ヒムロ

マクロス7のヒムロのレビュー・感想・評価

マクロス7(1994年製作のアニメ)
4.4
第一次星間大戦をリン・ミンメイが歌で沈め、ゼントラーディと共存することになった地球人類。
それから約35年後、超長距離移民船団マクロス7は正体不明の敵バロータ軍に襲われ生命エネルギー「スピリチュア」を奪われる事件が多発していた。
マクロス7の統合軍とバロータ軍がバルキリーで空戦を繰り広げる中、一人のロックボーカリストが歌で争いを止めようとする。
Fire Bomberのボーカル熱気バサラのこの行動が銀河の運命を変えていく。



熱血系主人公は大好きなのだがバサラは熱血系と括ってしまってはいけないような側面がある。
暴力による解決を拒み、歌い続けるその理由は争いを止めるためという訳ではなく「くだらない戦いなんかより俺の歌を聞け」という感じで純粋に歌を愛する男という感じに見える。
もちろん人の死を悲しみ、怒ることもあるが、戦いを止めることよりその先の平和な世界での自分のライブを見据えて歌っている感じが大好きだ。
昔のアニメ主人公、および昔のロックスター像のイメージか横暴で無茶苦茶な所もあるが、そもそもやってることが正気じゃないので普通に入ってくるのが面白い。
というかストーリーにきちんとセリフとして干渉してくる主人公はむしろミレーヌとガムリンであって、バサラはよくよく聴いてるとストーリーに関係することを喋っている事すら少ない。
もはや歌に取り憑かれてると言ってもいいがそういう本質の意味不明さがミステリアスでやっぱりロックスターのように見えるから愛せるキャラなのだろう。

昔のアニメ故に話数が長かったり、結局主人公にヒロインがなびいたりと都合を感じる所もあったが、それを差し引いてもいいアニメだった。
どうしても1話に1度は戦闘シーンと歌唱シーンを入れなければいけない感じがテンポを悪くしているところはあるが、それがマクロスなので仕方ないか。
終わり方があっさりし過ぎていてビックリしたが、未放送の話やドラマCDなどでそっちは補完されているよう。
機会があれば見てみたい。

戦闘シーンのリアルさなどは二の次でとにかくバサラが歌いまくるのが痛快。
被弾しないわけないだろと思うが「バサラがめちゃくちゃ操縦が上手い」という設定の理由を回収すらしないで終わる潔さ。
というかバサラに関しては全然何も分からないまま終わる。
けれども本筋はそこじゃないからどうでもいいと見ていて思えるから気持ちがいい。
とにかく戦闘中に歌い始めると見ているこっちも力がみなぎるような気持ちになるロック特有のノリの良さが最高。
マクロスとしては異色作ではあるだろうが、戦闘シーンのBGMという意味では一番ぴったりなのはやはりロックではないだろうか。

しかし最終回だけはやっぱり突撃ラブハートが聴きたかった…。
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