さうすぽー

魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~のさうすぽーのレビュー・感想・評価

2.3
自己満足点 44点

異世界ライトノベルによくある、主人公が魔王の俺TUEEE系アニメ。
そして、これもよくあるヒロインが多数出てくるハーレム系アニメでもあります。

一昨年のNetflixにて一時期あの「愛の不時着」を抑えて人気度1位になってた事がきっかけで観賞しました。


正直自分は俺TUEEE系(主人公最強系)のアニメは苦手なのですが、設定は思ってたより興味深いです。

まず、最強の魔王が2千年後に転生する動機が人間サイド(勇者側)と魔族サイドとの間の憎しみを終わらせ、平和の世を作るためというもの。
人間が恐れる魔王は人間を滅ぼす気はなく常識な心を持っており、勇者サイドとと魔王サイドという異種族の対立というテーマを扱っています。
これは我々人間でもある異国間の対立と同じですね。

また、2千年後の世界での魔族は純血による混血への差別問題や魔族や人間らによる腐敗等も描かれており、これも興味深いです。

だからこそ、そういった深いテーマを描いているのは評価したいです。

ただその描きかたやキャラクター、ストーリー構成がダメなラノベ要素によってチープに感じ、それが深いテーマをかなり台無しにしてしまってます。


まず、魔王の主人公アノスについて。
本人は平和を望むという善良な性格のはずなのに、ヒロイン含めたキャラとの接し方や言動にかなり傲慢さが感じられるし、能力が強すぎる上に簡単に人を殺します(その度に蘇生させてるが)。
魔王らしさは感じられるものの、結局物語の悪役っぽく見えてしまって感情移入が出来ないです。

これは俺TUEEE系のラノベアニメが苦手な理由にもなりますが、主人公が強すぎるので、バトル自体に緊張感が感じられないです。
更に今作では自分が死んでもすぐ蘇生してしまうので、より緊張感が削がれます。

主人公最強の作品の良い例で「ワンパンマン」があります。
あれは基本的に、他のキャラクターが中盤まで戦って苦戦している姿を描き、最後に主人公がようやく戦闘に参加して一発で敵を倒す構成です。
よって、主人公だけでなく他のキャラクターも引き立たせる事に成功しています。
「魔王学院」はかなり主人公が出しゃばります。そのため、ヒロイン達が多く登場するはずなのに全然印象に残りません。


嫌いな点は他にもあります。
ヒロインが(主にミーシャとサーシャ)すぐ惚れる点。
サーシャは「目が綺麗だ」と言われただけで惚れちゃうし、ミーシャはどのタイミングで惚れたのかすらわかりません。
僕は1話で惚れるようなチョロインは好きじゃないです。

そして、主人公しかり魔族の純血達しかり、勇者学校のメンバーしかり、人の命を軽視しすぎ!
特に皇族なんて混血に決闘で負けただけで逆上して平気で殺してしまいます。
この世界の皇族は、ハリー・ポッターだったら確実にアズカバン送りな人が多すぎる(笑)

アノスのファンクラブの合唱シーンは観ていてこちらが非常に恥ずかしくて、その展開が来る度に萎えていました。


異国間の対立は正直「進撃の巨人」の方が上手く描けてるし、純血とそうでない人の差別に関してはハリー・ポッターシリーズの方が上手く描けていました。


単純に俺TUEEE系と言われる主人公最強作品が好きで、あまり深く考えずに楽しめる人ならオススメな作品。