神山 で、次の『コナン』だけど、俺が驚くのは「あのスケジュールで!」とかね。
―― 「あれを毎週!」とか(笑)。
神山 (笑)。「しかも限りなくオリジナルだ」とかですね。今も26本で1パッケージにするシリーズって多いと思うんですが、毎回敵が出てきて倒すっていうかたちじゃないアニメを、連続もので、26本1パックにして、しかもオリジナルでやりきっている。これは初監督だし、勢いがあって若さもあって、やりたかった事も山ほどある。監督のデビュー作でしかできないようなものが、全てが詰まっている。今、『攻殻(機動隊 STAND ALONE COMPLEX)』が終わってみて、『コナン』を観ると凄く分かるんです、これが。
―― なるほど(笑)。
神山 これ、あの時のテンションだから、できたんだろうなとかね。「宮崎さんは半日でコンテを描いた」という伝説もあるくらいですから。
―― 確かに、半日で書かないとできないくらいの仕事量ですよね。
神山 はずなんです。あのスケジュール見る限り。
―― だって、原画もレイアウトも全部見ているわけでしょう。
神山 そう。となったら、半日でコンテ切ってるはずなんです。あれは、やっぱり凄いよね。天才がデビューした瞬間だと思うんですよ。1人の天才のデビューする瞬間に立ち会って、その熱気を体感するべきだね。だから、これも作品のバックボーンと、どういうスケジュールで作られていたかとか、どういうスタッフかとかいう事と抱き合わせで観るべきだね。そんな気がしてましたね。僕も「26本1パッケージ」でデビューしましたけど、もうレベルが違いますね。宮崎さんのマイルストーンだね。