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日本沈没2020のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

日本沈没2020(2020年製作のアニメ)
4.3
東京オリンピックを間近に控えた2020年のある日、突然日本を未曽有の大地震が襲う。
その揺れは、これまで誰も経験がしたことのない規模であり、日本全域に被害が及び、東京でさえもほとんど壊滅的という状況に陥る。
陸上の強化選手として練習に取り組んでいた武藤歩は、スタジアムの控室で被災し、周囲にいた仲間たちは次々に命を落とす。
助けを求めてもがく友人たちを尻目に、自分の家族の安否を一刻も早く確認しなければと歩は駆け出した。
街はほとんど壊滅的であり、路肩では苦しむ人が横たわっているという状況で、懸命に走りなんとか家に辿り着いた彼女。
しかし、彼女の住んでいた家も既に地震の被害で崩壊してしまっていた。
そんな時、ふと近くの神社のある丘で七色のイルミネーションが輝いていることに気がつき、歩はそれが自分の父の航一郎の居場所のシグナルであると察知し、再び走り出す。
何とか、父や弟と再会することができた彼女は、同じく帰ってきた母親のマリとも合流し、家族全員の安否が確認できた。
しかし、海外から入って来るニュースやYoutuberによって発信される情報によると、沖縄を皮切りに日本の大陸そのものが沈みかかっているという。
噂の真偽は不明ながらも、街からはなかなか水が引かず、彼らがいた神社のある丘の上も孤立する可能性があるということで、歩たちは移動を開始するのだが…。
小松左京のSF小説を鬼才湯浅政明が、アニメシリーズ化。
永井豪の伝説的コミックをアニメシリーズ化した「DEVILMAN crybaby」がヒロイン牧村美樹が夢見る「人の善意や助け合いによって生きていく世界」が人の弱さやエゴにより踏み躙られるお話とするなら、「日本沈没2020」はそれぞれが仲間や家族が生きる未来のために助け合い生き延びるお話。
食糧を奪い合い、「純粋な日本人しか助けない」と救助ボートの乗船を拒否する排外主義者がいたり、高波にさらわれたり、不発弾の爆破に巻き込まれるなど、突発的死や人の悪意に巻き込まれる描写もある。
ただ、常に前向きに日々を楽しみ助け合うことを忘れないマリや卓越した知識や行動力で活路を開くYOUTUBERカイトのおかげで、「DEVILMAN crybaby」より壮絶ではなく、クライマックスで明らかになる田所教授が残した遺産が祖国を無くした日本人のそしてマリがネット上のクラウドに残した記録が歩の希望になる展開は、「人が日常を祖国を無くした時に何が希望になるのか」を教えてくれる展開は、感動的。
ただ、展開にやや隙間があって、雑に思えるのが惜しい。
「日はまた沈みまた登る」
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