10年も前の作品とは思えないハイクオリティな映像美と深味のあるテーマを内包した文芸的な傑作アニメ。
トランスジェンダーを題材にしながらも、その枠に捉われない様々な性格/感情の絡み合いを描いた群像劇。水彩タッチの温かみある作画、淡々とした雰囲気が重さを感じさせない。思春期に訪れる身体の変化、それに伴う悩みや葛藤、徐々に変わる関係性…一連の描写が繊細で魅力的。
作画技術が上がっているとされる昨今、このような作品は果たして存在するだろうか。ラノベやWEB漫画原作の量産型アニメでは味わえない、邦画的な魅力、深味が本作にはある。