極論だけど、この世から恋愛系の文学がすべてなくなっても、源氏物語さえあればそれで良いと思います。恋情に振り回され、心を震わせ、迷い、身を削られ、恨み、途方に暮れ、満たされる、究極のラブストーリー。人は(少なくとも子どもを産むまでは)、恋愛によって生かされているのではないでしょうか。
恋い焦がれる人と結ばれないのは、今も昔も同じなのです。恋の達人の光源氏でもそうならば、諦めがつきそうな気がします。身を焦がすような狂おしいほどの幸せは、一瞬しか手に入らないものなのですね。
藤壺のようにどこまでもどこまでも、強く、心優しく、まっすぐでありたいと思いました。