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新機動戦記ガンダムWのTheCharacterのネタバレレビュー・内容・結末

新機動戦記ガンダムW(1995年製作のアニメ)
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このレビューはネタバレを含みます

前髪クセ強い奴多いな。初期は特に頭の長さも気になる。

ストーリーのハードルが高い。複数の団体による抗争が続く為、それぞれの勢力を把握する必要がある。加えて、登場人物の理念や心情が理解し辛い場面が少なくない。本編が実質20分にも満たないので、要点すら削ぎ落とさざるを得なかったのだろう。反面、互いに理解度の高すぎる人物同士の会話には、ある種の洗練すら感じることも。戦う理由すら分からないこともあるが。かと思いきや、まあまあな説明台詞もあったりバランスがおかしい。演者もあまり理解できず役をこなしていたという事実にほっこり。また、結果的に進行のテンポの良さに寄与している。

初期から中期頃、地球で展開していた場面に顕著なのは、言葉の強さへの拘りである。強烈な台詞を求め、並々ならぬ尽力があったのを感じさせる。

主人公5人体制は多彩でありつつ、クールキャラが渋滞。それでも、任務という前提がありつつ、戦いへの姿勢にはそれぞれの思想が(その推移も含め)反映されていた。失った個の回復、正しい贖罪とは、平和の為に戦うという矛盾、戦う意外の存在理由といったことを兵士達の姿に考えさせられた。これは紛れも無く悲痛な戦争の物語である。ただし、それも一つの側面にすぎない。

様子のおかしい人が沢山出てきて、ドラマが進行する見応えは充分。リリーナが面白すぎること、デュオがいい奴すぎることは、良い導入の推進力となった。初回のヒイロのザコキャラ感は本当に謎である。力を持ってしまった者の慢心を描いていたのだろうか。オープニングのポーズは「顔は見ちゃダメ」のポーズなんだ。問題ばかり起こすし『こいつ自爆しかできねーな』と思った。でもトロワを爆笑させる良い仕事。身体の丈夫さが異常。「無口な子には無口な友達ができるのね」良い台詞だな。

リリーナがヒイロに惹かれる理由は全く分からないが、互いに同じ世界に入れることを見抜いたと解釈するのがきれいだろう。憑依型で、日常ですぐリリーナ劇場が始まってしまう。そのことはパーガンの発言から明らかである。役割を演じることは生の営みそのものだが、ストーリーの共有は容易でない。それを可能にする2人であるということ。これはトロワとカトルも同様で、合奏のシーンは象徴的だが、そもそも名前が連番になっているので、最初から繋がりが暗示されていたわけだ。

ノインの仕官育成所にイベントスペース(バーカウンターつき)があるの最高すぎ。照明が常にビカビカなのは謎だが。身内のパーティー、ライヴは勿論、外部アクトを呼んだりもしていたかもしれない。ゼクスと鞘を合わせてカチャカチャ。とても好きなシーン。何だあの演出。あの2人は常になんかエッチ。ノインには報われてほしい。私服すげーウェスタンだね。

貴族風の服、軍服等がかなりしっかり描かれていたのが印象的。上着の裾をボタンで留めるディテールに感動。あとラペル。監修が入っていたようで、そういうの大事だなと思わされる。

基本、強い女性ばかり出てくるのも良い。そこはきちんとコンセプトがあったようだが、その結果とんでもないエンディングが出来上がっている。本編のムードと乖離した軽快な楽曲にのせ、リリーナがこちらにガンを飛ばしまくり、見下しまくり、キメつつ大自然で動物たちと戯れる。シリアスな本編に対し、空気を変えて終わらせたいのは明白。そして、彼女に担わせたい表象を足していき、何も引かない。その結果、観る度に腹立たしく、小っ恥ずかしい内容に。この怪作ぶりが本当に堪らない。本編に動物好きの描写が無い点もポイント高い。

JUST COMMUNICATION、初回をなぞった幕引きに上がる。かなりあっさりしてたんでそれぞれのエピローグが知りたい。
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