四畳半神話大系や夜は短し歩けよ乙女などで知られる湯浅政明のオリジナルアニメ。記憶を失くした少年が旅をする話。
湯浅政明らしいジェンダーレスで愛を描いた作品でした。今作はオリジナルアニメですが、斬新だし大半のエピソードが物悲しくて、良い意味で監督の個性が光っていたと思います。後のDevilman Crybabyにも通じる愛故の対立とか、愛故の犠牲が描かれていて、湯浅政明らしいストーリーに仕上がっていました。そこまでトリップムービー感はなかったものの、旅をして行く描写はマインドゲームや内省的な主人公に焦点を当てた四畳半神話大系にも通じていた気がするし、明確にやりたいことを貫いた感じがあって面白かったです。また、今作のアニメーションは手塚治虫や藤子F不二雄のような古き良きSF的なタッチで、作品の雰囲気と合っていたと思います。馬鹿な異世界転生モノとか、ハーレム系のラノベアニメしか見ない子供はハマらないだろうけど、大人にはオススメしたくなるような一本です。
それにしてもこの時代のWOWOWのオリジナルアニメは、妄想代理人、今そこにいる僕、まりんとめらんなどの渋い作品が揃っていて素晴らしいですね。今の日本のアニメにはない良いものがたくさん詰まっていたと思います。
