八咫烏

HUNTER×HUNTERの八咫烏のレビュー・感想・評価

HUNTER×HUNTER(2011年製作のアニメ)
4.5
いやぁ長かった、、、けど凄かった。
日本で1番クリエイティブなのは漫画家さんとアニメを作るクリエイターさんではないか、と常々思っているのだけれど、これはまさに、、、
マッドハウスの作画は崩れもないし、動きも綺麗。旧作は観れていない。
ただopとedはもうひと工夫欲しかったかな。これだけ長くてop曲が変わらない。

いくつかのロングエピソードから成るストーリーはそれぞれ毛色が違うので、何処かしらは刺さるのではないかと思う。
ヨークシン編や会長選挙編も良かったけれど、自分はやっぱりキメラアント編。

王道ジャンプ展開(主人公の修行、成長、友情)で、GI編のカードバトルも良く出来てはいる。
とはいえ、この辺りはともすれば子供向けと感じてしまうかもしれない。
しかしキメラアント編は刺さってしまった。
こういうのをぶち込んでくるって、ホント油断ならない笑

蟻の王の残虐性と暴力を描きながら、人間という種の生態をも浮き彫りにしていく。
いきなり生態系の頂点として生まれてきたメルエムに、人間の倫理など知る由もない。
言うなれば0歳児である。
メルエムが生まれた時、最初に女王とペギーが死んでいなければ、、とつい思ってしまうし、彼の知能と成長速度を知れば、もっと時間があれば、、、と思ってしまう。
しかし彼は人類の「敵」という宿命を背負っているのだ。

ナックルやモラウやカイトの戦いがアツく描かれ(長かったけど)主人公側の成長と並行してキメラアント側のキャラクター達もそれぞれ自我に目覚めていく。
人間を食料として見る種族とは当然相入れないだろうが、人間の倫理を他種族に強要する事は正しいのか。
独裁政権を否定する事が善なのか。。
誰も倒す事ができない最強の敵が「人類の負の遺産」によって死んでいく。。
もどかしくて、しんどい。

シュチュエーションの為にキャラクターを動かす事をしていない。
メルエムとコムギの美しいラストシーンの後に、改めて軍儀のシーンを見るとなおさら胸にくる。

好き過ぎてキメラアント編の事ばかりになってしまった。
何だかんだ言って、結局自分はヴィランに愛着を持ってしまうのだ。幻影旅団もいいしね。
いつもヴィラン達の矜持にグッとくる。
しかしこのもどかしさを何処にぶつければいいのか。。あーー、、、切ない。
八咫烏

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