このレビューはネタバレを含みます
OPと終わり方がとても素晴らしいです。
クソ悔しい、、観始めたあたりの時には無茶苦茶酷評してやろうかなって思ってたんですよ。
初めに「写真部ってなんだよ」って思いました。よくそんな色映えしない部活選んできたなと、、現実の高校の写真部なんか部活を真面目に取り組みたくないけど、入らないといけないから妥協したキモオタの集まる場所で女子すらいないのが常だろとかなんとか思ってました。
それから世界観は視聴した後もよく分かっていません。この世界の魔法がどういったものなのかも曖昧だったし、「星砂って何ですか?」って感じだったし、過去に戻る時に乗っていたバスも「いきなりファンタジーすぎない?」と。。そこはまあ流してもいい所だと今では割り切っています。
あと人物絵のタッチが若干苦手でした。目の感じが不自然だと感じましたし、葵君の髪型も嫌いです。
他にも基本的に自分はナヨナヨしてる主人公と取り付けたような恋愛要素は嫌いなんです。だから最初の方の展開が好みではなかったんです。それでも後半になっていくうちに登場するキャラクターは魔法写真美術部がメインになっていきそれぞれの心理描写が映し出されていくのは紋切り型ですが、言い方を変えればThe 青春って感じで良かったと思ってます。要するに序盤のモブが鬱陶しかったです。
それとこれが1番言いたいことなのですが日常パートが多かったのでキャラ達が段々と好きにはなっていけました。しかしもっとこう衝突とか刺激があった方が面白かったんじゃないかなって思います。若いっていうのがテーマにはなってると思うのでそのエネルギーをもっと発散してくれ!
ここから無視できなかった良い部分を語りたいと思います。
まず音楽が凄く好みでした。opは純粋で秘めた情熱があって何処か儚げで、、、「17才」という曲の名前がとてもしっくりきていました。ed「未明の君と薄明の魔法」にいたっては過去を懐かしむような曲調で瞳美が街並みを見下ろす描写にサビが流れ始める所にノスタルジックな何かを視ました。
それから長崎っていいですよね。自分は高校の修学旅行でしか行ったことがないんですがやけに高低差がある地形から坂が急勾配でおまけに細かったりするんですけど、それがちゃんと計画して作られてるんだなというのが登っていた時に気付いて感動した記憶があります。他にも和洋折衷な建物や道路に路面電車が通っていたり、街並みを明るくする照明も風情ある温かい色でしみじみとします。まさしく過去と現在が行き交う場所です。
主人公の瞳美も初めは自己表現が苦手で口が重く、自信がないという好ましくないキャラだったのですが回を追うごとに心を開いていき最終的にはシャイを克服できたので安心しました。それに彼女が「魔法が大嫌い」だという事も、かつて母を自分から遠ざけてしまったから嫌いだったといった理由がきちんと明かされるのは予想していなかったので思わず「お!」と言ってしまいました。
余談なのですが、振り返ってみて話の構成・持っていき方に妙に既視感があると思いました。全く関係ない他作品を出すのは良くないと思っているのですが「あの夏で待ってる」と似てませんかね。未来人がやってきてそこで写真部という部活に属して活動していって、その時代の人と深い関わりをもってしまうが元の時代に帰らないといけなくて…みたいな。あの夏では確か未来人が宇宙人で、写真が映画になっていたと思います。
他には「Back to the future」ですかね。これはまんまか。しかし、この作品で恋した過去の人は親族ではなかったのが良かった。マジで瞳美の祖父が葵さんじゃなくて良かった。。好きになった人が親族だったなんて自分はゲンナリしてしまいます。たとえ物語だったとしても。
総じると良い部分と嫌いな部分も具体的に言える作品だったと考えます。嫌いな部分は世界観が不明瞭、絵のタッチ、序盤のキャラ達の恋愛部分が面倒くさい、モブがうるさい、全体を通して平易といったことです。
良い部分はノスタルジックな音楽や舞台、自分を変えてくれた大切な過去の日々にはもう戻れない故に自分に今何が出来るかを主人公が考えこれから実行していくのだろう顛末を描いてくれた事、そして過去の人々の生きた足跡を最終回で忘れずに見せてくれたことが素晴らしかったと思います。
色を取り戻した瞳美が現代に帰ってきて前を向いて歩き出す。そこに影響を与えてくれた過去の人自体をあえて写さないってのが良いですよね。粋です。