都部

バカとテストと召喚獣の都部のレビュー・感想・評価

バカとテストと召喚獣(2010年製作のアニメ)
2.7
中学生時代は書にさして目を通さない無学を極めた逆二宮金次郎の人生を送っていた私ですが、朧気にバカテスは細々と楽しく読んでいた記憶があり、なので内容をある程度把握した上で本作を鑑賞したのですが今見ると厳しい部分も結構あるな……。
そんな作品の根本的な作風や話の流れに対する文句もまま有るのですが、アニメシリーズ1期には原作には存在しない安っぽいパロディの数多く挿入され、それが一番腹立たしく感じたのはあります。

まずアニメとしての縦軸はほとんど存在しておらず、原作の流れを踏襲した基本的に一話完結の物語が繰り返されるのですが、そこでメインとなるギャグの描き方がそこまで面白くないというのが上げられます。
バカテス特有の形式美の笑いにそこまで酷く依存している印象はありませんでしたが、前述したパロディによる笑わせと過剰な演出により必要以上に装飾されたギャグシーンはどうしても不細工に見えてしまう。

作品の核たるしょうもない応酬に徹底してそういう扱いが成されているのは、制作側がそのネタの素朴な面白さを信じきれてないのではという懐疑の気持ちを抱いてしまうのも無理なく、気持ちよく笑わせてくれないのは不満でした。ただテンポは良いので可愛らしいキャラクターデザインと登場人物の喜劇的な日々の面白味を帯びた雰囲気自体は再現性が高く、サラッと何も考えずに見るには悪くないかなと。
サラッと何も考えずに作品を見ることはそうそうないので、私は巧拙の平坦さにどうしても目がいってしまったのですが……。

曖昧模糊とした縦軸も原作の雰囲気をある程度周知しているからこそかろうじて楽しめるというきらいが強く、表面的なキャラクター像以上の情報がさして引き出されず、またFクラスの面々の馬鹿な思考回路から導き出される言動の数々もアバンの一問一答に引けを取っていたように思います。

中高生向けのライトノベルのノリにグダグダと物を申すのも大人気ないのですが、むしろ私はそういうノリ自体は嫌いではなく、だからこそやはり原作の旨味を引き出し切れていないアニメシリーズとしての出来に苦言を呈さずにはいられません。
都部

都部