ウシュアイア

灰羽連盟のウシュアイアのレビュー・感想・評価

灰羽連盟(2002年製作のアニメ)
3.4
空をひたすら落ちる夢を見た少女は以前の記憶を失い、見知らぬグリという町で翼と光る輪を頭に頂く”灰羽”と呼ばれる人たちに見守られ目を覚ますと、自身の背中に翼が生え、灰羽たちから光る輪とラッカという名を与えられる。灰羽となったラッカの他の灰羽や人々との交流を描いたファンタジー。


主人公のラッカは一切の記憶を失った状態で目覚めるところから話が始まるので、灰羽たちが暮らす世界はいったいどういう世界なのか、そもそも灰羽とはどのような存在なのか、といった疑問をラッカと同じ視点でラッカとともに少しずつ解き明かしていくことになる。とはいえ、最後まで観ても結局のところよくわからない。

よくよく考えてみると、我々人間も自分たちの暮らしている世界がどのような世界で、どのような仕組みで回っているか、ということを分かっているわけでもないし、そして死ぬまでに完全に分かることができるとも限らない。この物語では、そんなことはどうでもいいわけではないが、まずはどう生きるかが先行するという現実を示唆しているようだ。

登場人物たちは皆優しいものの、灰羽を含めたこの物語の世界の人々には強い制約もあり、明るいわけでもなければ絶望的でもない。この世界で繰り広げられるヒューマンドラマは少し退屈かもしれないが、人間の本質なんてそんなものかも知れない。

Filmarksのあらすじではラッカとレキは自殺したことになっているが、そんな設定どこに明示されているんだろうか。確かにそんな気配はあったが。

ノイタミナ以前のフジテレビの深夜アニメ作品で、文学的、哲学的でわかりにくいが、『不滅のあなたへ』に似た雰囲気がある。
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