ヴェルヴェっちょ

機動戦士ガンダム サンダーボルト 第1シーズンのヴェルヴェっちょのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

重厚、はもとより、濃厚。 宇宙世紀のパラレルワールドたる「Another U.C.」に当たる作品。

宇宙世紀0079、地球連邦とジオン公国が戦った一年戦争の末期。 連邦サイド4のスペースコロニー群、ムーアはジオン軍の攻撃により破壊され、多くの住人が命を落とした。 破壊されたコロニーや、撃沈された戦艦の残骸が無数に漂う暗礁宙域は、ぶつかり合い帯電したデブリによって絶えず稲妻が閃くようになり、いつしか「サンダーボルト宙域」と呼ばれるようになった。 ムーア市民の生き残りで構成された地球連邦軍所属部隊「ムーア同胞団」は、故郷であったサンダーボルト宙域の奪還を悲願とし、宙域のジオン軍の殲滅を企図していた。 連邦の進軍を足止めしようとするジオン軍も、義肢兵の戦闘データ採取を目的に設立された「リビング・デッド師団」を展開。 ムーア同胞団に所属しながら、故郷や自身の出自に束縛される事を疎ましく思うイオ・フレミングと、過去の戦闘により両足を失い、今はリビング・デッド師団でエーススナイパーとして活躍するダリル・ローレンツは、戦場で対峙した時、互いに悟るのだった。 ふたりは、殺し合う宿命なのだと…。

ガンダムシリーズの一環であるSF作品でありながら、血で血を洗う戦闘が繰り広げられる、戦争映画です。 残酷な破壊も、戦争で踏みにじられる人間も、容赦なく映し出されます。 「連邦軍=善、ジオン軍=悪」という単純な構図はもはや成り立たず、前線に立つそれぞれの兵士の視点で無残な殺し合いが描かれます。 ジャズをBGMに、戦場においてこそ「生」を実感するイオと、両足を失いながらも敵の殲滅に志を燃やすダリル。 狂おしいまでに戦い続けるふたりに、観ているこっちも正気ではいられなくなる…。