平田一

月が導く異世界道中の平田一のレビュー・感想・評価

月が導く異世界道中(2021年製作のアニメ)
4.2
“とことん不運、されどチート‼”

「小説家になろう」にて投稿をスタートし、その後アルファポリスさんで書籍化されたライトノベルを「FAIRY TAIL」の石平信司監督でアニメ化。突如として異世界に飛ばされた高校生が亜人と人間たちの世界を行ったり来たりを繰り返す。シリーズ構成・脚本は「慎重勇者」などで知られている猪原健太さん。

高校生・深澄真はある日女神の力によって勇者として召喚される。が、その異世界唯一神の女神からあまりにも個人的かつ身勝手の過ぎる我儘によって、汚らしいゴミとして異世界の果てに捨てられる。

ヒューマン偏重主義が蔓延る異世界で真たちは図らずも世直しのようなことを始めることに―――?

特に期待をしておらず、2期がやるのと、視聴リストに残っていたのを思い出し、取り敢えず見始めることにしたのが最初です。あらすじも仕入れずに予備知識を入れずに見ようと思った結果ビックリの、見ごたえありのアニメです! 話が非常に面白く、しかもそこにそんなジャンルを入れちゃうの!?な驚きと多様性の今とも非常にリンクをしている仕掛けといい、まさかそこまで歯応えあり!?な異世界アニメーションでした!

というかこの作品、コミカルをまぶしているけど、話は結構ハード寄りで、特に終盤ガッツリです。ヒューマン偏重主義といい、亜人差別の横行とか、腐った常識がもたらした「許されざる所業」に対し、真が関わる理由も含めて、結構考え抜かれてます。特に第十一話は非常に胸糞な一方、忌むべき敵と向き合うことが非常にハッキリ出ています。そこで真が下したこと(=明確な殺人行為)は確かに賛否はありそうですが、個人的にはああいった「突き放し」は歓迎ですし、話のレベルを押し上げているようにも見えました。

主人公の深澄真も能力値はチートなのに、良い意味で無双とあんまり縁がないのが好きですね。いや、無双なんですけど、本人も戸惑うほどの能力値の大きさ然り、ある意味「力」に振り回されてるところが何とも良かったし、前述した殺人も容認できないほどの怒り、憎悪と殺意で逆に頭が冷えてるように感じられ、ここまで「考え続ける」異世界アニメの主役は新鮮です。

あと何気に(ハイランド)オークがああまで重宝されてるのも新鮮。そのオークたるエマさんは間違いなく美人だし、自由人の巴をアッサリと従わせる強さつき。恐らく早見沙織さんが演じたことの影響あれど、もうこの子がメインヒロインで良くね?ってほどですよ。いや、勿論巴や澪も魅力的で好きですが、エマさんの存在感が一歩上なんですよねw

まとめるとコミカルかつ骨太な要素が詰まった、意外な拾い物である異世界アニメーションでした。真たちがどうなって、これから戦い続けるか? 2期はいつかと思ってますが、焦らず待とうと思います。
平田一

平田一