【2021年冬アニメ作品｛全11話｝】
WHITE FOXとEGG FIRMの共同出資で設立されたスタジオバインドの初元請作品。
というより、正確にはこの作品を作り上げる為に設立された制作会社である。
つまり新たに会社を興してまで臨む一大プロジェクト。
ここまで気合い入れといて、もし大コケでもした日には目も当てられねぇぞ。w
なーんて一瞬でも思ってたが、完全に杞憂だった。
第1話、ワンカット目から虜になった。
よもや、よもやだ。ここまでのアニメだとは。
正直、諸々のクオリティが高過ぎてビビった。
細部まで拘り抜かれ、異常なまでに丁寧に仕上げられた作品といった印象。
このレベルの作品を当たり前のようにTVアニメとして日々享受できる我々の日常が如何に恵まれているか。
私はその幸せをこれからは噛み締めて生きていきたいと思う。(？)
原作は「小説家になろう」全投稿作品の累計ランキングで2019年に「転スラ」に抜かれるまで、なんと2013年から5年以上にわたって1位をキープし続けたバケモン級の超人気作なんだそう。
謂わば、なろう系の最終兵器的な作品ってことですな。
まあぶっちゃけ観る前までは、
『とは言ってもなろう系でしょ？』『今更異世界転生モノなんてたかが知れてるってw』
とか思ってました。完全にナメ腐ってました。本当にごめんなさい。悔い改めます。
近年巷に溢れる異世界転生モノの粗製濫造品には、正直言ってもう食傷気味だった。
実際、結構な人が辟易してたのは事実じゃない？
最早この手のジャンルには未来が無いとすら思ってたし、諸々やり尽くした感は否めない。
だが本作を観終わった今、180度考えが変わった。
ちょっと自分の中での〈異世界転生〉の概念すら変わったと言っても過言じゃないのかもしれない。
言ってみれば本作はなろう系の最終兵器であると同時に、異世界転生モノに於ける救世主だ。
あと、なんだかんだ言っても結局有名作品や人気作品って説得力があるんだよね。よくわかった。
シビれるね。
作り手側の本気度が作品の至る所に現れているのがハッキリとわかる。
キャラクターの造形が恐ろしく緻密。
まず主人公が親の葬式にも出ずに部屋でオ○ってるクズニートみたいな人間なんだが、描写がいちいち生々しい。
またこの役を担当してるのが杉田さんってのが制作側がニクいってか分かってる。
この人にクズか偏屈を演じさせたら並ぶ者はないでしょ？w(褒め言葉)
あとやっぱりハルヒ世代としてはシンプルにこのモノローグにはグッとくるものがあるよね。
3人のヒロインの造形も非常に拘り抜かれていて、それぞれ魅力的に形作られていた。
今度こそは本気で生きたい、と転生した異世界で今一度人生をやり直す。
このジャンルでは割と王道的なフローを辿るが、本作はその過程・細部の描写が驚くほど丁寧に描かれている。
完全なるスーパーフィクションなのにも拘わらず、絶妙に現実的なヒトの営みや生き様と重なる瞬間がある。
ここを認識したときから、圧倒的な物語への没入感を味わう羽目になる。
異世界転生というファクターをただの符号として扱う作品とは決定的に違い、そこにしっかりと意味を持たせ、その上で物語の中に自然と落とし込んでいる。これが凄い。
要するに、プロット自体は至ってシンプルなのだ。
そこに誰もが驚愕するようなギミックや他作品には無い特別なアイデアがあるわけではない。
異世界転生というジャンルに於いて何処までも基本に忠実、その上で一つ一つの要素を徹底的に磨き上げている。
そして、ここまで練り上げられた深い世界観は、作品に対する真摯な姿勢や丁寧な仕事、そんな作り手の努力に裏付けされているからだろう。
本作の存在が、なろう系の新たな可能性を示したと言っても決して過言じゃないと思う。(原作はかなり前からあったけど)
加えて作画も素晴らしいんだよな。
滑らかで美しい。ヌルヌルってか、本当に滑らか。絹豆腐みたい。
バトルシーンは何度でも見たい。
別にCG使ってる訳でもないのにこの迫力と臨場感。あとカメラワークもセンスがキレててカッコいい。
今期で言うと、個人的には本作とワンエグの作画レベルは群を抜いてエグかったと思う。
もう進撃のアクションシーンだけどっちかの作画班と代わって欲しかったくらいだよ！←
それくらい映像的にもクオリティがバカ高い。
基本OPパートは設けずに毎回主題歌と共にシームレスに本編に挿入されている。
導入がとても自然で演出面でも随所にセンスを感じる。
1クール目は全11話と、割と中途半端な尺ではあるものの満足度は頗る高かった。
2クール目も近い内に放送されると思うが、正直この時点で既に作品として十分非の打ち所がないレベルに完成度が高い。
次もこのクオリティを維持していると考えると最早恐ろしくも感じる。
てか、冷静に考えると今後多くのなろう系アニメはこれと比較されることになるのか…。
…南無三。
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［主題歌］
OP
大原ゆい子「旅人の唄」、「目覚めの唄」
ED
大原ゆい子「オンリー」
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