っ走り、それを憐れむ輩には中指を立てていくストロングスタイルなキャラクター達が大きな魅力。主人公4人組は、それぞれ南極にかける想いはバラバラながらも、ちゃんとそれぞれ旅を通じて成長、更に物語が帰結していく気持ちよさがある。それでいて、南極での観測隊の描写も分かりやすく、お仕事映画(というより職場体験?)としても完成度は高い。
そんな中、主要人物ではないめぐみというキャラクターの、どこか疎外感を感じてしまう親友という立ち位置が中々リアルで、マリがめぐみがいてこその存在だと自覚しつつも、実際はめぐみ自身がマリを求めていく展開が生々しい。南極という遠すぎる夢に果敢に立ち向かうマリを応援しつつも、自分から離れていくことへの寂しさを感じていただろうに彼女の本音が語られないことに不満を持っていた。しかし、第5話でついにめぐみがフィーチャーされ、夢を追いかける主人公枠ではなく、その周囲の人物にフォーカスするという斬新なストーリーが展開される。夢を追い掛けるものもいれば、それを羨みつつ否定するものもいる。真っ直ぐに歩む姿だけを描かない等身大なキャラクターこそ、花田脚本の真骨頂といえる。それだけに最終回のめぐみの結末は少々やり過ぎなようにも思えたが、全話イッキ見するに相応しい名作だった。
勢いで押し切ると言われれば全くその通りだが、特に気にはならなかった。