たわらさん

HUNTER×HUNTERのたわらさんのレビュー・感想・評価

HUNTER×HUNTER(2011年製作のアニメ)
4.9
39話-148話

人であることの美しさと残酷さに強くフォーカスしたのが蟻編である。蟻編の物語を端的に記すと某国での外来種の駆除という事例に過ぎず、その裏で行われた人間側の政治劇やネグレクト、薔薇の行使は人間の悪意を示すには十分。人間が生物としてヒエラルキーの最高種であり、"非"人道的とも謳われる行いもまた人間の一面性である。ただ、それでも人の持つ無償の愛と慈愛に溢れた振る舞いに価値があると説き、人間讃歌を謳ったのである。

✔️蟻編 雑感
・デスノートの音楽と既視感がある思ったら、音楽家が一緒
・ホラーだが好奇心を刺激しつつヒリつく序章。蟻が文明を作っていく面白さは実質Dr.STONE
・序盤のパームはコメディ色が強いのに、終盤では蟻と人の境界としてキーキャラになっていて落差に驚く
・蟻側と人間側の政治劇からの交錯。組織と化したキメラアントは各々の土地で王となろうとして、パリストン派はキメラアント討伐事件に際して会長の失敗(協専の送り込み)を画策する。後の選挙編の伏線。
・MVPは勿論コムギ。コムギというイレギュラーがあった故に四次元マンションを設置できて、そのイレギュラーにより予期せぬ事故が起きる構成の美しさ。
・ピトーの円を拒む王が表すのはプライバシー観念の誕生。

✔️選挙編の問題点
・十二支んのキャラ付けをする意味合いもあるだろうが、言葉遣いが緩くて官僚としては締まりがない。これは協会員のノリもサークルノリに近く、選挙というより人気投票くらいのノリになっている。
・パリストンの華麗な逆転劇を見せるのであれば、中盤辺りから得票率が下がっているといった印象を付けさせる(もしくはレオリオ内定まで描く)べきであった。
・願いと代償の法則(制約と誓約)をぶち壊すほど、ナニカがチート過ぎる。暗黒大陸からの持ち物は常識を逸脱した存在であることは後々に説得性が増していくか。
・ヨークシンでのヒソカ、蟻編でのコムギといった物語の王道パターンを狂わせる中間者がいなかった。

✔️雑感
・日テレの新アニメ版は子供向けに作られたせいか彩度が高すぎるので旧アニの方が好みである。
・ヨークシンと蟻編の面白さは生存存続における正しさを情が狂わせるところにあり、GOTシリーズに共通する面白さである。
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