いめーじ

神様になった日のいめーじのネタバレレビュー・内容・結末

神様になった日(2020年製作のアニメ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

序盤はカジュアルなノリが自分の感性にも適合したので掴みはかなり良かった。女の子もかわいい。
2話の「引くわ!」が『Charlotte』ぽいなと思ったら、6話には高城丈士郎が出てくる奇跡のクロスオーバーを見せてくれる。麻枝准ユニバースの確立というわけだ。

2話にあった怒涛の映画パロディは分かるものなら笑えたけど、分からない作品は当然ながら反応に困るし気まずい。俺みたいな自称映画ファンでもキツイんだから、大半の人は早くも不安な気持ちを抱いたのではないだろうか。

映画の音響監督を目指す伊座並さんのピアノ演奏シーンでは、映画というよりアニメかゲームのサントラに入ってるやつだろって感じの曲だし、ピアノを弾いてるシーンなのに途中からストリングスが聴こえてきた瞬間には笑うしかなかった。

陽太がラーメン屋再生請負人になったり麻雀大会に出るイカれた話も楽しめちゃったし、ギャグだけなら相性良いかもなと思えていた所で…問題の5話ですよ。

5話は伊座並さんと彼女の父親(ほぼ引きこもり)が、亡き母/妻と改めて向き合う話で、父親を連れ回す序盤は悪くなかったんだけど、この話の答えが自分の価値観と相容れないもので全く感動できなかった。
積み重ね不足とかビデオレターがチープだとか、そこもアレだけど大した問題ではない。
死別した相手を忘れて前に進もう的な価値観が凄く苦手で、テーマとしても飽き飽きしていたから見てられなかった。


映画製作が始まってからは陽太のシスコンムーブとか大地の無駄な演技力に笑えるし、ハッカー側も話が進んでひなの謎に迫る緊張感もあった。

7話で映った空ちゃんの部屋に『アドレナリン2』のDVDにしか見えないものがあったのだが…スタッフの棚でも参考にしたのだろうか。

8話では夢でじいじを見て泣いたり初めての海にはしゃいだり不治の病だったことが明かされるなど、ひなには年相応のかわいらしさがあって、残酷なほど儚い人間だったのだと思い知らされる。新しい人生を生きているひなの父親の言い分は十分に理解できてしまうもので、ひな自身に責める気が無いのなら何も言えないだろう。

そして抗いようのない運命にひなが連れ去られてからの、どうしようもなく過ぎていく虚無な日常は好みのパート。
日常に溶け込むハッカー央人くんのかわいさや、美人の司波さんにも目を惹かれたが、一変したひなの姿にはショックを受けるしかない。
予言されていた世界の終わりはひなの世界だけでなく、陽太の世界も同等に終わっていたのだ。

介護が始まってからは陽太の焦りにイラつかなくもないし(気持ちは分かるけども)、テレビゲーム(RPG)をやらせるのはさすがに高度だろと若干引いてしまったが、あんなに優しいレベル上げ代行があるのかと変な感動があった。
陽太の意志に反して、ひなを施設に残そうとする司波さんの主張は真っ当だし、ここで別れたら凄い作品になりそうだなと期待はしたけど、まぁそんなことはなく…やっぱりどこまでもボーイ・ミーツ・ガールだった。
彼女を諦めたりせず引き取って、救いが無かったとしても進もうとする陽太の選択は、まるで5話と8話へのカウンターのようで好きだ。
他の皆と距離ができてしまうような気もするけど、そんな不安も含めて好みの余韻が残りましたね。
陽太が持つひなへの感情が「好き」としか表されなかったからか恋心と受け取った人もいるみたいだけど、俺は家族愛で解釈しておきます。もし麻枝准が恋愛だと言っていたとしても家族愛だろ。

売りにしていたであろう泣き要素には1度もウルっとこなかったし、まぁほとんど駄作だと思いますが嫌いじゃない。