ウシュアイア

東京リベンジャーズのウシュアイアのレビュー・感想・評価

東京リベンジャーズ(2021年製作のアニメ)
4.3
東京卍會と呼ばれる半グレ組織(暴力団の傘下にない犯罪組織)が跋扈する現代で、元恋人も東京卍會に殺され不遇の身であった主人公が、何者かに電車が侵入する駅のホームから突き落とされてしまったことをきっかけに、12年前にタイムリープしてしまう。その後、現代と過去を行き来する方法を見つけ、12年前は一暴走族に過ぎなかった東京卍會の凶悪化を防ごうとする、という話である。


映画版と同じ話の切れ目になる1クールで一度終わるのかと思ったが、一気見しないとすっきりしないところがあるので、放置していた。

暴力とかヤンキーが絶対的にNGという訳でなければ、各話クリフハンガーの状態で終わるので、TVシリーズとして放送すれば毎週見続けるモチベーションを維持できる脚本と構成は見事というしかない。せっかくいい作品なのに途中で切られてしまう残念な作品も少なからずあり、本作を見習ってほしいところがある。

原作がコミックス25巻まで続いていると知らなければ、第1クールの終了「8・3抗争」+αで終わっても良さそうだが、主人公タケミチがタイムリープの結果大きな2つの事件(「8・3抗争」と第2クールの「血のハロウィン」)の結末をベターになるよう介入しても終わらない。つまり、最悪の未来を回避できていない。『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』風に言えば「世界線が変わっていない」とでも言えようか。

タイムリープSFは小さな過去への介入が大きな変化をもたらすこと(バタフライ効果)を強調した作品が目立つが、本作は『STEINS;GATE』同様に過去を変えても歴史の大きな流れは変えられない硬直的タイムラインとなっている。このことは、人間の意志や相互作用によってある程度未来が決められてしまう、ということを示唆している。そこから、だからこそよい未来を目指す意志が大事なのだ、というメッセージ性も演繹できるように思える。

原作の展開はもちろん、TVシリーズ向けの脚本や構成などは文句はないが、やはりアニメーションは少し粗さが目立つ。喧嘩のシーンなのに、背景の人物が止まっていたり、漫画的になっている。こういうことを書くとブラックなアニメ業界に配慮が足りないようにも思えるが、総合では素晴らしい作品だと思う。

(10話終了時) スコア3.8
原作未読で10話までFODで一気見。

『Vivy -Fluorite Eye's Song-』が「時をかけるAI」ならば、
本作は「時をかけるヤンキー」といったところだろうか。

タイムリープものは、ひょんなことからタイムリープ能力を手に入れ(そして男性が主人公の場合はたいていは不遇な状況にある)、不都合な過去を修正するというもので、日本ではSF大家・筒井康隆の作品によってタイムパラドックスや平行宇宙などの概念や法則などが確立されている、つまりタイムリープが起きても物語が破綻しない物語の設計図が示されている。そのためすべて「時をかける○○」になってしまう。

話は東京卍會と呼ばれる半グレ組織(暴力団の傘下にない犯罪組織)が跋扈する現代で、不遇の身であった主人公が、何者かに電車が侵入する駅のホームから突き落とされてしまうが、12年前にタイムリープしてしまう。その後、現代と過去を行き来する方法を見つけ、12年前は一暴走族に過ぎなかった東京卍會の凶悪化を防ごうとする、という話である。

しかも、過去に行ってみたら東京卍會のボスは実は仁義に厚いいいやつで、第1シリーズ※では卍會が凶悪化のきっかけとなる、ボスの親友の死を阻止することがミッション。(※第1クール目)

『テセウスの船』で凶悪殺人犯だと思っていた父親が、タイムリープして会ってみたらいい人で、冤罪だった、という展開に似ており、タイムリープSFのストーリーとしてはかなりベタである。

しかし、不良・暴走族×タイムリープSFという今までにない組み合わせということで、そこが面白い。過去を改変すると、暴走族や不良は未来でどうなるか?これまでにあんまりない。最近、不良漫画は流行っていないので、不良漫画を「熱い」と感じて、新鮮に思う人もいるだろう。

10話でキーパーソンとなるドラケンの死亡は回避できた。
あとは、中学時代の元カノの死を当面回避したとりあえずのハッピーな現在になって、第1シリーズが終わることが想定される。

結構長い作品みたいなので、続きがあるようだし、過去で元々の過去では関わることのなかった東京卍會と深く関わってしまって現在に影響が出ないはずがない。その悪影響でまたタイムリープ、と第2シリーズへつながっていくのだろうか?
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