ウシュアイア

ギルティクラウンのウシュアイアのレビュー・感想・評価

ギルティクラウン(2011年製作のアニメ)
3.8
謎のウィルスのパンデミックにより荒廃し、外国の勢力GHQに支配された未来の日本で、ある日突然コミュ障気味の高校生桜満集(おうましゅう)はある日突然事件に巻き込まれ人の心を具現した武器(ヴォイド)を作り出す能力を身に付け、恙神涯(つつがみがい)率いるレジスタンス組織<葬儀社>に加わることになり、謎のウイルスやヴォイドの真相に迫っていくというお話。


主人公はヒロインと出会い、チート級超能力を手に入れ、レジスタンスに加わり、外国の勢力に支配された日本を解放を目指す活動に参加する、というところから分かるように、スタートはまさに「コードギアス」。ネタバレになるので詳しく書かないが、主人公の性格、家族やヒロインとの関係性などはエヴァンゲリオンっぽい。(シリーズ構成・脚本が「コードギアス」とチーフとサブが入れ替わった顔ぶれ)ワチャワチャ学園エピソードが入っていたりと、まさになろう系が流行りだす前のディストピアSFファンタジー。

また、未来ロボットバトルと超能力ヴォイドを使った戦いが混在しており、どっちつかずだったり、設定を凝り過ぎて無駄に分かりにくかった。(コードギアスは、バトルアクションはロボットバトルに徹しており、超能力ギアスは戦略や政治の舞台で活躍とすみわけされ、ストーリーも分かりやすかった。)こんなところがコードギアスと比べて批判的なレビューが多いのだろう。

とはいえ、WIT STUDIOの前身の旧Production I.G6課制作、監督も『進撃の巨人』の荒木哲郎氏ということもあって、映像のクオリティは高い。そして作中のアーティストEGOISTの楽曲、音楽もよい。

リアルタイムだとこの手のストーリーは完全に飽きられていた時期だったが(今なろう系が飽きられているように)、結末の好き嫌いはあるだろうが、最近ではあまりない感じのストーリーなのでそこそこ楽しめる作品だと思う。

本作は、ディストピアSFをコンセプトする企画はノイタミナ枠でより大人向けに洗練された形で『PSYCHO-PASS』シリーズに繋がっていっているし、映像的はWIT STUDIOが生み出した数々の名作につながっていることもあり、2010年代のアニメにレガシーを残した作品のように思える。
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