都部

IS<インフィニット・ストラトス>の都部のレビュー・感想・評価

3.9
中高生時代の私のアニメ趣味を開拓した思い出深い一作であり、性癖を見事にぶち壊したという意味でも、もはや実家の味の作品です。
本作が他のアニメより優れている点として、アニメ用にリデザインされたヒロイン達のキャラクタービジュアルがあり、一挙一動が無類の可愛さを誇るのですが、ここにキャラクターの性質に一致した声優陣の声が加わる事で無敵のハーレムアニメとして完成されているのは今更になって言うまでもないでしょう。

(かく言う私も当時 『シャル』ことシャルロット・デュノアの全ての台詞をウォークマンに録音して、夜な夜なそれを聞いては身悶えしていたので至極懐かしいですね。時期が時期──中学生くらい?──なので、ここでの『身悶えしていた』というのは自慰行為の婉曲表現ではないです)

キャラデザの完成度と比較すると、物語は良くも悪くも大味な印象で1クールの内に五人のヒロインを揃えて、尚且つそのヒロイン達に華を持たせることに終始している印象ですが、本作の需要を考えると正しい判断であるように思います。

主観的な物言いをすれば、作品の中盤に偽装男子として織斑一夏の近しいパートナーという形でシャルがメインを張っていたので、あくまで私は最高でしたね。アニメを見ている際に、口角が思わず釣り上がるキモ=オタの笑顔を浮かべた回数を数えるのは容易ではありません。

しかしISの登場により女尊男卑の価値観が蔓延ってる世界観という設定はフレーバーテキストとして流され過ぎて、この辺の言及がまるでないのは思い切りが良すぎますね……幾らでも話作れそうなのに。

アニメを通しての作り自体はオーソドックスな萌えアニメという感じですが、放送当時に破格の円盤売上を叩き出すだけのムーブメントを起こせるポテンシャルはあちこちに感じられる作品で、また見れて良かったなとたしかな満足を得られました。



じゃあ作品について言及すべきことは言及したので、ここから先はアニメ一期のシャルロット・デュノアが如何に素晴らしいかを少し語ろうと思うのですが、なんといっても男装ヒロインとしての妙を活かし切ってる点ですよね。『自分が本当は女子である』という主人公との秘密の共有は、その時点での他のヒロインにはない無二の関係性の構築に成功しているんですね。その上でシャル本人が持ついじらしさも相俟って、対外的には同性の距離感で接するも二人しか知らない男女の距離感の機微が遣り取りから生まれているのが、いや、超エッチですよね……。年頃の男女が同じ部屋で寝食を共にする不埒さが作品で事前に言及された上で、周囲の人間には露見しないように二人がそんな生活を自ら受容することを選択している この良さ。正体発覚が自室の風呂場で交わされ、そして本当の意味でのお互いの胸の打ち明け合いが大浴場で背中越しに成される円環構図もポイントが高いですし、そうした色気に関する描写を挟まないシャルの口から語られる生育環境とそれに対する肯定は恋心の発露として納得のいくもので、このシーンの可愛さといったらないんですよね。マジで。ここでキャラクターデザインの秀逸さが活きることで、1期アニメを通しても魅力的な可愛げのある無二で無類の誰よりも素敵なヒロインとしてシャルロット・デュノアは成就している。加えてCVが天性の声帯の花澤香菜ですよ。それはもうダメでしょ。だから今回の再鑑賞もシャルがメインの5.6.7.8.9話はそれぞれ3回見返したんですけど、マジで可愛くて泣いちゃいましたね。もしかしてシャルって世界で一番可愛いんじゃねぇか? そんな感じで、ISのシャルロット・デュノア オススメです。
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