観てもないのに評判だけで買って積んでたBD-BOXをついに再生してみたんですが……これ、中高生くらいの年代に、放送当時の何も情報の無い状態で出会ってたらめちゃくちゃハマってただろうなあ……。
世紀末的流行というか、「エヴァンゲリオン以後」らしい、謎掛けや哲学的趣向に満ちた衒学趣味的な作品ではあると思うんですが、個人的にはエヴァよりも「ビューティフル・ドリーマー」「パトレイバー」とか「攻殻」あたりの押井守・士郎正宗ラインの空気感の方が近いように感じられました。(英利政美が初めて言及された時、帆場暎一じゃん!とか思いましたねw)
「ガサラキ」とか「ビッグ・オー」とか「ウィッチハンターロビン」とか、シナリオや設定に"仕掛け"があるような作品が好みの人に合うタイプの作品なんじゃないでしょうか。
今や常時接続の高速回線が当たり前になり、VR機器を普通に個人で使えるこの現代から見ると流石にテック描写は昔の作品だなあと思える所はありますが、劇中年代がいつなのかとか、普及している情報機器の名称や機能、ネット世界であるWIRED内の光景もSF設定・技術考証的な細かい描写をしない(まあこれが「あえて」なのかどうかは分からないんですが)事で後の時代から観た時の「古い未来予測」ぽさみたいなものが抑制されていて、今の時代から観てもそれなりに普遍的に見えるようになっているのは面白い描写だなと思えました。(その一方でCoplandとかBe OSとか、思いっきり時事的な細かいIT小ネタが盛り込まれているのも楽しいw)
この作品の凄みというものはやっぱりリアルタイム的なものであって、今から観ても肌感覚的には理解しきれないのかもしれないなという感じもあるんですが、テーマ的には十分に現代でも通じるものがある気がしましたので、もし機会があれば観ておいていい作品なのではないかと思われました。