Ryu

妄想代理人のRyuのレビュー・感想・評価

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
3.9
今敏による唯一のアニメシリーズ。

社会現象になるほどの人気マスコットキャラクター“マロミ”をデザインした鷺月子。次作へのプレッシャーなど精神的に追い詰められていた彼女は帰宅途中に金属バットを持った少年の通り魔(通称 少年バット)に襲われる。そして心に蟠りを持つ人々が次々と少年バットに襲われていく。

もうOPから強烈です(笑)。平沢進の不気味だけどどこか爽やかさも感じる音楽とキャラクターたちがただ笑っているだけの映像、クセになります(笑)
内容の方は今敏ワールド全開でした。相変わらず、混沌というか現実と非現実の描き方が上手すぎる。混じりに混じって訳が分からなくなる世界観が今敏の大きな魅力の一つなのではないでしょうか。一話一話でクローズアップされているキャラクターが違い、区切りはついているのですが、それぞれの話も繋がっていて、一本のストーリーとして筋が通っていると思いました(関係ないお話も何話かありましたが)。この作品から、現代社会に対する警告みたいなものが伝わってきました。最初の方は、逃げてもいい、休んでもいい というメッセージかなと思っていました。確かにそれもあるかもしれないけど、終盤のお話から、そんな現実にも背を向けないことが大切なんだ ということが伝わってきました。でも自分はやっぱ逃げちゃいたい人だな〜。完全な甘えなんだけど、やはり生きるってだけでもかなりしんどいのに、そこにさらに色んなことがのしかかってくるのは避けたいと思ってしまいます。まぁ、そんな“逃げ”の効力もその時だけのものであるのも一理あるな〜。でも所詮人は“今”を生きてる生き物だと思うしな〜。そんなこんなで勝手にジレンマに陥ってしまいました(笑)。この作品が何を伝えようとしてるかは、正直分かりませんが、風刺や皮肉が効いてることは間違いないです。かなり難解ですが、この世界観にとりこまれて、見入ってしまう。そんな作品でした
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