あんへる

ラーゼフォンのあんへるのレビュー・感想・評価

ラーゼフォン(2002年製作のアニメ)
3.9
【2002年冬・春・夏アニメ作品{全26話}】

遥か昔に断片的に観た記憶はあったが、最後までまともに観たのは今回が初めてだった。

乱暴な言い方をすれば、ポストエヴァ。
亜種というか系譜というか、全く知らない人間からしたらパッと見「エヴァっぽい何か」であることは間違いないだろう。
勿論、最後まである程度“真面目”に観れば、エヴァ云々じゃなく純粋に本作の魅力がわかるとは思うが、やっぱりイメージとして付き纏う所は終始ある。
まあそれくらいエヴァが日本のアニメに及ぼした影響が大きいってことなんだろうね。

それはともかく、厄介な作品ではある。
煩雑な固有名詞が飛び交う会話劇にギミックの取っ付きにくさ、それとは別に丁寧な伏線回収にラストの風呂敷の畳み具合、もはや親切なのか難解なのかよくわからない感覚がある。

まあこれだけ面倒くさいキャラばっかり配置して動かせば、結果としてメンドクサイ構造にもなるよなーってところか。
今観ても作画は綺麗だし、ロボアニメとしての魅力もある。
ただやはり本質は人間ドラマだ。このややこしさこそ最大の武器みたいな部分はある。
その真骨頂が彼の有名な19話「ブルーフレンド」だったんだろう。
あの演出といい余韻といい切なさといい、やるせねぇ…
確かに秀逸以外の何物でもない。ロボアニメ史に残る屈指の神回と言われるだけのことはある。

わざわざ壮大な設定を持ってきてまで描かれる事は色恋沙汰だったりする。
“純愛”と一口に言っても、きっと人によって色んな形があるんよ。
希望よりも熱く、絶望よりも深い、愛こそ人間の感情の極みって、ほむほむも言ってたもんねぇ。←

主題歌や劇伴の良さも絶妙。
ただ欲を言えば、もう少し後半の展開に説得力というか整合性を持たせることができていたなら…って感覚はある。
終盤はちょっと雑に人殺し過ぎじゃね?とは思った、正直。

勿論今観ても良い作品だとは思うが、もっと早く観ていれば、もっと鮮烈な印象を受けていたんだろうな。
それこそシンエヴァをはじめ、後発の作品群を山程観てしまった今だけに、少しだけ…ほんの少しだけ時代の流れを感じるといいますか。


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[主題歌]

OP
 坂本真綾「ヘミソフィア」

ED
 橋本一子・橋本まゆみ「夢の卵」「yume no tamago」(English Version)


[挿入歌]

 橋本一子「カトゥンのさだめ」

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