メディアミックス作品『機動警察パトレイバー』のTVアニメシリーズ。
土木作業用機械「レイバー」の発展により、レイバー犯罪が急増。
警視庁はそれらに対応するため特車二課を設立する。
特車二課に集った隊員や整備班たちの活躍を描く、青春群像ロボットアニメ。
第3話、第9話、第14話、第29話、第38話の脚本を担当したのは『うる星やつら』シリーズや、TVシリーズに先駆けて公開された『機動警察パトレイバー the Movie』の監督である、日本が世界に誇るクリエイター・押井守。
『踊る大捜査線』の元ネタになったことでも知られる、ロボットアニメ界のマスターピース、それが『機動警察パトレイバー』!
ロボットを作業用と割り切り、建築現場とかで使われる機械として扱うというフレッシュさ✨まさにセンス・オブ・ワンダー!
車両扱いなのでナンバープレートがついているという設定、なかなか思いつかないよ!
未来世界を舞台としたSF作品を作る場合、最も難しい時代設定は現代から10年後くらい先の近未来である、という話を聞いたことがある。
100年後とか1000年後とかならいくらでも嘘がつけるが、10年後となるとリアリティを維持したまま嘘をつかなくてはならないからである。
『パトレイバー』が初めて世に登場したのは1988年のこと。そこからちょうど10年後である1998年を時代として設定している。
当然10年やそこらで2速歩行型の大型ロボが開発されるわけがないので、そこは大きな嘘をついているわけだが、その周辺の出来事や設定、組織などは徹底的にリアリティを持って描かれており、こんな未来がやってきても不思議ではないような気がしてくる。
時代と舞台の設定が絶妙である。
ロボットアニメのはずなのに、ロボットが主役でないのも『パトレイバー』の魅力。
あくまでこの物語は主人公・泉野明を中心とした隊員たちの青春群像劇なのである。
泉野明、篠原遊馬、太田功、進士幹泰、山崎ひろみ、香貫花・クランシー、熊耳武緒といった若き隊員たちは皆それぞれに未熟で迷える存在である。
父親との確執、転職、恋、未熟な自分への焦り、警官を続けている理由など、様々な悩みを抱える彼らが、仲間たちとぶつかり合いながら成長していく様は、キラキラと眩しく、羨ましくもある。
それを見守る大人たちにもそれぞれ物語があり、誰一人として無駄なキャラクターがいない。
社会人にこそ見て欲しい、というより子供が見てもわからないアニメ、それが『パトレイバー』である。
話は基本的に1話完結。
メインのストーリーラインとしてはシャフト・エンタープライズの内海課長との戦いが挙げられるが、それも合計10話少々といったところ。
横へは大きく広がるが、縦の広がりにかけるシリーズであり、そこが弱点であるという風にも思ってしまう。
メインの声優陣は素晴らしい!
富永みーな、古川登志夫、大林隆介、池水通洋、二又一成、郷里大輔、井上遙、横沢啓子、榊原良子、千葉繁、阪脩といった、80年代の声優界における最高の実力派が名を連ねている。
また、モブを演じる声優達も、大塚明夫、林原めぐみ、立木文彦、山寺宏一、子安武人、石田彰、大塚芳忠など、現在の声優界でレジェンドとなっている面子が揃っており、声オタなら大興奮の作品であることは間違いない!
本当に大好きなシリーズであり、今なお続編が作られることを望んでいる。…実写版は大丈夫っす…🙅♂️
本作よりも面白いロボットアニメはあるかも知れないが、本作よりも面白い青春群像劇は未だに作られていないと断言できる。
いつまでも輝きを失わない、アニメ界の宝!
色々作品があるので何から観ていいかわからない人は、取り敢えず本作を観ておいて、ここから色々見始めれば大丈夫🙆♂️
コンディション・グリーン!