Liaozhaipi

A.I.C.O. IncarnationのLiaozhaipiのネタバレレビュー・内容・結末

A.I.C.O. Incarnation(2018年製作のアニメ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

設定の理解に戸惑うことが多く、またバトル物設定の詰めが甘い部分も多いです。

まず、最後人間の肉体を取り戻せているところとか、柚葉が複製体とのリンクを切れればお目覚めできるとか、ほかにも重要なテーマについてやや唐突な設定が見受けられます。最も驚いたのは、新生AICOの再生かな。身体もどうなっているのか。
このように、説明がないとわかり辛い部分が、特に重要な因果関係の部分に多かった点は、「ご都合良すぎるんじゃない?」という疑念を喚起してしまい、やや残念でした。

また、あれだけ難易度を煽っていた各エリアが、それほど深みや際立った特徴も見せずあっさりと突破されていくのは拍子抜けでした。メイドインアビスほどは想定していませんが、もっと段階的な緊迫感が起こるようなやり方があったのではないでしょうか。そして、マターの攻撃にもムラがありすぎて、「いや、いま何で止まってるの?」というシーンが目立ってしまいました。
このように、段階的な設定・演出やバトル物としてのディテールにやや粗があるのは否めません。

とはいえ、まずは、一人ひとりの登場人物(とりわけ主役ふたり)がしっかり悩み考えて、それぞれの指針を試行錯誤していく点は、物語の根幹を踏まえた本作の長所といえます。設定に負けない必然性といいますか、悪という悪のいない難しい物語の中で、みんながみんな置かれた環境を受け止めるだけでなく、それを打破していこうとする勇気を持っており、そこは何より私の好みに合っていました。
また、バトルのディテールと言いましたが、新たな敵の情報を得てその場で抗体を作ったりするなど、印象に残る点も多いです。
人型の触手やドス黒い赤を基調としたマターの画面、子宮の比喩としてのマター本体も、好みではありませんが、映像として印象的ではあります。

というわけで、使い古されたテーマであり、かつ安易なツッコミを誘発するという欠点を認めつつも、物語において私が重視するポイントを確実におさえているため、やや高評価な作品です。
バトル減らして長めの劇場映画とかにすれば良かったかなあ。
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