1話完結のオムニバス形式で描かれたエピソードはコミカルなものから毒の効いた寓話まで振れ幅が広く、そのどれもが興味深い内容だった。主人公のイレイナは、自らの容姿と才能に絶対的な自信を持ち、高飛車とも取れる性格の持ち主。飾らない彼女の言動や癖のあるキャラクター性が旅の語り手として魅力的に映る反面、観る人によっては受け入れ難いとも予想される。私は好きでした。
イレイナの行動は、旅の途中で出会う人々や事象に対して時には傍観を決め込み、時には巻き添えを受け、時には積極的に手を貸すなど一貫性の無さが目立つが、それこそが気ままな旅を象徴しているようで面白い。いずれ誰かの手によってページを開かれるであろうタイトルの如く、まだ見ぬ世界に触れる楽しさが満ち満ちている。
