しゅうへい

ヒカルの碁のしゅうへいのレビュー・感想・評価

ヒカルの碁(2001年製作のアニメ)
4.5
「神の一手を極めるために」

小学6年生の進藤ヒカルがある日、祖父の家の蔵で見つけた古い碁盤。そこにはなんと平安時代の天才棋士、藤原佐為の霊が宿っていた。

平凡な小学生の少年が天才囲碁棋士の霊に取り憑かれたことで囲碁の世界に巻き込まれ、「神の一手」を目指す姿を描く作品。

囲碁漫画の金字塔。囲碁を抜きにしても逸脱なドラマ性と魅力的なキャラ。原作では緻密で繊細な作画と熟考されたストーリーに夢中にさせられた。作画を担当した小畑健も最後までルールが分からぬまま描いていたらしい。マイナーなジャンルでありながら「友情・努力・勝利」週刊少年ジャンプに相応しい王道作品。

ダブル主人公である進藤ヒカルと藤原佐為、好敵手となる塔矢アキラ。囲碁に興味がなかったヒカルの代わりに佐為が打ち、天才少年棋士である塔矢と偶然対局。この対局を機にヒカルは囲碁に惹かれ、塔矢はヒカル=佐為の幻影を追うこととなる。互いに追いかけ、突き放され、切磋琢磨しながら少年達は成長していく。

殿堂入り。原作含めて3.4周目。囲碁のルールは未だに理解できない。会話は「?」な専門用語だらけ。囲碁という地味なテーマ。それなのにだ。それなのに面白い。文句無しの傑作。初心者のヒカルの成長、無敵の佐為の無双。スポーツ漫画の良いとこ取り。師に佐為を持つヒカルの成長は目覚ましく、徐々に周囲を圧倒していく。驚異的な速度でステップアップするヒカルにサブキャラ達は容赦なく退場させられる。このリアルな描写は考察で気付かされた。

アニメで描かれるのは「佐為編」まで…。当時絶大な人気があったのにも関わらず、最後までアニメ化ならず、やや中途半端な幕引き。番外編「北斗杯への道」(北斗杯編、日本代表決定戦)があるだけが救い。後日談はドラマCDで補完という物足りなさ。アニメ完結から20年、ヒカルと緒方の声優が亡くなられて続編はもう…。『THE FIRST SLAM DUNK』のようなキャスト総入れ替えの劇場版ラストが相応しいのかもしれない。
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